今回、レポートしてみた製品は、応援購入サービスを実施している"Makuake(まくあけ)"において、全プロジェクト史上最高支援額となる6億円越えを記録した話題の製品「Rokid スマートAIグラス」になる。手持ちのスマートフォンと連携させるだけで、知りたい情報が視界で完結できる製品となっており、話しかけたら、AIが音声で回答してくれるほか、リアルタイムで翻訳をしてくれたり、それら全てを音声とテキストで対応してくれる。AIの音声は、流暢な日本語で話をしてくれるし、道案内も行ってくれる。こんな体験したことがない、というほど面白い体験ができたので、その内容をお伝えしていこうと思う。

Rokidについて

 Rokidは、2014年中国で創業し、10年以上に渡りAR(拡張現実)とAI(人工知能)技術の研究開発を行ってきた企業だ。光学・音響・AI処理・構造設計といった、製品の核となるあらゆる分野で独自技術を確立し、その多くがすでに特許化されている。
 
 独自開発の光学エンジンやクリアな音響を実現する特許構造、さらには高精度な音声処理技術に加えて49gの軽さを両立するフレーム設計など、これらの技術が組み合わせることで、「軽さ・性能・快適さ」を実現したAIスマートグラスを完成させている。

「Rokid スマートAIグラス」について

「Rokid スマートAIグラス」は、2026年の2月に、応援購入サービスの"Makuake(マクアケ)"において、日本国内向けの先行販売を実施、プロジェクト終了の2026年5月時点で、応援購入総額が6億3673万6060円という、Makuakeプロジェクト史上最高金額を記録している。プロジェクトでは、7413人が先行購入をするなど、注目度、期待値の高い製品となっている。 なお、現在の販売価格は、¥109,890となっている(定価は、¥116,380)。

〈開発背景〉

 そもそも、「Rokid スマートAIグラス」を開発するきっかけとなったのは、"スマートフォン中心の生活をもっと自然で直感的なものにしたい"という想いがあったためだという。情報を確認するためにスマートフォンを取り出す、読めない言語の確認のために翻訳アプリを立ち上げる、目的地まで迷わずに辿り着くために道案内アプリを起動する、それらのすべてがスマートフォンを都度立ち上げる必要があり、その行動自体をシームレスにできないものか、ということで辿り着いた答えが「視界そのものをインターフェースにする」ということだった。

 その想いを形にすべく、約10年の歳月をかけて研究開発を重ね、誕生したのが「Rokid スマートAIグラス」になる。

〈主な特徴〉

 一見すると、普通のメガネと何ら変わりのないメガネながら、翻訳、撮影、検索、文字起こし、ナビなど、スマートフォンを取り出さなくても、それらの全てが「視界の中」で完結させられるようになっている。メガネのレンズ部分には、Micro LED Green ディスプレイが採用されており、GPT-5&Geminiの搭載によって、ユーザーの問いかけに対して、AIが音声とテキストで回答してくれる。スマートフォンと連携すれば、89言語のリアルタイム翻訳にも対応してくれる。

 会議の議事録作成や要約などもお手の物で、丸ごと自動で行ってくれる。本体前面左端には、12MPのソニー製センサーを搭載したFPVカメラを搭載しており、撮影した画像は、高解像度でクラウド上に保存できるほか、動画撮影にも対応する。

 道案内機能も搭載しており、連携しているスマートフォンのGPSに合わせて、現在地を認識すると、測位した場所から目的地までの道案内を音声とイラストで行なってくれる。スマートフォンを確認しなくても、スマートAIグラスに何メートル先を右折するのか左折するのかの指示が表示されるため、安全に目的地まで向かうことができる。

 さらに本体のつる(テンプル)部分(左右)にはデュアルスピーカーを内蔵しており、スマートフォンとBluetooth接続をすれば、音楽を楽しめたりもする。Bluetoothの対応コーデックはAACに対応しているから、音質は過不足ないレベルと言える。

左右、つるの上部にスピカーを設けており、心地よいサウンドが楽しめる

実際に使ってみる

 さて、ここからは、実際に使用した際の感想をお伝えしていこうと思う。まず初めに、Rokidの専用アプリHi Rokid-Rokid Glassesをダウンロードして、スマートフォンに設定するところから始める。アプリを設定したら、「Rokid スマートAIグラス」とお手持ちのスマートフォンをBluetoothで接続すれば、設定は完了だ。

AIアシスタントとの会話がなかなか面白い

 メガネをかけて、右側のつる部分に指を1秒程度タッチさせるだけで起動音と併せて、緑の文字が眼前に現れる。そこには、「AIアシスタントを呼び出すには"Hi Rokid"と言ってください。」と表示される。そこで、"Hi Rokid"と呼びかけをすると、こちらの言葉を認識して、それに対して返答してくれる。

 会話自体は、とても自然で、いかにもAIと話しているといった感じはまったくない。ただ、ところどころ、日本語読みが、音読み、訓読みが入り混じっていて、同時に表示されるテキストを目で追わないと何を言っているのか、部分的に認識することができない場合もあった。ただ、小さな声でも、認識してくれることから、一人で話していても、さほど違和感はないかもしれない。オフィスでしばらく使用していたら、隣の席の者に変な目で見られていたようだが、あまりにも楽しすぎて、そんなことも気にならない程よくできている。

 AIと話を続ける中、AIの回答内容が的確だったときなどに、「ありがとう」とか、「すごいね」など、感謝の言葉や、褒める言葉を投げかけると、何とも照れ臭そうに、「どういたしまして」や「お役に立ててうれしいです」など、返答してくれる辺りは、本当に人と対話しているかのようで、そこには、一昔前のたどたどしいAIの返答とは違い、とても自然な会話が成り立っていた。

他にも、メニューが用意されている

 右側のつる部分に指を1秒程度タッチさせるとメニューが起動し、前にスライドさせると、さまざまなメニューが表示される。表示されるメニューは、"明るさ""音声""翻訳""テレプロンプター""音楽""カメラ"" VISION AI""字幕""デバイス情報"が並ぶ。つる部分を指でスライドさせることで、項目の選択が行なえるから、使いたい項目を選んで、タッチさせれば、起動させることができる。

実際の使用イメージ

 カメラ機能は、なかなか秀逸で、起動させると、眼前に横6、縦8程度の縦比率で画面が現れる。これは、AIグラスに搭載されたカメラがとらえた映像を表示しており、撮りたい被写体が現れた時に、右側のつる上部のボタンを押すことで撮影できるというもの。シャッター音がするので、撮ったかどうかがすぐに分かるようになっているのはありがたい。基本的に全ての表示は緑色で表示されるため、カメラを通して映し出される映像も緑色になっている。最初は違和感を感じるものの、慣れてくると、違和感なく使えるようになる。実際に撮影した画像は、スマートフォンの"アルバム"という項目にアップロードされるので、後で見返すこともできれば、メールに添付して送ることもできる。

AIグラスに搭載されたカメラは、12MPとなっており、しっかりとした写真を撮ることができる

シャッターボタンは、短く押すと静止画の撮影が行なえ、長押しをすると、動画の撮影が行なる

窓ガラス越しから撮った画像。メガネに搭載された小さなレンズで撮影したと思えない程解像度が高い

ダウンライトの部屋での撮影は、若干、陰影が厳しいところもあるが、必要にして十分なレベルと言える

 驚いたのは、翻訳機能だ。メガネを通して見ている映像にテキストがある場合、例えば、「Hi Rokid、画面のテキストを英語にして」などと発話するだけで、日本語のテキストを英語にしてくれる。それだけじゃない、「今度は、ロシア語にして」とか、「中国語にして」などとAIグラスに話しかけるだけで、即座に変換をしてくれるのだ。これには、さすがに驚かされた。語学の勉強になる、とまでは言い難いが、AIの音声で、ロシア語や、中国語、韓国語を聴きながら、テキストを視覚で追えるのは、なかなかいい体験だと感じた。日々続けることで、耳が慣れてくるのは間違いなさそうだし、視覚的にも文字を追えるのは、勉強になりそうだ。このやりとりは、全てアプリで管理されている為、後でスマホでAIグラスとのやり取りを確認することができるのもありがたい。

アプリのホーム画面

AIとのやり取りは、「AIアシスタント」に記録として残される

 ナビゲーション機能も素晴らしく、AIグラスのナビゲーション機能を起動させると、スマートフォンを即位した場所から道案内を行ってくれる。例えば、「〇〇の駅まで道案内して」などとAIグラスに話しかけると、すかさず道案内が開始される。ナビ機能を使用する場合、スマートフォンがオフ画面の時でもナビゲーションが使えるように、位置情報の「常に許可」を有効にしておく必要がある。テキストでの案内が中央に表示され、右側には地図が表示される。左側には、到着時刻が表示される他、時速何キロで移動しているのかもわかるようになっている。もちろん、目的地までの距離も表示される。

ナビゲーションの表示イメージ

 ただ注意が必要なのは、眼前に表示された内容を注視しすぎると、ちょっとした段差や信号を見落としがちになるので、ナビゲーション機能を起動させている時は、必ず立ち止まったうえで、確認した方がいいだろう。

度入りのメガネを使用したうえで、AIグラスを使うのは難しい

 さすがに、メガネの重ね使いは難しく、日常でメガネを使用している人は、ちょっと使用が難しいかもしれない。ただし、Rokidには、専用の度付きインサートレンズが別途用意されているので、視力補正が必要な人でも度付きで利用することができる。マグネット式となっており、本体内側に装着するようになっているので、手軽に取り外しが可能となっている。なお、公式提供店として「JUN GINZA」で作成ができるようなので、気になる人は確認してみることをオススメする。

まとめ

 過去にも、AI機能を搭載したメガネは、試したことがあったが、電源ケーブルがあったり、メガネ自体が重かったりと、実用域には到底辿り着いていないと思われる製品が多かった印象だ。しかし、ここにきてAIを搭載したメガネが想像以上に進化していることに驚かされる。数年前に、チャットGPTが登場して以来、AIの進化が加速度を増して我々の生活の中に入り込んできていることは間違いないのだが、あまりにも違和感なく、そして自然に我々の生活の一部となっていることに、今回「AIグラス」を使ってみて、改めて気が付かされた。スマートフォンで映像が観れるなんて、30年前は思いもしなかったのに、子供からお年寄りまで万人が当たり前のように観ているわけだから、まぁ、AIが進化していても、不思議ではないだろう。

 それにしても、今回使ってみた「Rokid スマートAIグラス」は、機能はとても優れていると感じたが、メガネ自体のデザインは、賛否が分かれそうだ。個人的には、この黒縁のデザインがとても好みなので、"あり"か"なし"で問われたら、"あり"だとは思うが…。

 価格面において、この内容で¥109,890といプライスは、技術的なところを鑑みても、決して高くはないと思う。ただ、買いかどうかについては、個人的にすぐ購入できる価格帯ではないが…。