音の生々しさや音楽の楽しさがしっかりと伝わってくる
これはなににも代えがたい良さといえる

文=石田 功

 ブラムの代表、ギー・ボンネビル氏とは、彼がフォーカルにいた頃から何度もお会いしている古い友人だから贔屓目に見ているということはけっしてないのだが、ブラムのスピーカーを聴くと「やっぱり良いなあ」と思える安心感がある。とくに声が良いのだ。それは、この165.100MG A.1のみならず、同時に試聴した10cmモデルにも言えることで、声に肉声感がある。生身の人間から出ている生き生きとした声が、スピーカーを通じて伝わってくるのだ。

 思うに、これは最終的なチューニングに時間をかけて入念に行っていることの証であろう。スペック的に優れた機器は多々あって、それは一部分では評価できるものの、声が無機質だったり生気が感じられない声だったりして、音楽を聴く上での楽しさが伝わってこないこともあるのだが、ブラムのスピーカーは音の生々しさや音楽の楽しさがしっかりと伝わってくる。これはなににも代えがたい良さといえる。

 165.100MG A.1はカーボンファイバーコーンの165mmウーファーと25mmマグネシウムトゥイーターの組合せ。再生周波数帯域は上が23kHzまでと控えめだが、ハイレゾにも対応している。実際、高域のヌケはよく音がクリアではっきりしているし、楽器の質感もよく感じられる。A.1はアクティブの意味で、パッシブクロスオーバー付属モデル(165.100MG.1)よりも安価に設定されている。日本ではDSPが主流だからパッシブ不要のユーザーも多いことへの配慮もうれしい。

楽器もヴォーカルも生命力に富んだ音で聴かせ
音楽が躍動的で情熱的、官能的と言ってもいいサウンドで楽しめる

文=長谷川 圭

 フランス産カーオーディオブランド、ブラムのスピーカーラインナップにあって上級グレードとなるシグネチャーラインの2ウェイ機である。本グランプリ企画では初となるのではと思うが、このモデルナンバーは2度目の受賞となる(前回は2018年)。165mmウーファーとマグネシウムダイヤフラムトゥイーターで構成するモデルだが、2022年にトゥイーターユニットの変更を受けた。そこで、.1となり再リリースとなっている。そのため、もともとユニットの実力は定評あるモデルであった。

 今回聴いたのは、マルチアンプドライブ前提のモデル。マルチはカットオフポイントの設定からスロープの選択、ユニットごとのレベル調整などチューニングのスキルを要求されるが、幅広い車種で音を詰めていきやすいので、チャレンジし甲斐のあるカーオーディオシステムとなる。

 実際に音を聴いて、クロスポイントやレベル調整などなどを試してみたが、比較的調整の自由度が高く鳴らすことができそうである。この懐の深さは多くのドライバーにとってありがたいはずだ。しかも、設定値によって鳴り方に変化は出るものの、そのいずれもブラムらしいフレンチサウンドを聴かせる。低音から高音まで強靭さを感じさせ、楽器でもヴォーカルでも生命力に富んだ音で聴かせる。そのため、音楽が躍動的で情熱的、官能的と言ってもいいサウンドで楽しめる。この味わいは同ブランドならではの持ち味と言え、多くの音楽ファンを魅了するはずだ。

ブラム BLAM
Speaker
S165.100MG A.1
¥154,000(セット/税込)

SPECIFICATION
●型式:セパレート型2ウェイスピーカー
●使用ユニット:ウーファー・165mmコーン型、トゥイーター・25mmドーム型
●定格入力:125W
●出力音圧レベル:93.2dB(2.83V/m)
●再生周波数帯域:50Hz〜23kHz
●インピーダンス:2Ω
●ウーファー取付穴寸法:φ142×D80,29mm
●パッシブクロスオーバーモデルS165.100MG.1(¥169,400/税込)もラインナップ