ブロンズアワードを獲得したグラウンドゼロの4チャンネルパワーアンプGZUA 4SQ、その魅力とは。ここでは選考委員から鈴木裕氏と黛健司氏のレビューを紹介する。

低域も良く鳴っていて、押し出しがいいが
中域に厚みがあり、全体的にコントラスト強めに音楽を楽しませてくれる

文=鈴木 裕

 ドイツブランドの4chパワーアンプだ。115W×4(4Ω)、185W×4(2Ω)、440W×2(4Ω)というスペックだけ見ても充実した電源部をもっていることが想像されるが、その駆動力は数字を裏切らない。低域も良く鳴っていて、押し出しがいいが、中域に厚みがあり、全体的にコントラスト強めに音楽を楽しませてくれる。ヴァイオリンコンチェルトを聴くと、ソロヴァイオリンや木管楽器の倍音成分の再現性が高く、分解能も水準以上だ。漂うような成分の聴かせ方も上手だった。

 基本的にはAB級のアンプだが、「A動作領域まで任意で調節可能なバリアブル バイアス セッティング機能を装備」し、流す電流量をあげると、音の純度も音の温度感も上がったのを確認できた。説明によると「大容量のトロイダルトランスや最高級の音響用トランジスター、バーブラウンのオペアンプ、さらにはムンドルフ社製のMCapキャパシターなど、最高品質の音響用パーツを惜しみなく投入」しているという。また、内蔵クロスオーバーを持ち、「ハイパス、ローパスともに20Hz〜400Hzの範囲で設定することができ」る機能も使い勝手がいい。外部アンプをシステムに入れる積極的な音を持ち、4chなので、さまざまなシステムに対応できるミドルクラスの佳作と評価できる。コストパフォーマンスは明らかに良い。

明るく軽快な響き、しなやかで柔らかな表情も見せてくれる
ヴォーカル曲での声の艶やかさが魅力的

文=黛 健司

 1990年代末に発表されたサブウーファーとともにグラウンドゼロの名は広く知られるようになった。2003年には、ブランド名のグラウンドゼロが正式社名となり、現在では、サブウーファーのみならず、スピーカーからアンプやプロセッサー、インストール用各種パーツまで、あらゆるカーオーディオ製品を網羅する総合ブランドへと成長している。今回のASWGP2023においても、GZ ULTRA A-2パワーアンプが高い評価を受けたが(シルバーアワード受賞)、あちらは150万円超の高価格品で、誰でも手が出せるものではない。その点、GZUA 4SQは価格も手頃で、115W×4、115W×2+440W、440W×2(いずれも4Ω出力)と3通りの使い方ができ、可変クロスオーバー機能も搭載するなど、使い勝手もよいベストバイ的要素も併せもつ製品だ。

 同じ価格で2チャンネル機のGZUA 2SQもあるが、わたしが聴いた限りでは、4チャンネルモデルの本機を2チャンネルで使用した音の方が、2チャンネル機よりよいと感じた。2チャンネル使用では、GZUA 2SQは175W×2、GZUA4 SQは440W×2と、パワーも大幅に異なるので、そのへんが音質にも影響しているのだろう。GZUA 4SQは、音楽の演出が上手いというか、アクセントをクッキリとつける印象が強い。明るく軽快な響きだが、しなやかで柔らかな表情も見せてくれ、ヴォーカル曲での声の艶やかさが魅力的だった。

グラウンドゼロ GROUNDZERO
Power Amplifier
GZUA 4SQ
¥176,000(税込)

SPECIFICATION
●定格出力:115W×4(4Ω)、185W×4(2Ω)、440W×2(4Ω)
●周波数特性:10Hz〜70kHz(-3dB)
●入力感度:800mV〜6V
●SN比:110dB
●カットオフフィルター:20Hz~400Hz/200Hz~4kHz(×10)<バンドパス対応>
●全高調波歪率:0.01%未満
●ダンピングファクター:800超
●バイアスコントロール機能搭載
●外形寸法:W360×H46×D209mm

本体底面にあるバイアスセッティングボリュウム。2チャンネル毎に装備されており、GZUA 4SQには2つ存在する。MAXにするとA級領域での増幅動作となるが、マニュアルには発熱量も多くなるため、車両の搭載場所には配慮が必要との一文が記されている。

カットオフフィルターの調整部には、HPFとLPFがそれぞれ設定することができる。2つずつ存在する黒いスイッチはフィルターのオン/オフと周波数の×10スイッチである。黒スイッチの右は周波数調整ボリュウムだ。

スピーカー出力ターミナル。金メッキのターミナルはクリアアクリルの絶縁カバーで被われるデザイン。2チャンネル分4端子だが、両端を使ったブリッジ接続で出力をあげる事が可能。