グランプリを獲得したゴールドホルンのデジタルプレーヤーG3 SE II、その魅力とは。ここでは選考委員から長谷川圭氏と黛健司氏のレビューを紹介する。

ファイル形式やデータ量による音の違いがしっかり感じられる
車載用デジタルプレーヤーの進化を歓迎したい

文=長谷川圭

 主だったデジタルファイルのほとんどに対応するのではというデジタルプレーヤー。中国発のブランド「ゴールドホルン」の最上級プレーヤーがG3 SE IIである。ハイレゾファイルの対応もDSD256再生を可能にしている。

 インターフェイスはUSBのほかBluetoothもあり、ポータブルデジタルプレーヤーをワイヤレスで接続、再生することもできる。さらにWiFi接続することで、スマホ経由、ストリーミングサービスを楽しむといった利用もできる多機能機だ。

 本機にはコンポジットの映像出力があり、車両のモニターやインフォテイメントシステムにつなぐことで、付属のワイヤレスリモコンで操作できる。オプションのディスプレイ付きコントローラーもラインナップしており、こちらを試してみるとかなり快適に使うことができた。

 試聴ではUSBメモリーに格納した楽曲ファイルを再生。デジタルファイルの型式あるいはデータ量の差をしっかりと音で描き分け、高次ファイルほど濃密な情報を送り出していることがわかる。また独自のチップ「GHA1000」の効果か、よく言われる“デジタルっぽさ”を抑えたらしいサウンドが特徴といえそうだ。個人的にハイレゾ再生のために高価なポータブルデジタルオーディオプレーヤーを音源として利用するのがカーオーディオと呼ぶには不似合いだと感じているため、こういった車載専用デジタルプレーヤーが進化して登場してくることは大いに歓迎したいと思っている。

すべての音が鮮明で、リアルに迫ってくる!
DSD128とDSD256の「音の器」の違いを明確に表現する能力には驚くしかない

文=黛 健司

 ゴールドホルンは1990年代なかごろ、中国福建省に設立されたホーム用ハイファイ機器メーカーが前身で、2004年にゴールドホルン・エレクトロニクス社として登記された。2016年には蓄積してきた技術を集大成した車載用デジタルプレーヤーを発売。これを使用した車両がIASCA CHINAやEMMA CHINAで好成績を納めたことで一躍評判となり、その後も、車載用のさまざまなエレクトロニクス機器を市場に送りだしている。

 現在、3機種のゴールドホルン・デジタルプレーヤーが輸入されているが、G3 SE Ⅱは最上級機だ。高価なだけあり、その構成は贅沢極まりないもの。アナログデバイセス製32bit/295MHz DSPチップ搭載。DACチップはESS社製ES9028PROを採用。さらにゴールドホルンの特徴であるGHA1000チップを搭載し、デジタル音源でもアナログライクなサウンドを再現するという。もちろん、ハイレゾ音源も再生可能で、PCMのみならず、DSD256(11.2MHz)まで対応している。

 試聴には外部パワーアンプを使ったこともあり、本格派の音が楽しめた。すべての音が鮮明で、リアルに迫ってくる! アコースティック楽器の実在感が圧倒的で、目の前で演奏されているような錯覚に陥る。クラシックではヴァイオリンの濃やかなニュアンスの再現が素晴らしかったし、微弱音域での表情変化が鮮明に再現され、音楽に惹き込まれてしまう。DSD128とDSD256の「音の器」の違いを明確に表現する能力には驚くしかない。

ゴールドホルン GOLDHORN
Digital Player
G3 SE II
¥484,000(税込)

SPECIFICATION
●サンプリングレート:
 PCM・44.1KHz〜768KHz(16〜32bit)、DSD・DSD64/DSD128/DSD256
●ハイレベル入力:4系統
●USBポート:3系統
●Wi-Fi対応:802.11b/g/n
●Bluetooth5.0対応:aptX HD、aptX、AAC、SBC
●RCA出力:2系統
●光デジタル出力装備:最大192kHz/24bit
●同軸デジタル出力装備:最大192kHz/24bit
●ビデオ出力:1系統
●入力感度:ハイレベル10〜16V
●SN比(アナログ):106dB
●SN比(デジタル):111dB
●外形寸法:W217×H43×D170mm
●ワイヤレスリモコン付属
●パネルコントローラー対応(別売)