KEFジャパンは、ワイヤレスアクティブスピーカーの新製品「LS LUXE」(エルエス リュクス)を発売する。価格は¥715,000(ペア、税込)で、本日からmyKEF会員限定で青山KEF Music Galleryとkef.comで予約販売を開始、8月25日からKEF正規販売店での販売をスタートする。専用の「S-LUXEフロアスタンド」(¥143,000、ペア、税込)も同時発売される。
「LS LUXE」は、写真のダスク・チタニウムの他に、エクリプス・ブラック、ミネラル・ホワイトの3色をラインナップする
KEFではワイヤレスアクティブスピーカーとして「Coda W」から「LS60 Wireless」まで4モデルをラインナップしている。LS LUXEは「LS50 Wireless II」とLS60 Wirelessの間に位置するモデルとのことだが、そのデザインは従来から一新されている。
具体的には、キャビネットは丸みを帯びた有機的なデザインとなり、素材にガラス繊維強化複合材料のBMC(Bulk Molding Compound)を採用することで耐久性も確保、さらに内部の補強材も減らせることでコンパクトながら大きな内部容積を確保している。同時にキャビネット内部の定在波も抑制できたという。
背面には楕円形のバスレフポートと、それを中心にした流れるようなデザインのフィンを搭載(この部分はアルミ製)。有機的なデザインと幾何学的な形状が融和した美しいフォルムに仕上がっている。なおLS LUXEのデザインは「Muon」などを手掛けたロス・ラブグローブによるもので、彼が提唱する「テクノロジーの彫刻家」というデザインアプローチを体現したとのことだ。
本機のために開発された、第12世代の6.5インチUni-Qドライバーを搭載
音質面では、第12世代Uni-Qドライバーを搭載する。LS50 Wireless IIのUni-Qをベースに本機のために開発されたユニットで、6.5インチウーファーと1インチツイーターの同軸構造となる。ツイーターには独自の吸音技術「MAT(Metamaterial Absorption Technology)」を備え、ユニット背面から放射される不要な音の99%を吸収、クリーンな高域を再現している。
さらにウーファーには「VECO(Velocity Control Technology)」も搭載された。これは、サウンドバーの「XIO」で初搭載されたモーションセンサーとフィードバック機構を使ったサウンド補正技術で、歪みやコーンの動きによる圧縮を最小限に抑えることができるというもの。ハイファイスピーカーへの搭載はLS LUXEが初めてとなる。
VECOは、ドライバーに組み込まれた速度センサーと、システム電子回路に組み込まれた電流増幅段で構成されている。速度センサーでウーファーユニットのリアルタイムの速度を測定し、その情報をアンプにフィードバックする。アンプ側は入力された信号とセンサーからの動作情報を比較し、一致しない部分があれば即座に補正するという。これにより、クリアーで歪みのない低域再生を実現できるわけだ。
プライマリースピーカーに入力端子を搭載する。光/同軸デジタルやUSB-C、アナログ、LANに加えてeARC対応HDMI端子も備える。左右スピーカー間は有線(LANケーブル)と無線の2方式で接続可能
さらにLS LUXEでは電流駆動型アンプ(ウーファー用が280W クラスD、ツイーター用が100W クラスAB)を採用し、プライマリー(一次側)ボイスコイルに供給する電流を制御することで、振動板の動きを直接制御できるという。音の歪みが発生する要因の多くはドライバー自体に起因しているそうだが、VECOではコイルを流れる電流を制御することでこれを低減、LS50 Wireless IIとの比較でも、低音〜中音域の大部分で歪みの低い、バランスの取れたサウンドが再生できているとのことだ。なお、KEFのアクティブスピーカーに電流駆動型アンプが搭載されるのも今回が初となる。
LS LUXEには「MIE(Music Integrity Engine)」も使われている。KEF独自のDSPアルゴリズムで、DSPフィルターと位相補正処理によりより滑らかでバランスの取れたサウンドを実現、またRoom EQによりスピーカーを部屋の特性に合わせて調整できるようになっている。
今回の発表会にはKEF本社から、CTO 音響工学博士のJack Oclee-Brown氏も参加、LS LUXEの詳細を解説してくれた。Jack氏によると、LS LUXEは、KEFスピーカーのハイファイパフォーマンスをさらなる高みに進化させるべく、6〜7年にわたって開発してきた技術を搭載したモデルという。
KEFのCTO 音響工学博士のJack Oclee-Brown氏がLS LUXEについて解説してくれた
中でも6.5インチの第12世代Uni-Qは、スピーカーの理想とも言える点音源再生の高みを目指したものとなる。独自技術のMATやVECOセンサーテクノロジーによって歪のない音を実現しているが、そこではセンサーをフレキシブルなシートにプリントし、ボイスコイルの内側に取り付けられるようにするなどの工夫も施されている。
ここでLS LUXEでのVECOの使い方についてJack氏に聞いてみた。すると、XIOでは小型ユニットを密閉型エンクロージャーに搭載しており、そこでの歪の低減を一番の狙いにしている。今回のLS LUXEではもっと大型のUni-Qドライバーをバスレフ型エンクロージャーに搭載しているわけで、速度フィードバックではなく、モーションコントロールに使用して歪対策を行ったそうだ。
LS LUXEのストリーミング機能はLS50 Wireless IIを踏襲しているそうで、Spotify、Qobuz、Amazon Musicなどのストリーミングサービスが再生可能。さらにBluetoothに加えて、AirPlay 2、Google Cast、ROON Readyにも対応済という。WAV、AIFF、ALAC、WMA、LPCMなどのフォーマットに対応し、D/Aコンバーターは最大384kHz/24ビットやDSD128のハイレゾ音源を再生できる。
接続端子はプライマリースピーカーに搭載され、USB Type-Cと光/同軸デジタル入力、アナログ入力(3.5mm)、サブウーファー出力(RCA)、LAN端子を備える。さらにeARC対応HDMI端子も準備され、テレビの音声用としても活躍するだろう。
KEF Music Galleryの試聴室で、LS LUXEを体験した。写真はS-LUXEフロアスタンドに載せた状態
発表会が行われた青山KEF Music Galleryの試聴室で、LS LUXEの音を体験させてもらった。Qobuzの音源から女性ボーカルやクラシックの音源を再生してもらうと、その音像再現の素晴らしさに驚いた。同軸型ユニットらしく、声はセンターにぴったり定位して、あたかもそこで歌っているかのようなイリュージョンを感じさせてくれる。同時に大編成のオーケストラではそれぞれの楽器の位置がわかるくらいの豊かな情報量で、スピーカーの向こうに大きなステージを再現してくれる。
もうひとつ、LS LUXEの低音も驚異的だった。6.5インチという決して大型ユニットではないにも関わらず、量感を伴った低音がされている。決して低域をブーストしたような印象ではなく、きわめて自然だ。Jack氏の説明にあった、歪みのない再生とはこういうことなのかと、素直に感心した。このサウンドはLS50 Wireless IIやLS60 Wirelessとも違う、新しいKEFサウンドだと納得させてくれる。
最後にJack氏に、今回のUni-QやVECOシステムを他のスピーカーに搭載する予定はあるのかも聞いてみた。すると、「将来的にはアップグレードも検討していくと思います」との返事だった。さらに、「今もスピーカーを開発中なので、それが終わってからになるでしょう。KEFでは今後もオーディオファンに向けてアクティブスピーカーのための技術を開発し、パフォーマンスを改善していきます。多くのユーザーにアクティブスピーカーを使ってもらいたいと思います」とのことで、LS LUXEを始まりとした、新しいKEFのハイファイスピーカーの登場も期待できそうだ。