昭和末期の日本でも劇場上映されて大ヒット。アカデミー賞作品賞の主要8部門にノミネートされ、脚色賞、美術賞、衣装デザイン賞を受賞した『眺めのいい部屋』が作品誕生40周年を記念して4K化、9月25日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開される。

 往年の名作がリマスターによって、いっそういい感じでスクリーンに戻ってくるのは実に歓迎すべきことであり、その作品を未見だった私のような者にとっても実に嬉しい。見たことのない作品はいつの制作であろうが鑑賞者にとっては「新作」であり、それがよりよい画像で堪能できるのは、快挙というしかないだろう。

 評価の定まった一作ゆえ、その筋書きについては数えきれないほど紹介されているはずだ。原作は1879年ロンドン生まれの文豪、E.M.フォースターが1908年に発表した『眺めのいい部屋』。中で綴られているのは1907年の英国とイタリアにまつわる出来事だから、当時最新の“時代の空気”を盛り込んだ一作であったことだろう。それが英国で映画化されたのは、1986年4月のこと。その間、約80年の歳月が流れていて、「1907年の最新のヴァイブレーション」は、「古き良きヴィンテージ感たっぷり」に、フィルムにとどめられている。「真実の愛に目覚める物語」ではあるのだが、その背後に見える身分の関係、「労働」という概念がまるごと欠落しているのではないか?と思われる、一種浮世離れした登場人物の動きにも注目したい。プッチーニ、ベートーべン、シューベルト、モーツァルトらの楽曲もいい。監督はジェームズ・アイヴォリー、出演はヘレナ・ボナム=カーター、ジュリアン・サンズ、ダニエル・デイ=ルイス、マギー・スミス、ジュディ・デンチほか。

映画『眺めのいい部屋 4K』

9月25日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開

原作:E.M.フォースター
製作:イスマイル・マーチャント
監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:ヘレナ・ボナム=カーター、ジュリアン・サンズ、ダニエル・デイ=ルイス、ルパート・グレイブス、ジュディ・デンチ、マギー・スミス
配給:ザジフィルムズ
1986年|イギリス映画|カラー|117分|日本語字幕:小飯塚真知子|R15+
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