10月23日、国内最大級のハイエンドオーディオの祭典「2026 東京インターナショナルオーディオショウ(TIAS2026)」が、有楽町の東京国際フォーラムにて開幕。本日25日まで開催されている。
今回、特に大きな注目を集めているのが、JBL創立80周年を記念するフラッグシップ「Summit」シリーズの最高峰モデル「Summit EVEREST」の一般初公開である。1985年の「PROJECT EVEREST」シリーズ初代モデル「EVEREST DD55000」から受け継がれてきた伝統と最新の音響技術が結晶したこの最新鋭フラッグシップの音を聴くため、D棟1階ハーマンインターナショナルのブースには初日朝一番から多くのファンが駆けつけ、立ち見が出るほどの盛況ぶり。スタッフの厳選したアナログレコードを中心に、多くのソースが再生された。
「Summit EVEREST」。JBLのスピーカー全ラインナップにおけるフラッグシップモデルとなる。価格は¥24,200,000(税込、ペア)
試聴セッションでは、スタッフがユニット構成などを詳しく解説しながら、厳選のアナログレコードやCDを次々と再生した
「Summit」シリーズは各カテゴリーのフラッグシップを集めたラインナップで、先行する「Ama」「Pumori」「Makalu」に続き、今年は380mmシングルウーファーの「Summit K2」とダブルウーファーの本機が加わった。Amaを除くフロアー型モデルに共通する設計変更は、独立したミッドバスユニットの導入。これまでの多くの2ウェイモデルではウーファーにも2kHz前後までの高域特性が求められていたが、本機では新開発の250mm径ミッドバスに中低域(約1.5オクターブ)を受け持たせることで、ウーファーを超低域再生へと特化させた3.5ウェイシステム構築としている。
ミッドレンジの新規搭載が大きな特徴で、会場にはウーファー、コンプレッションドライバーと合わせて展示されていた
Summit EVERESTの大きな特徴である250mm径の2基のミッドバス「JMW250SC」は、3層構造のHC4コーンと3インチ・ダブルボイスコイルを採用。クロスオーバーを下側は270Hzで揃えつつ、上側は一方(内側)を850Hz、もう一方(外側)を550Hzに設定している。この帯域制御の効果は、試聴デモで再生されたエヴァ・キャシディのライヴ音源「Time After Time」でも明瞭に聴き取れた。大型システムでありながら、ヴォーカルの口元が不自然に大きくならず、等身大の音像が空間中央にピタリと定位し、ライブ会場の空気感が自然に広がっていた。
中高域には、横幅約900mmのSonoGlass製HDIホーンを採用。中央奥には2インチ・デュアルリング振動板をプッシュプル駆動する新開発コンプレッションドライバー「D2820」を3基備え、独自の「3-into-1マニフォールド」によって組み合わせることで高出力と高効率、さらなる低歪み化を実現しているという。フリードリヒ・グルダとジョー・ザヴィヌルによる2台のピアノの共演曲「Volcano for Hire」では、打鍵の力強さやスピード感、ピアノのサイズ感までが明瞭に再現されていた。
新開発のSonoGlass製HDIホーン。奥にドライバーのイコライザーが見えている
3基のD2820 D2ドライバーを、バランスの取れた対称配置で統合する独自の3-into-1 マニフォールドと組み合わせている
低域を受け持つ2基の380mm径ウーファー「JW380SC」は、HC4コーンと4インチのデュアルボイスコイルを搭載。磁気回路の前後に配置されたインパーテッド・デュアル・スパイダーにより、大振幅時でも正確なピストン運動を維持するという。ボブ・ジェームス「Westchester Lady」での深く沈み込む重低音とキレの良さの両立、ブランフォード・マルサリスの「Three Little Words」でのテナーサックスの息遣いやアコースティックベースの素早いレスポンスは、低域特化設計の成果と感じた。
クロスオーバーネットワークは計4枚の独立大型基板で構成され、計123個もの小容量フィルムコンデンサーを並列配置する「MultiCap」技術によりエネルギーロスを極小化。背面の3系統の入力端子とフロント下部パネルのショートストラップにより、シングルからトライアンプ接続まで対応する。
また、曲線を帯びた8角柱の高剛性キャビネットは、滑らかな曲面を得るために3mm厚のMDFを9枚重ねて成形されている。バッフル面は微妙に厚さが異なり、もっとも厚いは部分は90mmもあるという。IsoAcoustics製カスタムフットや金色のアルマイト処理アルミ材がルック的なアクセントにもなっている。
123個もの小容量フィルムコンデンサーを使用したクロスオーバーネットワーク。ウーファー用、ミッドバス用(2基)、ミッドハイ用の4枚構成
この日のソース系機器は、アナログプレーヤーにマークレビンソン「No.5105」、ストリーミング/SACDプレーヤーに「No.5101」が使われた
この日の駆動系システムには、マークレビンソンの最新デュアルモノーラルプリアンプ「No.626」と、定格出力500W(8Ω)のモノーラルパワーアンプ「No.631」が使用された。終盤で再生されたフレデリック・フェネル指揮 ダラス・ウインド・シンフォニーによる吹奏楽では管打楽器と大太鼓のダイナミズムが会場を包み込み、ビル・ベリー・アンド・ヒズ・エリントン・オールスターズの「Take the 'A' Train」では華やかなブラスとスウィンギーな歌声がビッグバンドの広大なスケール感とダイナミズムを存分に伝えてくれた。
奥の2台はマークレビンソンのスタンド型の最上位パワーアンプ「No.631」。手前はステレオパワーアンプの「No.632」
別時間に行なわれた「Summit K2」のセッションでも立ち見が出るほどの盛況ぶりだった
初日となるこの日はSummit EVERESTのセッションが10時と18時の2回、Summit K2のセッションが2回、先行するSummitシリーズのAma、Pumori、Makaluの3モデルを鳴らすセッションも1回行なわれた。最終日となる本日もSummit EVERESTが10時と16時の2回、先行3モデルが12時、Summit K2が14時にそれぞれ1回行なわれる。JBLの80年の歩みが結実した「Summit EVEREST」の驚愕のサウンド、会期中にぜひ会場で体感していただきたい。
壁面にはJBL80年の歴史を振り返るパネルを展示。ステレオサウンド誌に掲載された写真と紹介文とともに時代を彩った銘機の数々が並んでいた