フォルクスワーゲンは、独ミュンヘンで開催されたIAA MOBILITY 2021で、新型のEVコンセプトカーID. LIFEを披露した。小型車セグメントにおけるクロスオーバータイプEVで、同社のACCELERATE戦略により、2025年以降に市場投入する狙いだという。

フォルクスワーゲンのコンセプトカー「ID. LIFE」

 ID. LIFEは、持続可能性とデジタル化を、多用途な使い勝手を持つ車両に組み合わせたとのこと。例として車内のシアター化、あるいはゲーム空間にしたり、リラックスできるオープンエアを楽しむことができるとしている。

 無駄を排したボディ設計に加え、インテリアを構成する部材は、天然素材とリサイクル素材を採用した持続可能性を反映したもの。ボディのクリアコートにバイオベースの硬化剤とともに木材チップを使用した天然着色剤が用いられているという。ルーフやフロントカバーのエアチャンバーテキスタイルには、100%リサイクルのPETボトルから作られている。タイヤの原料に至ってはバイオオイル、天然ゴム、もみ殻などの素材が多く含まれているとのこと。

ダッシュボードから立ち上げられたスクリーンは、映画はもちろんこの大画面でゲームを楽しむことも可能だ。

 カーエンターテインメントの部分では、車内にゲーム機やプロジェクターを搭載し、ダッシュボードにはスクリーンも内臓して必要に応じて立ち上げることができるようになっている。スマートフォンなどのデジタル端末を通じて楽しむことを想定しているようだ。さらに、230V16Aの電源供給も可能で、一般的な家電への給電もできるとしている。3.68kWはかなり幅広い使い途が考えられそうだ。

 シートアレンジも、フロントシートをたたむことでオットーとして利用し、よりくつろいだ姿勢でスクリーンに向かうことができるもよう。オーディオシステムがどのくらいの規模で組み込まれるのかはわからないが、近年は上級車で積極的に3D音響が採り入れられていることもあるので、数年後にはID. LIFEのような小型車セグメントでも採用されていることを期待したい。

シートアレンジはフロントシートをたたんだ「シネマシート」のほかにも約2メートル長のベッドとしたり、積載量を最大化できる「カーゴバージョン」など多彩。

ステアリングホイールには、基本的な運転操作が行えるタッチパネルを備えるという。アクセルおよびブレーキペダルに、ポーズ(ブレーキ)とプレイ(アクセル)のマークがデザインされているなどユニークさも見受けられる。

近年各社が多く採用するインフォテインメントシステムといったものは見当たらず、スマートフォンやタブレットPCといったデジタルデバイスを車両と連携させて使用するスタイルのようだ。

取り外しも可能なルーフで、オープンエアドライブも楽しめるという。