マランツは、エントリークラスの新製品CDプレーヤーとプリメインアンプを8月28日に発売する。フルサイズの専用設計を行ったハイファイコンポーネントとしての魅力を訴求したアイテムとのことだ。

●CDプレーヤー:CD 70 ¥110,000(税込)
●プリメインアンプ:MODEL 70 ¥143,000(税込)

 両モデルのコンセプトは、「From “Good Enough”to “The Best.”」。同社では一昨年、最高峰を目指した「10」シリーズを発売した。新製品の「70」シリーズ2モデルは、そのものづくりを受け継いぎ、いい音を維持しながら、機能性を充実させている。品質は最高を目指しつつ、現代のライフスタイルに必要な機能を搭載した製品という位置づけだ。

「MODEL 70」

 それぞれの特長としては、まずプリメインアンプのMODEL 70はHDMI ARCにも対応(最大192kHz/24ビットのリニアPCM、2ch)。さらに2系統のデジタル入力(光、同軸)や3系統のアナログ入力(RCA)、MM対応フォノ入力、サブウーファー出力も備える。Bluetooth送受信機能(コーデックのaptX AdaptiveやaptX HDにも対応)も搭載済なので、PCやスマホ、DAPに保存した音源もワイヤレスで楽しめる。

 パワーアンプ部はフルディスクリート構成を採用。定電流回路を採用したHDAM-SA3回路も搭載することで、電源ラインの変動による影響やハムノイズを削減し、明瞭度を改善している。また出力基板については、パワーアンプ素子の直近にブロックコンデンサーや整流回路を配置、高効率な電源配線を実現している。

アナログ、デジタル、HDMI ARCなど豊富な入力端子を備える。ネットワーク再生機能は搭載していないので、ストリーミングを聴きたい場合はタブレットなどからBluetoothで伝送するといいだろう

 そのパワーアンプ出力からの信号は、基板パターンではなくケーブルでスピーカー端子に接続されている。これは、パターンを使った場合は回路を横断することになるので、それを避けた結果という。さらにセパレーションを保つために、L/R用のケーブルはそれぞれ位置を変えて固定している。トランジスターには、上位モデル「MODEL 60n」と同じ大容量タイプを奢っている。

 電源部にはトロイダルトランスを搭載し、安定した給電や瞬間的な大電流にも応える。内部にはノイズ対策の珪素鋼板シールドを追加、ケースとの二重シールドと充填封入で振動対策も加えている。マランツのこの価格帯の製品にトロイダルトランスを搭載するのは初めてとかで、今回は品質のために敢えて採用したそうだ。

「MODEL 70」のメイン基板。写真左上の矢印部分が新搭載された電子ボリュウム

 そのパワーアンプとは別に、プリアンプ、フォノ、デジタル入力等について、電源を系統別に独立させており、そこには上位モデルと同じマランツカスタムコンデンサーや、新開発カスタムコンデンサー、低インピーダンスコンデンサーなど高音質パーツを多数採用、サウンドマスターの尾形好宣氏が組み合わせを吟味して決定したそうだ。

 もうひとつ、ボリュウムには高精度の電子ボリュウムが搭載された。入力信号はすぐに電子ボリュウムを通過する仕組みで、これは鮮度の高い信号を最短距離でパワーアンプに送り込むためという。アナログボリュウムを搭載しているモデルに比べて信号経路は30cm短縮できたとかで、S/Nも8dB改善されたという。

「CD 70」

 一方のCD 70はCD専用プレーヤーで、フロントパネルのUSB-A端子からはハイレゾファイルの再生も楽しめる(最大192kHZ/24ビットのリニアPCMとDSD5.6MHzに対応)。マランツとして、「エントリーCDプレーヤーのパフォーマンスを再定義する」モデルとのことだ。

 フルサイズの筐体を活かし、ドライブメカをセンターに、その周りに電源基板、デジタル基板、DAC/オーディオ基板、ヘッドホン基板の4枚を独立配置している。

 D/Aコンバーターには、試聴を繰り返して選定された最新世代の32ビット電流出力型DACチップをマランツとして初採用した。周辺回路にも新規コンデンサーや抵抗、薄膜を用いたチューニングが施されている。デジタルフィルターは好みに合わせて2種類から選択可能だ。クロックにはCD用と、USB再生用(44.1kHz系と48kHz系)の合計3種類の超低位相ノイズ型水晶発振器を搭載した。

アナログ出力(RCA)と2系統のデジタル出力(光、同軸)を備える。右のRCA端子はリモートコントロールの入出力

 他にもデジタル回路用には低インピーダンス電解コンデンサー、チップ型薄膜抵抗、カスタム電解コンデンサーを、電源回路にはマランツカスタム電解コンデンサー、低インピーダンスコンデンサーといった高音質パーツが多数搭載されているそうだ。

 CD 70は6.3mmヘッドホン出力を搭載しているが、そのためにHDAM出力バッファーと高音質オペアンプを使ったヘッドホン基板が採用されている。こちらもカスタム電解コンデンサーや金属被膜抵抗といった高音質パーツが奢られている。出力ゲインは3段階の切り替え式で、様々なヘッドホンとの組み合わせも可能。

「CD 70」のオーディオ基板。マランツカスタムの電解コンデンサーや金属皮膜抵抗などの高音質パーツを搭載する

 新製品説明会で、CD 70とMODEL 70の音を確認できた。まずアナログ接続でCDを再生してもらう。津軽三味線では、ステージの張り詰めた空気感、その中に響く三味線の繊細な音が細やかに再現される。弦の張り具合までわかるような鮮明さで、とても生々しい。

 ウッドベースによる「星条旗よ永遠なれ」は、若干すっきりした低音感にも思ったが、胴鳴りの心地よさが伝わってくる。クラシックでは、音数がぐっと増え、それらのひとつひとつがていねいに描写されている。S/Nがいいのも特長と思え、ダイナミックレンジの広さを感じた。

マランツの試聴室で、「CD 70」と「MODEL 70」の組み合わせの音を体験した。スピーカーはB&W「801 D4」で、両モデルの音質チューニングもこの組み合わせで行ったとのこと

 ここでマイケル・ジャクソン「Bad」でアナログレコードとCDの比較も行われた。再生したのはどちらも発売当時のディスクで、サウンドマスターの尾形さんの私物とのことだ。

 CDは時代性もあってか、マイケルのヴォーカルが少し遠くになり、帯域が狭い印象もある。1980年代のCDの音作りをCD 70とMODEL 70が正確に再現した結果なのかもしれない。対するLPは低域が豊かになり、ヴォーカルも切れよく伸びてきた。拍手の響もよりクリアーになる。こちらはMODEL 70の内蔵MMフォノイコライザーを使っているが、アナログレコードらしさを楽しめるまとまりだった。

 もうひとつ、HDMI ARC端子からブルーレイの音声(48kHz/24ビット、2ch)を聴かせてもらう。ライブ音源では、ピアノがクリアーで、響きもきれいに再現される。観客の拍手もリアルで、映像付きソースを楽しむのにもぴったりのサウンドだった。

新製品を担当した若手エンジニアの皆さん。左は「CD 70」を担当したプロダクト エンジニアリング エンジニアの兪 承辰(ユ・スンジン)さん、右は「MODE L 70」を担当したプロダクト エンジニアリング シニアエンジニアの中野 綾さん