ザプコ最上級のZ-APシリーズの高出力ステレオ機
ひと言で表現すれば『大人の音』音楽に没入できる魅惑のサウンドだ

文=黛健司

 ザプコは1974年にカリフォルニアで設立されたパワーアンプの名門だ(現在はプロセッサーなどもラインナップしているが、同社の根幹はパワーアンプだろう)。一時期、日本への正規輸入が途絶えていたが、2017年より現在の輸入元により再導入が開始され、かつてのザプコユーザーを喜ばせた。現在、ザプコのパワーアンプは4つのシリーズで構成されているが、Z-APシリーズは最上級モデルに位置付けられる、音質最優先で開発された製品だ。このシリーズには2ch機が2機種に4ch機、6ch機がラインナップされるが、本機はモデル名のとおり、AB級動作で400W×2ch(4Ω)の出力をもち、ブリッジ接続では1,350W(4Ω)が可能だ。高音質で定評のあるサンケン社製TO-3Pパワートランジスターを採用するなど、パーツ類にはこだわり抜いた逸品が贅沢に使用されている。

 このアンプのサウンドをひと言で表現すれば『大人の音』と言えるだろう。弾力感に富んだまろやかなベースが心地よく、ヴォーカルには艶がのり、喉の潤いが感じられる。ビブラートの再現など、絶妙のひと言。ビッグバンドジャズのフォルティッシモでの炸裂感、リズムの揺らぎ……、うっとりと聴き惚れるしかない。楽器の音色や質感の再現性も素晴らしい。音楽に没入できる魅惑のサウンドだ。

基本に忠実なブランドのフラッグシップパワーアンプ
使うほどに愛着が湧いてきそうな音を持つ

文=脇森宏

 ザプコは米国キッカーカリフォルニアに本拠を置くカーオーディオブランド。1974年に設立。45年の長きにわたってパワーアンプとその関連製品を送り出してきた。同ブランドの一連のコンポーネントは基本に忠実、ギミックなもの作りからは最も遠いポジションに位置するブランドという印象を受ける。Z-APシリーズはザプコのフラッグシップ。シリーズは150W出力の2ch/4ch/6chの3機種と、今回聴いた400W×2ch機の4モデル体制。いずれのモデルにもサンケン、東芝といった日本の素子の他、ホーム機器で定評のあるWIMAコンデンサーが贅沢に配合されている。

 Z-400.2APは、同ブランド伝統の優しみのある音色とハイパワー機ならではの力感と安定感。人声は口の動きだけでなく胴体や脚、さらにはフロアの存在まで感じ取れるほどだし、オーケストラでは広く自然に広がる空間再現力に加え、楽器の的確な描き分けが印象に残った。少しばかり地味で控えめなところがあるけれど、使うほどに愛着が湧いてきそうな音を持つアンプ。じっくりと向き合っていけるマニアにお薦めしたい。

ザプコ zapco
Z400.2AP
¥260,000(税別)

SPECIFICATION
●定格出力:400W×2(4Ω)、670W×2(2Ω)、1.350W×1(4Ω)
●入力感度:1〜9V
●入力インピーダンス:30kΩ
●周波数特性:10Hz〜30kHz
●歪み率:0.05%以下
●SN比:110dB以上
●チャンネルセパレーション:60dB以上
●外形寸法:W190×H62×D480mm
●重量:6.8kg
●備考:フルレンジRCAプリアウト2チャンネル装備、内蔵ヒューズなし(外部ヒューズ60A必須)

■問合せ先:
株式会社エムズライン
電話番号:048-642-0170
Eメール:office@ms-line.co.jp

≫Auto Sound Web Grand Prix 2018受賞製品一覧に戻る