蒙古タンメン中本とのコラボでも話題の映画が7月10日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか劇場公開される。ムエタイレジェンドのトニー・ジャーが主役、というだけでスカッとする感じは保証されたようなものだろうし、家から映画を見に行くまでの間の気持ちも大いに高まってゆく。あの、空気ごと切り裂いていくような鋭い動き、跳躍、蹴り、打撃がフィーチャーされることは間違いないからだ。

 ゆえに、「トニー大爆発」に至るまでの筋書きも重要になる。アクションが切り札、といっても、そればかりで映画が成立するわけでもない。そのアクションシーンを、どこで「解放」するか。そこにたどりつくまでに、いかに各キャラクターを丁寧に描いてゆくか。そうだなあ、そこは抒情的であればあるほど、見る者の情に訴える要素が強いほど、アクション部分とのコントラストが際立つ。昭和40年代の日活映画のムードアクション路線ではないが、「二つの対照的な世界」の共存だ。

 さあそこで本作、とにかく彼の演じるバイ・アンの人間像がしっかりと描かれている。詳述は避けるけれど、彼には愛するものが多すぎて、時にはそれが誤解を招くことになる。が、それに対してあれこれ弁解はしない。「生き方で示す」という感じか。そして許せない物事に対して、けっしてぬるい対応はしない。ふたつの厄介ごとを切り裂いていくかのようなトニーの快演、そしてシン・ユー(『イップ・マン外伝 マスターZ』)との、文字通りのバトルは、その「音」も含めて、スクリーン鑑賞の醍醐味を伝えるはずだ。邦題は「激怒」という意味だろうか、ちなみに英語タイトルはStriking Rescue(劇的な救出)。

映画『ザ・レイジ』

7月10日より全国公開

監督:チョン・スーイー
配給:ファインフィルムズ
2024年製作/111分/PG12/中国