マランツのAVアンプ、CINEMAシリーズに新製品が2モデル追加された。これにより10万円台から70万円台まで合計5モデルが揃うことになり、同社AVアンプのラインナップがさらに充実することになる。サラウンドフォーマットはドルビーアトモスやDTS:X、MPEG4-AACに対応する。
CINEMA 60 SERIES 2 ¥242,000(税込、10月30日発売)
CINEMA 70s SERIES 2 ¥187,000(税込、10月30日発売)
「CINEMA 60 SERIES 2」
「CINEMA 60」の型番を持った製品は海外では以前から販売されていたが、日本では未発売だった。今回のCINEMA 60 SERIES 2の発売は、薄型ではないAVアンプでよりお求めやすい価格ゾーンを投入することで、サラウンドファンの期待に応えようという思いなのだろう。
その日本初登場となるCINEMA 60 SERIES 2は、“圧倒的な没入感を持ったAVアンプ” となる。7.2ch対応一体型モデルで、各チャンネルの定格出力は100W(8Ω、20Hz〜20kHz、THD 0.08%)。そこには一体型のプレミアムモデル「CINEMA 40」で培われたパワーアンプ技術も投入されている。
その点についてサウンドマスターの尾形好宣氏が以下のように解説してくれた。
「今回は、CINEMA 60 SERIES 2、CINEMA 70s SERIES 2の両方のパワーアンプに、差動一段回路を導入しました。シンプルですが、設計として性能を出すのが難しい回路になります。しかし音質的には作動一段に可能性を感じたので、こっちで行こうという形になりました。
またCINEMA 60 SERIES 2に関しては、プリアンプにHDAM-SA2回路が搭載されています。ハイエンドモデルのような各チャンネル独立ではなく、集約した回路を搭載しているという形です。
DAC回路は、8chタイプのチップを採用しています。新規のDACなので、時間をかけて音質をチューニングして、納得いく製品にできたかなと考えています。また弊社のCDプレーヤーと同様に、デジタルフィルターが2種類で切り替えられるようになっています。
今回eARC対応HDMI端子も搭載していますが、HDMIには新しいデバイスを採用しました。これによって、より高性能でクリーンなクロックで駆動できるようになっています。このように、CINEMA 60 SERIES 2では、I/V変換、クロック、アナログ回路を含めたチューニングを徹底しました。
「CINEMA 60 SERIES 2」の側面。サイドパネルも銅メッキビスで固定されている
もうひとつ、コンデンサーはモデルごとにメーカーさんに協力いただいて開発したものを搭載しました。他にも小容量のコンデンサーに関しても、選別品や独自開発してもらったものを採用しています。音質パーツに関しては、私の方で主要なフィルムコンデンサー抵抗を選び、適材適所に配置するという形でチューニングを行っています。
他にも今回のモデルでは、ハイファイモデルと同様に銅メッキビスを全面的に採用してもらいました。以前、CINEMA 30で銅メッキのビスを採用しましたが、その時にあまりに音が違ったので、今回も使おうと思ったんです」
「CINEMA 70s SERIES 2」
CINEMA 70s SERIES 2は、“唯一無二 スリムデザインリビングシアター” がキャッチフレーズだ。マランツの薄型AVアンプは2009年の「NR1501」からスタートした。新製品のCINEMA 70s SERIES 2はその14世代で、CINEMA 60 SERIES 2同様にCINEMA 40のパワーアンプ回路技術を継承した7.2ch仕様になっている。新世代DACチップやカスタムパーツを使ったファインチューニングといった点もCINEMA 60 SERIES 2と同様になっている。
昨日開催された新製品説明会で、両モデルの音を聴かせてもらった。最初に前モデルの「CINEMA 70s」とCINEMA 70s SERIES 2の違いをCD再生で比較した(CDプレーヤー『CD70』と同軸デジタルで接続)。
女性ヴォーカルでは、音の立ち上がりや全体のS/Nに確かに違いが出てくる。ステージのヌケ感も明瞭度が増している。音の分離感や明瞭度にも差が出てきているようだ。
続いてライブコンテツと映画作品をCINEMA 70s SERIES 2とCINEMA 60 SERIES 2で聴き比べてみる。CINEMA 70s SERIES 2のサラウンド再生もなかなかのもので、ライブホールの包囲感も自然で、音場の定位も明瞭に描き出している。このクォリティでサラウンドの第一歩をスタートできる人は幸せだ。
続いてCINEMA 60 SERIES 2の音を聴くと、細かな情報量や中低音の密度感がアップして、それなりの差がでてくる。ライブホールの反響もより生々しいし、レースシーンでもエンジン音の微妙な違いが再現されている。クラッシュシーンの音も痛い。より濃いサラウンド空間が生み出されている点がCINEMA 60 SERIES 2の魅力だと思った次第だ。