対談=潮 晴男×黛 健司/Photo:Atsuko Goto
新旧caosでずいぶん音が違う事実
音楽の形がよりしっかり描かれる新型caos
オートサウンドウェブ(以下ASW):caosの標準車用バッテリーのC6(2016年発売)とC7(2018年秋発売)そしてアイドリングストップ車用のN-Q100/A3(2018年秋発売)をお聴きいただきました。
黛 健司(以下、黛):標準車用のC6とC7、アイドリングストップ車用のA3が用意されたわけですけれど、試聴結果をお話しするのであれば新旧の標準車用がわかりやすいでしょうから、その部分で進めていきましょう。いちおう断っておくと、C7とA3はよく似た傾向でC6との違いがありました。
今回聴いた標準車用のC6は、オートサウンドウェブの試聴システムでリファレンスとして使っているモデルで、これまでの試聴取材で使っていた物ですよね?基本的に常に満充電しつつ電圧の監視もしてちゃんとメンテナンスしているとはいえ、一方のC7は真っ新であるのに対してC6はある程度使い続けてきている。だからまったく同じ条件で比べたわけではないですね。
潮 晴男(以下、潮):でも実際にcaosのC6モデルを使っていたとすると、C7の登場に伴って載せ替えようというユーザーがいたら、まさにその状況が再現されたと言えますね。
黛:そうですね。車検のタイミングとか、2年から3年使っていてバッテリーを交換しようと、モデルチェンジしたcaosに変えたときの音の違いを、今回確かめられたということでしょう。
潮:経時変化つき!
ASW:そういうことになりますね。
潮:ごく一般的な使用条件に則した取材ですね。
黛:率直な感想を言えば、こんなに変わっていいのかというくらい違いますよね。
潮:変わりますよね。驚くのは音のにじみ……もともとC6を聴いていたときもクリアーな音だと思ったけれど、C7にするとヴォーカルの芯というか核がこう……きゅっとなるのは一番大きな違い。もう一つ感じたのはステージングが広くなるところ。単純にバッテリーを変えただけで、他に何の要素も加わっていないんだけれど、それだけ電源のエネルギーが充実していることがオーディオ再生にいかに有利になるかということを改めて感じました。
黛:パナソニックcaosのウェブサイトを見ていると、ここ数年言っていることは大きく変わっていません。C6とC7は、細かく言うと仕様が変わっているんでしょうけれど公表されていないんです。音は違うけれど、どんな要因で変わっているのか知りたいところですが、パナソニックのバッテリーの場合、その原因がなんなのかがわからないんです。
どうもひとつの要因だけではなくて、新モデルで採用した仕様が複合的に作用していると言うことのようですが、バッテリーの門外漢からするとほとんど変わっていないんじゃないかと感じます。でもいま潮さんがおっしゃったように、まず最初の音が出たとたんに目の前に広がっている空間の大きさがまるで違うんですよ。C7で聴いたとき、ものすごく広々としてるし奥行きも深い。それから空間のアンビエンスというか、レコーディングされている場所の特性みたいなものがC7ではよりはっきりする。
潮:僕も黛さんもスタジオレコーディングの曲が半分でしたね。特に僕が聴いたバッティストーニ指揮のベートーヴェンの交響曲第5番は、東京オペラシティで無観客収録したものです。だからライヴレコーディングでもないけれど、あのオペラシティの天井の高さというのが、C6caosでもちゃんと再現されていたように感じた。でもC7で聴くと『あ、これだけの高さがあったよね!』となる。ステージングの広さだけじゃなくて、奥行きもさらには高さまでも見事に描き出してましたね。
黛さんが聴かれていたムターのバイオリンのときも、彼女が弾くストラディバリの弦の太さがよりしっかり表現されてくる印象がありました。奏でられている楽器の素材が出す音というものも緻密に再生していたと思います。
ローレベルでの表現力が大きく変わりますね。感覚的なS/Nとしてはそれほど変わっていないのだと思うけれど、音ひとつひとつの質感がかなり違って聴けました。
ASW:黛さんはこれまでに歴代のcaosバッテリーをお聴きになってますよね? パナソニックだけではない他社製品とも聴き比べてされています。今日の取材でC7がとてもいい評価のようですが、ではC6が良くなかったのかというと、そうではありませんよね? オートサウンドウェブの試聴セットの標準バッテリーとしてきたcaosですから、これまでもよりよいバッテリーで聴くスタンスを崩さないで取材をしてきた自負があります。黛さんの印象でC6の実力というのを改めて言うとしたら、どうなりますか?
モデルチェンジするたびに、音の面でも進化を続けるcaos
黛:パナソニックのバッテリーって初めて聴いたのはもうずいぶん前になりますけれど、当時は整っていて綺麗な音だけれど、そのちょっとエネルギー感みたいな……馬力みたいなものは、例えば海外製のブランドのバッテリーの方が面白い印象があったように記憶してます。
歴代シリーズは、確実にクォリティが向上してきています。最初期の頃と比べるとC3とかC4のあたりで結構大きく変わったかなと思うんだけど、その後はリニアに変わってきている。新しいモデルが出ると確実に良くなってるけれど、それは同じベクトルで同じぐらいの向上具合みたいな感じでした。その延長でC6もひじょうによくできたバッテリーだという印象です。
でも、今回聴いた新caosでは、いつも聴いてるウィンストン・マルサリスのカルテットなどでは、ベースのピツィカートから始まって……ベースの音も全然違うなと思って聴いていたんですが、その後にピアノがリズム刻み出したのが聴けたと思いますけれど、あれがちゃんと聴こえないものが多いんですよ。
潮:ベースの足取り感というか、しっかり感は伝わってきましたね。C6を聴いたときでも、結構クリアな音のするバッテリーだなと思って聴いたけれど、でもやはり比較するとどうしてもそういう細かい部分に目がいくというか耳がいって、C7の方が音のひとつひとつの進み具合がしっかりしているなというのはわかりますよね。
黛:本来の形で聴こえてない時は意外と気が付かないもので、ちゃんと聴こえてくると『そうそう、こういう風に鳴ってくれないと困るんだよね』となる。これがまさにフィーリング・オブ・ジャズの冒頭30秒ぐらいで、『あぁ、全然違うな』という感じだったんです。他の曲も同じでした。たとえばピフパフっていう曲、あれはステレオサウンドのテストCDでリリースされたものの中の1曲で、20年くらい前に発売された物なのですが、昔、初めて聴いた頃にはわからなかったんですけれど、最近のオーディオ機器で聴くと、あの声をわぁーっと張り上げた時に、その声のエコーがふわっと空間に広がってる広がり方がわかるんです。
ピフパフの声の響きはちゃんとどちらのバッテリーも適切で正確に聴こえている。それに続くかすかなエコーの表現、そういうところまではC6ではちょっと聴き取りにくかった。C7はこちらが聞き耳を立てて聴きにいこうと思わなくても、そこで鳴っているから『ちゃんと出てるな』と聴くことができました。C6とC7にはそんな違いがありました。
潮:中域から低域にかけてのエネルギー感というのは絶対C7の方がよりはっきり感じ取れる。ステージングというかスケール感的なところで言うと、僕が聴いたカレン・ソウサの曲、これはスタジオレコーディングなんですけど、ミキシングの技としてバックコーラスを後ろに並べているんです。そのコーラスの浮遊感みたいなのは。C6よりC7の方がきちんと出てくる。メインヴォーカルはより聴き手近くに定位しながら、コーラスがその後ろに聴こえるという部分で新旧の違いを確かめられたと思います。
あとは情家みえのエトレーヌからキャント・テイク・マイ・アイズ・オブ・ユーをかけましたけど、自分で録音した曲なので、すごくよく分かる楽曲なんです。ベースの当たりであったり、特に冒頭に入るドラムスのシンバル系のレガートの出方なども音の形が凄くいいなと思いました。
新旧比較するとそういう表現になるんですけど、けっしてC6が悪いとは思わない。C7がそれだけ進化したということなのでしょう。
バッテリーの寿命が一目瞭然のアクセサリー
ライフウィンクもお勧め
黛:おそらくは、今C6を使ってらっしゃる方でも、もう場合によったら2年以上使ってるでしょう。
潮:C6は2016年デビューで2018年の秋冬まで販売されていたというから、そのくらい経ちますね。黛さんはどのくらいでバッテリー換えてますか?
黛:僕は比較的長い方じゃないかと。ただメンテナンスはちゃんとします。ライフウィンクというパナソニックが発売しているバッテリーの状態をチェックするオプションパーツがあるんです。それをつけてるんです。
潮:バッテリーの上に?
黛:そうなんです。ところがcaosって長寿命を謳っているだけあって劣化しにくいんです。LEDが点灯する数で状態を知らせてくれるわけなんですが、ある程度使うと1つくらい点かなくなる。少し性能が落ちたかなという状態ですね。でも僕が使っていた経験では、1個以上は落ちないんです。それより先に、他の要因でバッテリー変えることになることが多かったですね。ただ僕の乗っているクルマだと、ギリギリまで使うのは怖いから長くても3年くらいで換えています。それでもライフウィンクを見ていると『まだ大丈夫だ』と安心して乗れるから管理は楽になりました。
潮:僕はドライバッテリーを使ってるんです。ドライバッテリーは突然死するんです。或る日、朝エンジンかけてひとしきり走って、出かけた先の駐車場に停めてたらエンジンがかからなくなったことがある(笑)。それがあってから超怖い。昔のクルマみたいな前兆が出ないし、セルが回りにくくなるとかね。なので早め早めには換えてるんですけど、ぼくもやっぱり3年が今一つのメドかなと思ってます。
ASW:標準車用caosの場合、3年は保証期間内ですね。
潮:保証期間内なの? すごいねそれ。その保証期間だったら、普通のクルマなら5年くらい使えそうですね。
黛:あとライフウィンクには情報が記録される機能があるんですよね。専用の機械を使うとデータが読み取れる。
ASW:専用のテスターで見ると、ライフウィンクを着けたときからのバッテリー状態が時系列で確認することができます。
潮:そんなこともできるんだ。
黛:いろいろと他のバッテリーではやっていないようなことをcaosでは実践しているんです。だから安心して長く使えるんですけど、今回の取材をしてみて、これだけ音違うんだったら、これまで使っていたバッテリーの性能が劣化したからというのではなくて、新しい音を聴くためにモデルチェンジした時には入れ替えた方がいいなと思いました。
潮:だって実売価格で2万円くらいでしょう? その辺でいい加減なケーブル買ってもそのくらいの出費にはなるんだから超お買い得だよね。電力供給源の大元から換えるっていうのはすごい理にかなってる話だし。
黛:このサイズ(100D23)だといくらくらいで買えるんですか?
ASW:今調べてみましたが、Amazonで一番安い所だと12,000円ほどで買えるようです。
潮:それだとケーブルも買えまへんで。
黛:音の変わる要素というか、比重からいったらやっぱりバッテリーが一番大きいかもしれないから、そのアクセサリーパーツを換える前にバッテリー換える方が効率がいいかもしれないですね。
潮:でかいロケットみたいなコンデンサーをやめてね。
いい音を求めるなら、同じバッテリーを3年使っているなら
新型caosに換えることを勧めます
黛:あと単体のパワーアンプなんかを積んでる人は、バッテリーは消耗品だと思ってどんどん換えていった方が絶対にいい音が聴けると思いますね。
潮:それは正しいと思う。本当に。カーオーディオに真剣に取り組んでいる人は、パワーアンプを2台も3台も積んでいる人がいますから、そういうクルマではバッテリーの劣化は早いはずだしね。3年交換説は大いに推奨したい。
黛:過去には車載状態でそのバッテリーを交換してどのくらい音が変わるか、といったこともやってきましたが、やはり今回のような音の変化は分かると思います。試聴取材で感じた違いが試聴室とクルマの中でどのくらい相関が取れるか確かめたんです、ほぼ聴き分けられます。だから今日ここで聴いたC6とC7の違いは、そのままクルマでも出るはずです。
潮:ここでこれだけの差がわかるのだから、クルマでも相当はっきりとした違いが感じられるでしょう。
黛:音に興味がある、あるいは少しでもいい音で聴きたいという人、ましてやcaosを使っていないという人であれば絶対caosにした方がいいと思います。すでにcaosユーザーという場合でも、搭載してもう1年以上経ってたら、「換えてみると音が変わってびっくりしますよ」というぐらい違いはあります。
潮:ライバルはいない感じがするね。東南アジア生産のものなどは比べものにならない印象だし。
ASW:国産ブランドでも、海外生産の物が多いですし、海外ブランドだとバッテリーの大手メーカー品ということになるでしょうか。それとcaosはとても希な純国産品だそうです。パーツ調達もすべて国内。
潮:純国産は今や貴重だけれど、やはり技術的なレベルは高いし、それゆえに高品質の物ができる。なるほど、そういう背景もcaosにはあるんですね。ぜひ国内生産を続けてもらいたい。
黛:caosは、今回新旧の比較がとても興味深い結果だったこともあって標準車用の話ばかりになっていますが、アイドリングストップ車用やハイブリッド車用などのバリエーションがあります。僕が使っている輸入車用もありますしね。
潮:充実しているよね。
黛:バリエーションの話でいうと、アイドリングストップ車やハイブリッド車などの場合、バッテリーとしてはとても過酷な状態で使われているはずで、昭和の時代のバッテリーなどとは比較にならないほどの性能が求められているはずです。そのすべてに対応できるcaosですから、愛車に搭載できるcaosをぜひ試してみてもらいたいと思います。自分が乗っているクルマの同容量のもので選べば、まず間違いなくcaosの音の良さを実感できるでしょう。もしクルマのオーディオを市販品に換えていなかったとしても、この違いはわかるはずです。
潮:とてもリーズナブルなグレードアップが図れるね。
パワーケーブルの違いがどれほど聴き取れるのか
caosバッテリーによるケーブル組合せ試聴を実施
ASW:先ほどの条件から、バッテリーをC7caosに固定して、電源ケーブルを換えてお聴きいただきました。オートサウンドウェブの試聴リファレンスケーブルは、オーディオテクニカが2008年に発売したレグザットシリーズのAT7704およびAT7708を使用しています。今回は、ごく一般的な電源ケーブルとしてオーディオテクニカのTCP8(¥800/m)を、そしてつい最近発売された同ブランドのレグザットシリーズAT-RX008(¥8,000/m)を用意してそれぞれを聴いてみました。
潮:一般的には多分、普通のカーオーディオユーザー、カーオーディオファンは、もしかしたら市販のケーブルに換えることすらしていないかもしれないけど、エントリーグレードの商品としてテクニカのTCP8を聴かせてもらいました。もともとのリファレンスケーブルAT7708からはだいぶグレードダウンになるんですよね。これはレグザットシリーズの2世代前の電源ケーブルで、音のクォリティが評価されてのリファレンス採用ですから、かなりの差がある。
それなりの音では聴けたと思います。まあわかりやすい音と言える。気になるとことしてはざっくりした感じ、荒くなる感じはあった。この荒さを言い換えるとダイナミックに聴こえるとも言えなくはない。
そんな感じではあったんですけれど、カレン・ソウサのヴォーカルを聴くと音のフォーカスが甘くなる、全体的な印象だとぼやける感じは認められる。良く言えば鷹揚、細かいことにこだわらなければこれはこれで聴ける。ただ、2世代前とはいえ高級ケーブルと比較するとレンジ感も少し下がる。せっかくバッテリーを最新の高性能バッテリーに変えたのであれば、電源ケーブルも何らかの形でそれに見合ったものもしくはもそれ以上のものでもいいと思います。
カーオーディオの最初の生命線になるから、ぜひ標準品よりはグレードの高い物を使ってあげた方がより良いパフォーマンスが引き出せると感じました。
黛:caosのC7バッテリーを使ってパワーケーブルを変えたわけなんですけれど、そのパワーケーブルは価格的に約10倍の価格差があります。実際に出てきた音って『相当違うな』と。ある意味caosバッテリーって強いというか、怖いというか、ある意味危ない。
潮:危ない!?(笑)。
黛:オーディオ的に泥沼にはまり込んでしまいそうなね、やることやればそれがちゃんと音の違いとして反映される、いい物を使えばどんどん良くなる。ついつい嬉しくなってしまう。
潮:良くなるなら嬉しいじゃないですか(笑)。
黛:そういう経験をすると、もっとやりたくなるじゃないですか。そういう危なさを持っていると……。
繊細な表現もしっかり再現してくれる
caos & レグザット
潮:オーディオの趣味ってつねにそういう二律背反した部分を持っていて、それが楽しくなくなったらやめたほうがいい。TCP8のあとに、同じテクニカのレグザットAT-RX008に換えて聴いてみると、ヴォーカルの形がちゃんとした形になってフォーカス感も上がるんだけど、音場がきゅっとしまって立体的に聴こえるというのもいいなと思いました。中低域の量感がエントリークラスの電源ケーブルだと下がるんだけど、レグザットだと量感的にも出てくる。なにより歪みが減った気がしましたね。
黛:音の雑味が取れる感じですよね。
潮:雑味がなくなりますね。
黛:明確にわかりますよね。安い方のケーブルだとC7caosなだけあって空間の立体的な表現などはちゃんと聴こえているんだけれど、個々の音はちょっと荒さが取り切れていない。そのあたりが、綺麗に磨きこまれるんだけどツルツルになってしまうのではなくて、産毛などはちゃんと残ってるみたいな……。
潮:そうですね細かい表現力できちんと伝えてくれる。
黛:そういう微妙な違いというのをちゃんと的確に聴き分けられるだけの、バッテリーとしてのいわば電源部の能力がそれだけ上がってきているということなんだろうと思うんです。
潮:性能が上がってきているし、その能力をちゃんと電源ケーブルが伝えている。これ、料理の味で言うと旨みの部分っていうか、最後の塩のひとふりみたいなとこあるけど、美味しいものを食べるための努力は惜しまないっていうのがこのケーブルとかになるんじゃないかと思う。
黛:例えばカーオーディオがすごく好きでいい音を聴きたいっていうことで、それなりの装置をしっかり取り付けて『結構自分としては相当やることはやっているぞ』と思ってらっしゃる方は、ちょっと電源周りを見直してみてはどうでしょうと提案したいですね。
使ってるスピーカーそのものとかアンプそのもの、あるいはヘッドユニットやプロセッサーはいいかもしれないけれども、それがどういう状態で設置されていて、どういうチューニングで最後の調整ができているのかみたいなところまで、きっちりトータルで本当に仕上げていくためには、やっぱり最初に電源はしっかりさせた方がいいよと言いたい。
潮:本当にそのとおりです。まず電源は全てのエネルギーの根源だから、ここをケチったらいい音は出てこないので、是非ともここには目配せして欲しいし、電源を見直すことで今、黛さんが言ったみたいにいろんな楽しいことが分かるわけです。『え? ここ、こうだったったっけ?』という具合に。そこからまたステップアップしければいい。
ホームオーディオでもそうなんですが、本体にはとんでもなくお金をかけるんだけれど、その周辺をぞんざいにしているという例がよくあります。優秀なオーディオ機器のパフォーマンスを引き出すためには、秋帆の物にもちゃんと目配せして、それなりに投資する必要がありますね。
黛:僕は自宅のオーディオシステムで、あるときからクリーン電源ユニットを導入しているんです。それで電源の波形等までは見ていませんけれど、電圧計で家のコンセントの電圧を見てみると、時間によってけっこうな変動が見られるんです。
潮:家庭用電源の電圧は、思う以上に乱高下しますからね。
黛:そのクリーン電源ユニットを入れてみてしみじみと思ったけど、電源はちゃんとしないと駄目。古くからオーディオをやってる人間だと、今こんな話しても誰も信じてもらえないだろうけど、調光器入れたら音悪くなるしね、調光器っていまの時代では当たり前になりましたよね。まして最近は100Vの中にいろんなものを平気で流すようになったでしょう。
潮:インターネットを電源ラインに乗せてとかね。コンセントに来てる電気だけじゃなくて、それこそ無線LANも当たり前になってきてる。とにかくノイズの渦だらけだから、そこからいかに電源を守るかというのは大事です。
黛:クルマの中も似たような状況でしょう。
潮:いや、むしろクルマの方がひどいかも。
黛:そういう環境だとして、いいバッテリーを使っていないと、いろいろとあるはずの問題が顕在化していないだろうと思うんです。でも最新のcaosにしたら全部つまびらかにしてしまう。マニアこそやっぱりより良い電源環境に整えるべき。
潮:caosとレグザットの組合せって、ノイズの成分がすごく目立ってくると思う。カーオーディオでは特に電源ケーブルがあって、デジタル信号がアナログがあってスピーカーが走ってますよね。加えて、車両のコンピューターやエンジンプラグのスパークなどもある。そういう物すべてが不要輻射を出してる。そしてお互いにそれを受けている。そういう中でケーブルの順序を並べ替えてみてノイズが乗る乗らないといったことが分かるような電源環境になると思います。
ローレベルの……微少レベル再現力が上がって聴こえるから、そこがどういう影響を受けてるかっていうのがものすごく耳に付く、安価なケーブルだと高域にスパイクが乗ったような音が聴こえてきちゃう。
ASW:いいものはよりよく聴こえるけれども、少しでも難ありな場合は……。
いい音で聴いてもらいたいからこそ
電源環境をぜひ整えて欲しい
潮:そう。だからこのバッテリーとケーブルに交換すれば全員がバラ色のカーオーディオライフとはならないかもしれない。逆にがっかりする人もいると思う。でもそれはどこかに不都合な箇所があるせいで、そこを正せば本来のパフォーマンスが発揮できるようになるはずです。
黛:カーオーディオが好きな人ほど、同じ曲を何千回何万回と聴いていると思いますから、その耳で聴きたいと要求するレベルもおのずと上がってくるでしょう。ですからC7caosにしたら自分の車の問題点を認識することになるでしょう。いい製品をチョイスしているけれどまだまだやりようがあるというのを如実に突きつけてくるような……さっき言ったことを繰り返しますけど、怖い存在であり困った存在ですね。
潮:でも、いい音を聴いて欲しいです、いい音を。オーディオっていい音で音楽を聴こうという趣味なんですから。料理でもどうせなら美味しいものが食べたいはずでしょう。オーディオって、美味しい料理を美味しく食べるのと同じで、いい音楽をいい音で聴くためのものなんです。
黛:まさにいい音で聴くための大事なところのひとつが電源で、C7caosだと細かなところまでちゃんと聴き取ることができるのが確認できた。オートサウンドウェブのリファレンスで使用しているスピーカーは、ずいぶん長く聴いているのだけれど、実は最新のcaosと最新のオーディオテクニカレグザットを組み合わせたときに『まだまだこんな音が出せたのか』と感じたんです。つまり、これまで使っていたカーオーディオが持っている本来のポテンシャルを充分に引き出してくれたということなんですよね。
潮:黛さんが聴いていたオペラ……。
黛:サミュエル・ラミーという歌手ですね。
潮:その声の後ろでグランカッサが鳴らされているでしょう。あのかすかに聴こえる太鼓の聴こえ方が組合せを換えるたびに違っているのが興味深かった。ああいう微少レベルでの再現力がcaos & レグザットで一番よく出ていましたね。
黛:聴き手を本気にさせる音だと思いました。
潮:まさにそういう音でしたね。
特別企画/協力:パナソニックカーバッテリー