クリエイティブメディアのスピーカーというと、球体型がユニークな「Creative Pebble Nova」を筆頭に、ノートPCの両側に置いて使うコンパクトなモデルが浮かんでくるが、ウーファー付きの2.1chシステムや、大型の薄型テレビと組み合わせて使えるサウンドバーまで、実に多彩なラインナップを擁しているのだ。最新モデルの「Creative XF1」は、PCと組み合わせてデスクトップで使うアクティブスピーカーという点はCreative Pebble Novaや「Creative Pebble」と同じだが、デザインはオーソドックスなスクエアタイプとなっているのが特徴。機能面では従来モデルと同様に、PCだけでなく、スマホ/タブレットやテレビ、あるいはゲーム機器とも接続でき、パーソナル用途で幅広く使えるようになっている。デザインからしてHiFiスピーカーのようでもあり、無線接続、有線接続ともにハイレゾ再生に対応していることから、音楽や映画をしっかりと高音質で楽しむことを目的としたスピーカー、と言えそうだ。

アクティブスピーカー
クリエイティブメディア
Creative XF1
オープン価格(直販サイト価格¥26,800 税込)

●製品の主な仕様
Bluetooth規格:Bluetooth 6.0
対応プロファイル:A2DP(ワイヤレスステレオBluetooth)、AVRCP(Bluetoothリモートコントロール)
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
ユニット構成:ツィーター 0.75インチ×2、ウーファー 3インチ×2
スピーカー出力:【総合】72W RMS、【ツィーター】10W RMS×2、【ウーファー】26W RMS×2
周波数特性:55Hz~40kHz
SN比:≧85dB
オーディオ入力:USBオーディオ(96kHz/24bit)、Bluetooth、アナログ音声(AUX)
入出力端子:USB(Type-C)、AUX入力(ステレオミニ3.5mm)、サブウーファー出力(モノラル3.5mm)
外形寸法:約W99.7×H191×D155mm
質量:【左スピーカー】約1.29kg、【右スピーカー】約1.36kg
付属品:着脱式コルクスタンド/取り付けネジ、USB A-Cケーブル(約1.5m)、専用4ピン スピーカー間接続ケーブル(約2m)、電源アダプター(他国/地域対応プラグが含まれる場合があります)、クイックススタートガイド/ハードウェア保証書

▲本体カラーはブラックとホワイトの2色をラインナップする

●製品サイトはコチラ

 まずは、Creative XF1の概要を紹介していこう。サイズは幅99.7×高さ191×奥行155mmと、デスクトップでPCと組み合わせて使えるコンパクトなもの。プライベートルームに置いたPCと一緒に並べることができ、PCの音声だけでなく、Bluetooth機能を使えば、スマホとワイヤレス接続しての音楽リスニングも手軽に楽しめる。また、AUX入力も備えているので、CDプレーヤーやレコードプレーヤーなどのオーディオ機器と組み合わせて、デスクトップ環境でのオーディオ再生も行なえる。

 スピーカーユニットは、19mmツィーターと76mmウーファーの2ウェイ構成で、それぞれのユニットは有限要素解析(FEA:コンピューターによる数値計算)を用いて設計されている。小型ながらしっかりとした低音が出るし、高域の再生限界は40kHzまで伸びている。そして、駆動するアンプは、ユニットごとに独立したバイアンプ構成で、ツィーター10W×2、ウーファー26W×2の、合計72Wの大出力となっており、デスクトップ使用でも充分以上の性能を備えている。

▲搭載ユニットは、ツィーターとウーファーの2ウェイの仕様。それぞれにアンプを割り当てるバイアンプ駆動を採用する

 入力端子は、PCとつなぐUSC-C(最大96kHz/24bit信号に対応)、一般的なオーディオ機器と接続できるAUX(ステレオミニ)入力、そしてBluetoothの3系統。Bluetoothはバージョン6.0で、コーデックはLDAC、AAC、SBCをサポートする。AACに対応しているので、iPhoneユーザーにも使いやすいだろう。この他にサブウーファー用の出力端子も備えているので、別売のサブウーファーを追加して低音を強化すれば、映画などをより迫力のあるサウンドで楽しめるだろう。

▲接続端子類は右スピーカーに集約。左スピーカーへは専用ケーブル(専用4ピン)で接続する

 コンパクトなボディはしっかりとした作りで、軽く叩いてみてもコツコツと感触のよい響きがある。ボコボコと響いてしまうようなひ弱さがないのは好感が持てる。そして、デスクトップで使うためのコルク製のスタンドが付属する。本体を斜め上に向けた角度に設置でき、机などからの低音の不要な反射を抑えることができる。デザイン的にも不要な装飾のないシンプルな顔つきだし、オーディオ向けの本格的なスピーカー然とした佇まいが好印象。

専用アプリ「Creative Nexus」で、好みに合わせた細かい音質調整が可能

 さっそく使ってみよう。まずはWindows PCと接続した。PCと接続した場合、「Creative Nexus」アプリを使うことで、「デスクモード」のオン/オフや、10バンドの「パラメトリックEQ」による詳細な音質調整が可能。この音質調整機能がなかなかユニークで、一般的なグライコ(グラフィックEQ)のようにゲインを増減できる周波数帯域が決まっているのではなく、増減する周波数帯域、ゲイン、Q値(ゲインの増減が影響する範囲)を自由に設定できる。例えば、低域(100Hz~200Hz)の広い範囲でゲインを増減するような使い方や、高域(1kHz)の狭い範囲をピンポイントで調整するといったことができる。

▲PC用「Creative Nexus」アプリ。USB接続した状態でアプリを立ち上げると製品を認識してくれるので、「Creative XF1」をクリックすれば、各種設定が行なえる状態となる

▲アプリで「パラメトリックEQ」をオンにすると、写真のような10バンドのイコライザー画面が表示される。周波数のポイント(Hz)はある程度自由に動かせる上に、その幅(Q値)、ゲイン量など細かい設定が可能

 デスクモードは、机の上などに本機を設置した際、(机からの)不要な低音の反射を抑えてくれるもので、低音のダブつきなどを排除して、聴きやすい音にしてくれる。これはON/OFFの切替式だ。このアプリはPC用に加え、iOS、Android用も用意されているので、自身の使用環境・使用機材に合わせて、手軽に調整できるようになっている。

▲「デスクモード」。設置した机・台からの反射を抑制してくれる

2ウェイ、バイアンプの効果は高く、楽曲ジャンルを問わず、クリアでバランスの取れたサウンドを聴かせてくれる

 まずはコルクスタンドを使わずに、机の上に置いて聴いてみた。音楽再生はWindows用のQobuzアプリを使用し、USBオーディオ出力でCreative XF1へ送っている。聴き慣れたクラシック曲を再生すると、小型ながら低音感もあるし、楽器の音色も自然。聴きやすく素直な音作りだと感じた。PCゲームを強く意識したSound Blasterシリーズでは、低音の鳴り方からして元気の良い音になる傾向だが、Creative XF1はあまり特定のジャンルに寄せた音調にせず、自然なバランスでどんな楽曲にもマッチするサウンドに仕上げられていると思った。

 ユジャ・ワンのピアノとロスアンゼルス響によるラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調の第1楽章を聴くと、冒頭のピアノの音がきれいに響く。しっかりと鍵盤を叩いた感じから、その響きが空間に広がる様子までがクリアに広がる。小型スピーカーなので、決して大スケールというわけではないが、音の広がりも良く、こぢんまりとした鳴り方にならないのがいい。自然な音色でピアノのタッチやバックのオーケストラの演奏も細かいところまできちんと楽しめる。

 一方で、76mmのウーファーはかなり力強く鳴る。小型スピーカーらしからぬ迫力が出るが、低音の張り出しが気になることもあった。おそらく、机など置いている台の反射が大きいのだろう。そこで、付属のコルク製のスタンドを使うと、低音の張り出しがかなり収まる。スピーカー自体の高さも上がるし、スピーカーが斜め上を向くので、机などの不要な反射が減るのだろう。リスナーの顔(耳)にユニットが向くのもいい。先ほどまでの元気の良い鳴り方からすると、少し低音がタイトになってしまうようにも感じるが、天然コルク材の吸音性能の高さはなかなか優秀で、全体的にバランスの整ったサウンドとなる。

▲デスクトップだけでなく、専用シアタールームでの試聴も試してみたが、コンパクトなサイズながら、量感のある豊かな低音が楽しめた

 また、「Creative Nexus」アプリで、デスクモードをONにすると、電気的に低音の張り出しを防ぐこともできる。こちらでもコルクスタンドの有無を比べてみたところ、低音のバランスはスタンド無しの方が低音の力感や反応の良さが出て良好。スタンド有りだと低音はちょっとタイトになりすぎ、解像感はあるが、もう少し力感が欲しいと感じる。

 このあたりは、実際の環境によっても聴こえ方は変わるので、ユーザーはぜひ試してみて欲しい。純粋に音質のみで言えば、デスクモード:ONならばスタンド無し。デスクモード:OFFならばスタンド有り。この組み合わせを基本として、試してみるといいだろう。

 コルクスタンド有りのメリットは、低音の不要な反射を防ぐだけでなく、スピーカーが上を向くことで、高域の指向性が良くなること。机からの振動やスピーカー自身の不要な振動も吸収してくれるので、不要な音の濁りが減るという効果もある。コルク材は振動吸収には効果の大きい素材なので、そのあたりも含めて、自分に合った組み合わせを選ぶといいだろう。

▲コルクスタンドは底面にネジ止めする

 続けて、最近お気に入りのアニソン「JANE DOE」(米津玄師、宇多田ヒカル)を聴いてみた。しっとりとしたデュエットソングだが、ジャズ調の伴奏のリズムは強め。ムード豊かな演奏も悪くないが、やはりふたりの歌声が大きな魅力の曲だ。PCと接続しての再生は、声のニュアンスの変化もよく伝わるし、ふたりが一緒に歌うデュエットになるところの声の重なり方や定位感の違いもしっかりと再現される。スピーカー自体が自然なバランスとなっていることもあり、クラシック曲でもポップス曲でもしっかりと曲の良さを楽しめる音だ。

 次は、プレーヤーをAstell&Kernの「PD10」に変更。音源はQobuzのものとしている。まずはアナログ音声出力をAUX入力に接続して聴いた。(USB入力との)音質的な差はほとんどない。アナログ接続の方が、音の感触が柔らかくなったと感じるが、情報量が減るとか帯域が狭くなるという変化ではないので、Creative XF1の自然なバランスにマッチしたアナログ的な感触とも言える。

 そのまま、今度はBluetooth接続も試してみる。ペアリングは入出力端子のある右側スピーカーの背面にペアリング用ボタンがあるので、それを押すとペアリングモードになる。プレーヤー側でBluetoothの接続画面にすると、Creative XF1が表示されるので、それを選択すればいい。一般的なBluetoothのペアリング操作と同じだ。コーデックはLDACとしている。

 音質的な差はこちらもほとんど感じない。ピアノの繊細な音色や豊かな響きもきちんと出る。少し細身で、デジタル調のくっきりした感じにはなるが、音質的な差というほどではない。ちょっと力感が弱まる印象はあったので、少し音量を大きくするといいようだ。また、AACコーデックにも対応しているので、iPhoneと接続して聴いてみたが、(LDACとの)情報量の差はやや感じるものの、2ウェイらしいレンジの広さや、細かい音の再現性は良好だった。

 こうして、それぞれの入力からの音を聴き比べてみると、製品によっては、アナログ入力はなかなか良いのに、USB-C入力ではイマイチ……など、音質差がはっきり分かってしまうものも少なくないが、Creative XF1では、USB-C入力、アナログ入力、そしてBluetoothにはほとんど音質差がなく、いずれも安心して使えることが確認できた。普段はPCと接続して、音楽や映画などを再生したり、オンライン会議に使う。時にはスマホで手持ちの音楽を流す、あるいは近年人気のアナログレコードプレーヤーをつないで聴くのもいいだろう。アナログ入力の音質の良さを活かすために、「Sound Blaster X5」のようなヘッドホンアンプ/ポータブルアンプを組み合わせても面白いかもしれない。このように、いろいろな機器を組み合わせた音楽再生を、安心して楽しめるというわけだ。

デスクトップで快適に良い音を楽しめる注目のアクティブスピーカー

 今回の試聴を通してCreative XF1は、PCと一緒に置いてメインのスピーカーとして使うのもいいが、コンパクトさを活かして、スマホと組み合わせてベッドサイドに置いて使うのもいいなと思った。アナログレコードもプレーヤー自体は現代では少々大きいと感じるが、Creative XF1なら、スピーカーがコンパクトなので、あまり邪魔にならないスペースで、アナログレコード再生も楽しめる。こうした自分の使い方に合わせて気軽に使えるスピーカーだと思う。見た目はちょっと地味に感じるかもしれないが、その分、どんな部屋でも、どんな機器との組み合わせでも、違和感なくマッチする。Creative XF1は、こうした自由な使い方が似合うスマートなスピーカーと言える。