注目の気鋭、ケイン・パーソンズの長編監督デビュー作。彼は16歳のときにYouTubeに短編動画「The Backrooms (Found Footage)」をアップして、17歳で映画化を企画、19歳で撮影をして、現在は21歳であるという。この長編『バックルームズ』はA24とタッグを組んだ一作で、5月29日から全米公開が始まったところ、前週に公開された『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』の興収を上回って初週全米首位に到達したというから驚きだ。つまりパーソンズは、全米・世界興収ランキングで1位を得た“史上最年少監督”となってしまった。YouTube発のクリエイターによる、歴史的な快挙である。

 ホラーなのか、スリラーなのか、あるいはそのどちらでもあるのか、ないのか、見る人によって意見が分かれそうな一作だ。私は一度見たところだが、何度も繰り返して見れば、前回には気づかなかったディテールに触れて「ああ、ここはこうなっていたのか」的驚きにも包まれるような予感がする。以下、キャッチコピーを引用させていただくと、「本作の舞台は、都市伝説とされていた空間“Backrooms”。「ある日突然 “現実世界の裏側”へ外れ墜ちてしまったら……?」どこまでも続く黄色い壁紙の部屋、終わりのない廊下。不自然な間取りと、意味を失い床に埋まった設置物。わずかに現実からズレている――そんな出口のない“リミナルスペース”で、観客は“最高密度の不安と恐怖”を体験する」となるのだが、パーソンズ監督は、人間の持つ“遠近感”や“ゆがみ”への認知に対して挑戦を仕掛けているようにも私には感じられた。クリアな画面と荒れた画面の対比、画面越しのこちらにも十二分に伝わってくる“リミナルスペース”が持つ閉塞感、クリスマス・ソング「フェリス・ナビダ」(だと思う)が与える皮肉、などなど、見終えたあと、誰かと語りたい気分にさせる要素満載だ。出演はキウェテル・イジョフォー(過去作『それでも夜は明ける』も印象深かった)、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネットほか。

映画『バックルームズ』

9月4日(金) TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国公開

監督:ケイン・パーソンズ
出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット 他
2026|アメリカ|126分|英語|5.1ch|原題:Backrooms|字幕翻訳:佐藤恵子 | 映倫:G |配給:ハピネットファントム・スタジオ
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