オートサウンドウェブグランプリ2020のブロンズアワードのひとつとなったカロッツェリアのサイバーナビシリーズ。モデルナンバーを「911」として登場。画面サイズは9V型、8V型、7V型(ワイド2DINタイプと2DINタイプ)の4モデルをラインナップ。AVナビのみのパッケージ加え、専用通信モジュールのネットワークスティック同梱パッケージ(モデルナンバーにDCがつく)を揃えている。また、HDMI端子にはストリーミングメディアプレーヤーを接続して使用可能とするほか、自宅のビデオレコーダーとインターネット経由で接続することもできるため、幅広いマルチメディア再生機として機能する。ハイレゾファイル再生では、PCMで最大192kHz/32bit(再生は96kHz/24bitへ変換)、DSDでは最大5.6MHzまで(PCM96kHz/24bitへ変換して再生)対応する。また圧縮音源をハイレゾ相当で再生するマスターサウンドリバイブも装備。全ソースを高音質再生する。詳細な音響調整機能をデジタル領域で行えるDSPも搭載するため、本格的なハイエンドカーディオシステムのメインユニットとしても活用が期待できる製品だ。ここでは、グランプリ製品選考会直後に選考メンバーによるサイバーナビの魅力を語った様子をまとめている。[編集部]

オートサウンドウェブグランプリ選考メンバー。左から石田功氏、鈴木裕氏、藤原陽祐氏、黛健司氏、脇森宏氏、長谷川圭氏。

パネラー・オートサウンドウェブグランプリ選考メンバー
[石田功、鈴木裕、藤原陽祐、黛健司、脇森宏、長谷川圭]
(まとめ=ASW編集部/写真=嶋津彰夫)

ASW:ブロンズアワード獲得モデルについてお話をうかがいます。今年のブロンズは2つとなりましたが、まずはカロッツェリアの2020年サイバーナビシリーズです。モデルナンバーが911となりましたね。このAVナビはどのような印象をもたれたでしょうか。脇森先生からお願いいたします。

脇森 宏(以下、脇森):はい。一言でいってすごく安心して聴ける音です。

ASW:安心ですか?

脇森:そう。この機械に任せておけばOKというようなね。カロッツェリアが作り上げてきたサイバーナビの音の……去年までのモデルで聴いていたのは、すごくいいんだけれどもうちょっと安定感みたいなところで、あと少し欲しかった。今年のモデルを聴いてみて兎にも角にも安定、自分の力をいつでも発揮できるんです。何を聴いてもちゃんとした音を聴かせる。そういう機械としての安定感が感じられて、しかも音はいつも通りの素晴らしさなんです。

 よくもこれだけ安定して、これだけの気持ちいい音を聴かせてくれるなと思いながら取材の時は聴いていました。

脇森宏氏。

ASW:ありがとうございます。では次に藤原先生の印象をお聞かせください。

藤原陽祐(以下、藤原):洗練されてますよね。高級オーディオに通じるものが感じられます。雑味がない、丁寧な、しなやかな音が出る。いいパーツを使って、しっかり回路を組んでオーディオ的な試聴で確認をして仕上げているというのがよくわかります。丁寧に造られたのが伝わってきます。

 ヴォーカルもきれいですし、響きとかそういうニュアンスの表現がいいですね、ささくれた感じがない。高級機らしいいい質感を持っている。内蔵アンプでちゃんとそういう音を聴かせながら、外部アンプでもその質感を残した音でそれなりのクォリティアップができるというのが……アルパインのビッグXでは一体型完結のコンセプトという印象でしたが、サイバーナビは構成システムをアップグレードしていこうという人にもお勧めできます。音の良いナビですね。

藤原陽祐氏

ASW:ありがとうございます。つづいて、黛先生、お願いいたします。

黛 健司(以下、黛):僕はアルパインがなかったら、このサイバーナビがベストの評価でした。やはりそれぐらいこれまでの同社製品よりもグッと良くなったと思うし、他社と比べると『敵わないだろうな』と感じます。カーオーディオの専門店などで音造りできるインストーラーにとっては、こういうAVナビがないと、クルマの音をまとめるのに苦労すると思うんですが、パイオニアというメーカーは自ら育ててきた専門店のインストーラーを満足させるような製品作りができているというところもとても評価できると考えています。

 音の印象は、聴いていて違和感がないというのが凄いなと思いました。だいたいヘンな音がすると『なんだこれは』となるわけですが、ヘンな音がしない。いつも聴いている曲を聴いても、自然な感覚で聴けたというのは相当な実力だろうと判断しました。

黛健司氏

ASW:ありがとうございます。では次に鈴木先生お願いします。

鈴木 裕(以下鈴木):リファレンスで使っていたダイヤトーンのスピーカーが、とてもナチュラルに聴こえてきて、少し柔らかめの音の感触で、音の色彩感もあって、こう……ジュワッとした肉汁が出てくるような感じ……音の厚みを感じさせつつ聴ける。でも低音を盛っているのではなく良く抜ける音だし、実態感や空気感が素晴らしい。本当にいい音の波を感じさせてくれました。音像の安定度やハイレゾリューションな感じという点でも、とても安心して聴ける、リファレンス的な音だと思います。とにかく聴きやすい音ですね。

鈴木裕氏

ASW:ありがとうございます。続いては石田先生はいかがでしたでしょう?

石田 功(以下、石田):このサイバーナビを聴いたときに、同時にサイバーXも聴いてみているんですが、サイバーが、S/Nで負けていないんです。これは凄いなと思います。そしてなにより、ネットワークにつなげて使える、昨年のモデルでも注目された機能ですが、他社製品ではまだどこも追いついていないですし、やはり評価したいところです。とにかく楽しめるメディアの幅が一気に拡がっていますよね。YouTubeにしてもAmazonにしても……自宅で契約していれば衛星放送まで観られてしまう。これは凄いですよ。

 音だけで考えても充分に優秀ですけれど、カーエンターテインメントを楽しむという面でも総合的にとても優れています。

石田功氏

鈴木 :去年、カロッツェリアのサイバーナビで自宅のNASに記録されている楽曲ファイルが聴けたり、ビデオレコーダーの映像が観られたりというのは、相当凄いことだと思ったんですけど、メーカーも説明が難しいのが嫌なのかあまり宣伝しなくなっていたんですよ。でも、ちゃんと今年のモデルでも機能として継続して搭載してきたので良かったと思っています。なぜなら未来に一歩踏み出しているものなので、こういう部分をなくしてしまうと、今後AVナビの価値を高く保つためにも……ナビだけで言うとかなり価値は下がってきてしまっていて、スマホアプリで充分だったり、純正で載っているもので用足りていたり……でもAVナビならこれができるというのがサイバーナビだと明確にアピールできる。使いやすさや音の良さも全部含めて優秀だと思います。

石田:他社の製品でも、高画質だったり高音質は体験できるんだけれども、基本メディアを持ち込まないとならない。でも、これからは……というかすでに、クルマにCDやDVDといったメディアの持ち込みはかなり減っています。

長谷川 圭(以下、長谷川):CDを持ち込んで聴くスタイルはどんどん減りますね。そういう時流に対して機能面での仕様で対応が進んできてますね。その中でもっとも進んでいるのがサイバーナビということでしょう。2020年モデルのAVナビの中でかなりクォリティは高かったと思いますし、音の鮮度という点ではずば抜けていたように感じます。

石田:唯一、アルパインがやたらと音が洗練されていてびっくりしましたけど、サイバーナビの品質は文句なしですよね。

長谷川;音楽の鳴らし方というか楽しませ方という点では、各社各様の良さがあるじゃないですか。そういう中にあってサイバーナビは音に癖がないし、脇森さんが音が安定しているとおっしゃいましたが、まさにそういうところが評価できますよね。

ASW:サイバーナビが、AVナビ機として総合的に高い評価を受けているということですね。あらゆる人に広くお勧めできる製品であることがよくわかりました。ありがとうございました。