新製品が続々と発表される季節、注目すべきはディスプレイやスピーカーだけではない。ここではHiVi2021年10月号に引き続き、AVシステムを間違いなくワンランクアップさせる、“プラスワン”アイテムを紹介したい。(編集部)

 サエクが発売する最上級グレードのオーディオケーブル、STRATOSPHERE(ストラトスフィア)シリーズに、新たにUSBケーブルSUS-020が加わった。

 

SAEC
USB CABLE
STRATOSPHERE SUS-020
¥48,000(0.7m)+税

● 導体:PC-Triple C/EX
● シールド素材:アルミ箔×2、銅編組
● シース素材:PVC
● ケーブル径:φ6.7mm
● ラインナップ:1.2m(¥62,000+税)、2m(¥89,000+税)、3m(¥110,000+税)、4.5m(¥140,000+税)
● 備考:端子形状違いのUSB A-USB miniB、USB A – USB C、USB C – USB miniB OTG、USB C – USB A female OTGあり
● 問合せ先:サエクコマース(株) ☎︎ 03(3588)8481

 

 

 2017年にラインケーブル(XLRバランス/RCAアンバランス)とスピーカーケーブルの計3モデルで登場、その翌年にはデジタルケーブル(同軸/BNC)を追加発売したストラトスフィアシリーズ。すでにオーディオ界で高い評価を確固たるものとしているが、本年の夏に待望の、と言っていいと思う、USBケーブルのSUS-020が登場した。

 ストラトスフィアシリーズの特徴は、PC-TripleCを5N銀で包んだ2重構造のPC-TripleC/EXを導体に採用していることで、105%(IACS)という圧倒的な伝導率を誇るオーディオケーブルとなっている。この超低抵抗ぶりは、大容量で超高情報量のハイレゾデータの伝送にはまことにふさわしく、理想的なUSBケーブルの登場と言うことができるだろう。

 SUS-020を構造面から見ると、絶縁体には比誘電率に優れるフッ素樹脂を採用して信号伝送に悪影響を与える静電容量を低下。さらに、ツイストペアシールドに加えてアルミ箔シールドと銅網組の3重シールド構造としてノイズ対策も万全である。しかも本USBケーブルは高級オーディオケーブルによくある太くて硬いものではなく、意外なほど細く(Φ6・7㎜)しなやかな点が、実用的な面を考慮すると歓迎すべき点だ。

 加えてコネクター部分も、USBタイプA→Bに加えて、USBタイプA→ミニB、USBタイプA→C、さらにUSBタイプC→ミニB OTGや、USBタイプC→A OTGと、万全のラインナップとなっている。

 

TypeA-C

SUS-020はさまざまな形状で製品がラインナップされていることも特徴だ。写真のUSBタイプA→タイプC形状はオーディオ用製品が少なく、重宝するだろう。価格はUSBタイプA→タイプBと同じで、0.2m(¥30,000+税)もラインナップされる

 

 

 試聴ではネットワークトランスポートとD/Aコンバーター間をSUS-020にてUSB接続。その音はこれまで使用していた米国製や英国製の高価なケーブルの音を凌駕するきわめて透明で滑らかな音だった。音にメリハリを付けてくっきりと描くようなことがなくまことにナチュラル。録音の優れた弦楽合奏や女性ヴォーカルものを聴くと、特に艶やかかつエレガントな音に感服した。

 これは従来使用していたUSBケーブルと聴き比べた印象でもあるが、余韻の滞空時間の長さは圧倒的で、かつきわめて透明な音であるにも関わらずクールに傾かず、程よい温度感やウェット感が伴なう。さらに、パイプオルガンのような超低音領域までよく伸びているのは当然として、表現が難しいがその重低音領域まで透明と感じられる自然さがある。筆者は即刻SUS-020導入を決断した。