今週末の6月29日(土)と30日(日)の両日に、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されるOTOTEN AUDIO&HOME THEATER FESTIVAL 2019(音展)。オートサウンドウェブでは音展に出展されるカーオーディオについて、その見どころや聴きどころを先行取材した。

 三菱電機が音展2019に展示するデモカーは2台、ここにご紹介するトヨタ プリウスは、車両純正装備から、AVナビのみ換装したクルマである。つまり、本デモカーにおいての見どころはAVナビのNR-MZ300PREMIのみといえる。

AVのみ市販カーオーディオに!
意外なデモカーのすごい見どころ

 メーカーデモカーならば、そのメーカーが企図するサウンドを聴かせることが第一義であり、オーディオソースを担うAVナビが入れ替わるとはいえ、音の出口、オーディオシステムのキャラクターを決定づけるであろうスピーカーを車両純正に任せるなど、なんとチャレンジングな行為だろうと思う。しかし、純正スピーカーを活用しているからこそ生まれる聴きどころが、このクルマにはあるのだ。

 まず、一聴して感じられるのは、耳当たり良く聴きやすいところ。純正スピーカーの性能に合わせてサウンドチューニングが行われているので、刺激的な音がしなくて当然とも思うが、その音の詰め方を聞くと「なるほど」となる。

 プリウスの純正装着スピーカーはダッシュボードにトゥイーター、フロントドアにウーファーという2ウェイスピーカーにリアドアのフルレンジスピーカーという6スピーカー。対してNR-MZ300PREMIの内臓パワーアンプは4チャンネル。オーソドックスな接続でフロントスピーカーとリアスピーカーをドライブする。が、ここでダイヤトーンサウンドナビならではのテクノロジーが光る。

純正装着スピーカーの音を劇的に向上させる、ダイヤトーンサウンドナビNR-MZ300PREMI。

独自のDSP機能で実現する驚きの純正スピーカー活用術

 NR-MZ300PREMIに装備されているDSP機能には「マルチウェイ・タイムアライメント」があり、他社製DSPではマルチアンプドライブのシステムでなければタイムアライメント機能を利用できないが、ダイヤトーンサウンドナビではパッシブクロスオーバーネットワークで帯域分割するスピーカーに対してこの機能を作用させることができる。このため、4チャンネルの内蔵アンプで6スピーカーのタイムアライメントが調整できたというわけだ。

 この効果のほどはというと、聴取位置において見事に音のタイミングがそろって聴こえるのだ。純正スピーカーでもきれいにタイミングが整うと、これほどまで良く聴こえるものかと感心してしまう。DSPの調整値についての詳細はひかえるが、フロント2ウェイスピーカー、リアスピーカーについて、マルチウェイタイムアライメントおよびレベル調整、さらに全体においてわずかながらイコライザー調整が行われている。

30系プリウスのダッシュボード両端には、高音用トゥイーターが純正装着されている。スピーカーユニットは65mmのコーン型で、1次フィルターで低域をカットする。

ダッシュボードのトゥイーターと2ウェイを構成するドアのウーファーには、楕円型のコーンスピーカーが純正装着されている。

NR-MZ300PREMIのサウンドチューニング画面。フロントスピーカーの帯域分割をおこなうクロスオーバー設定がおこなわれているのがわかる。独自の機能マルチウェイ・タイムアライメントによって、高度なDSPセッティングを実現している。

 仕上がりの音が車両に装着されている純正スピーカーのクォリティに左右されるとはいえ、ダイヤトーンサウンドナビの技術力によってどれほどの高音質化が図れるかを知ることができる1台である。音展のデモ時に時間が許されるかどうか不明だが、DSPによるサウンドチューニングのON/OFFを確認すると、その音の変化に驚くことだろう。

 同ブランドもう一台のA180では、これぞダイヤトーンカーオーディオという高品位サウンドをデモしているので、併せて試聴されることをお勧めする。

<photo:Kei Hasegawa>