海外のオーディオショウで発表され、日本でも注目が集まっていたBowers & Wilkins(B&W)のトップシリーズ「800 Series Diamond D5」が、遂に日本でも正式発表された。センタースピーカーを含めて7モデル、さらにサブウーファーが3モデルというラインナップで、本日から予約受付を開始し、10月の出荷予定だ。
●スピーカーシステム:
801 D5 ¥4,730,000(1本、税込、ステルスブラック)、¥4,620,000(1本、税込、ダーク・ウォールナット/ライト・ウォールナット/ウォーム・ホワイト)
802 D5 ¥3,630,000(1本、税込、ステルスブラック)、¥3,520,000(1本、税込、ダーク・ウォールナット/ライト・ウォールナット/ウォーム・ホワイト)
803 D5 ¥2,860,000(1本、税込、ステルスブラック)、¥2,805,000(1本、税込、ダーク・ウォールナット/ライト・ウォールナット/ウォーム・ホワイト)
804 D5 ¥1,870,000(1本、税込、ステルスブラック)、¥1,815,000(1本、税込、ダーク・ウォールナット/ライト・ウォールナット/ウォーム・ホワイト)
805 D5 ¥1,100,000(1本、税込、ステルスブラック)、¥1,067,000(1本、税込、ダーク・ウォールナット/ライト・ウォールナット/ウォーム・ホワイト)
●センタースピーカー:
HTM81 D5 ¥2,090,000(1本、税込、ステルスブラック)、¥1,980,000(1本、税込、ダーク・ウォールナット/ライト・ウォールナット/ウォーム・ホワイト)
HTM82 D5 ¥1,760,000(1本、税込、ステルスブラック)、¥1,650,000(1本、税込、ダーク・ウォールナット/ライト・ウォールナット/ウォーム・ホワイト)
●スピーカースタンド:
FS805D5 ¥264,000(ペア、税込、ブラック/ウォーム・チタニウム)
FSHTMD5 ¥220,000(1本、税込、ブラック/ウォーム・チタニウム)
●サブウーファー:
DB1D ¥990,000(1本、税込、ステルス・ブラック/ウォーム・ホワイト)
DB2D ¥770,000(1本、税込、ステルス・ブラック/ウォーム・ホワイト)
DB3D ¥550,000(1本、税込、ステルス・ブラック/ウォーム・ホワイト)
B&Wは1966年にイギリスで創業したスピーカーメーカーで、今年で60周年を迎える。創業者の一人で、スピーカー技術を担当していたジョン・バウワース氏には、四角い箱からの脱却というテーマがあったそうだ。
スピーカーユニットを箱に入れると低音は出てくるが、そうすると必ず付帯音が発生してしまう。それを逃れる方法として同社がたどり着いたのがリバーステ―パードホーンで、1995年に登場した「Nautilus」に搭載され、今ではB&Wのアイコンともなっているノーチラスチューブはこんな経緯で開発されたという。
その後、スタジオモニターとしての「801」を経て、1998年にノーチラスチューブの技術を採用したシリーズとして「Notilus 800」シリーズが誕生する。801がクラシック用スタジオモニターとして使われていたのに対し、Notilus 800はロックコンサートの音圧が再生できるオールラウンドモニターとして設計され、高い評価を集めた。
さらに2005年にはダイヤモンドツイーターを搭載した「800D」シリーズが登場。世の中で一番硬い素材を振動板に使うことで、ハイレゾ音源もストレスなく再現できるようになったそうだ。
左が801 D5で、右は801 D4。背面のアルミプレートの表面に施された仕上げが異なっている
今回登場した「800 D5」シリーズはダイヤモンドツイーター搭載の第5世代で、前モデルから約5年を経ての発売となる。各モデルの外観、デザインは一見すると大きな違いはないように思えるが、内部には様々な進化が盛り込まれている。その点について、ディーアンドエムホールディングスのシニアサウンドマスター 澤田龍一さんが解説してくれた。
800シリーズでは、これまでも木材と金属によるハイブリッド構造のエンクロージャーを採用、Matrix構造と曲面積層合板が投入されている。今回はバッフル面側の補強用アルミプレートが強化され(重量やアルミの使用量が2倍に)、さらに背面にも新たに補強材(アルミ押出材とアルミダイキャストを梯子状に組み合わせた)が追加された。
その800 D5シリーズでは、ウーファーユニットはアダプターを介して曲面のバッフル面に取り付けられている。このアダプターはキャビネットではなく、内部に設けられた補強用アルミプレートに固定されているそうで、今回はアルミプレートが強化されたことで、ユニットの安定性も向上しているとのことだ。
800 D5シリーズでは、アルミと木材を使ったハイブリッド構造のエンクロージャーを採用する。フロントバッフル裏側の補強用アルミ部は厚さや重量がアップし、背面にも新たに補強パーツが追加されている
また本シリーズのエンクロージャーは前面が曲面、背面が直線で上から見ると馬蹄形になっているが、800 D5シリーズでは背面直線部のアルミプレートに設けられた窪みが、四角い溝からゆるやかなラウンド状になった。凹凸を少なくすることで、余計な音の反射を抑えようという狙いなのだろう。
その背面アルミプレートの内側にはネットワークが固定されている。ネットワークの構成は前モデルから変わっていないが、使われているムンドルフのフィルムコンデンサーは、リード線に金・銀・銅の合金を使った上級グレード(Copper Angelique Wiresと表記されている)となり、低域の再現性もアップしているそうだ。
また背面アルミプレートは、従来はフック状の金具を介して小さなネジでエンクロージャーに取り付けられていた。これに対し800 D5シリーズでは新たに追加された補強材にボルトでしっかり固定している。
ちなみにこの背面アルミプレートは、馬蹄形エンクロージャーで一番力がかかりやすい部分に当たるそうで、そこに補強材が入ったことでエンクロージャー全体の剛性もアップ、S/Nの改善にも寄与しているそうだ。
左が背面アルミプレートの裏側に取り付けられたネットワーク回路。上側にふたつ並んだ黒い大型コンデンサーがCopper Angelique Wiresタイプとのこと。右が本体背面に追加されたアルミの補強パーツ
もうひとつ、804 D5ではミッドレンジユニット用にアルミ製ケースが追加されている。前モデルではエンクロージャー内部を板で区切っていたが、今回はユニットを取り付けたアルミケースをエンクロージャーに搭載することで、完全に独立した空間を構築できている。
スピーカー台座はアルミダイキャスト+制振材+鉄板の3層構造で、さらにたわみやすい部分に鉄のおもりを取り付けている。おもりの形状や取り付け位置は、モデルによって最適化しているそうだ。結果として、歴代800シリーズの中でもっとも静かなキャビネットが実現できたとのことだ。
スピーカーユニットは、ウーファーの磁気回路が変更された。もともと800 D3シリーズから、ウーファー用としては磁気回路をふたつ組み合わせたプッシュプルドライブを採用していたが、この方式では音声信号が入って交流磁界が発生すると、渦電流となって高調波歪が起こり、音の揺らぎにつながることもあるという。
そこで800 D5シリーズでは中央のマグネットの間に絶縁体であるセラミックのプレートを挟み、交流磁界の発生を抑えることに成功した。もちろん駆動力は減ってしまうが、磁気の高いネオジムマグネットを使うことでその点も解決したとのことだ。澤田さんによると、マグネットの中に遮断物を入れて交流磁界を抑えたユニットは初だという。
なお2ウェイスピーカーの805 D5の場合、ウーファーが3ウェイ用よりも高い帯域まで受け持たなくてはならないので、他の4モデルとは異なるアプローチが行われている。マグネットはフェライトの外磁型で、ボトムヨーク部分の角をカットしていくことで、交流磁界による変調を押さえている。余分な鉄をカットすることで音の明瞭度がアップしたとかで、近年のコンピューターシミュレーションによって実現できたそうだ。
ミッドレンジとツイーターのユニットは従来から変更されていない。ツイーター前面のグリルメッシュは、Signatureシリーズと同じ開口部が横並びの大型タイプに変更されている。
スピーカー端子は、並び順が変更された。800 D4シリーズまでは向かって左から「低域-」「低域+」「高域+」「高域-」という順番だったが、今回は「低域-」「高域-」「低域+」「高域+」となっている。これはジャンパーピンを付ける際のつなぎやすさなどを考慮したためとのことだった。
ウーファーユニットは、ラウンドしたフロントバッフルにアダプターを介して取り付けられている。そのアダプターも、アルミの剛性の高い仕上げとなっている
さて今回、マランツの試聴室で800 D5シリーズの音を確認させてもらった。といってもラインナップが5モデルもあるので、ダイアナ・クラール「Like Someone in Love」のCDを1曲のみ聴かせてもらう。再生機はマランツのSACD/CDプレーヤー「SACD 10」とプリメインアンプ「MODEL 10」(ブリッジ駆動で2台使用)だ。
最初に805 D4と805 D5の音の違いを確認する。805 D4もダイアナ・クラークの声が伸びやかで、楽器の再現も見事。これがどう進化したのかと心配になるが、805 D5では低域の弾みがいっそう切れ良くなり、S/Nも高い。静かな音場の中にボーカルがぴたりと定位し、抜群のフォーカス感で迫ってくる。澤田さんの言葉にあった、歴代もっとも静かなキャビネットという意味が伝わってくる。
ここから804 D5、803 D5、802 D5、801 D5の順番で聴かせてもらったが、どのモデルでも音のトーンが揃っていることに感心した。ヴォーカルのクリアーさや実体感、定位の正確さといった部分はさすがのクォリティだ。
マランツ試聴室で、800 D5シリーズ5モデルの音を確認させてもらった
もちろん楽器の響きや低域の豊かさ、ステージの広がり感などはウーファーサイズが大きくなっていくに従って音数も増えていくし、情報も着実にアップする。803 D5の音には細やかさもあるし、802 D5では音の濃さや密度が着実にアップしている。
801 D5はさすがトップモデルだけあって、高域から低域まですべての要素が整っている。澤田さんによると、801 D5はショートリングが銀製で、ミッドレンジのコンデンサーもワングレード高い。さらにウーファーのボイスコイル径が75mmあり(802 D5以下は38mm)、それらが音のゆとりにつながっているのだろう。
800 D5シリーズの本体カラーはStealth Black、Warm White、Light Walnut、Dark Walnutの4色をラインナップする。同時発表されたサブウーファーの基本仕様はこれまでと同じで、本体カラーはStealth BlackとWarm Whiteの2色となっている。
ミッドレンジのセンターキャップを外してもらった。左の802 D5は銅製、右が801 D5は銀製で、ボイスコイル部分の色味がわずかに違っているのがわかるだろうか