日本唯一の国立映画機関、国立映画アーカイブは6月25日、国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を通じて、活動支援金1億円を目標とするクラウドファンディングを開始した。支援期間は9月23日まで。単発の資金調達にとどまらず、継続的な支援者との関係構築を目指す。
国立映画アーカイブは、独立行政法人 国立美術館の映画事業(フィルム・ライブラリー)を担う国内唯一の映画専門機関で、70年以上にわたり映画フィルムや関連資料の収集、保存、修復に取り組んできた。
今回のクラウドファンディング実施の背景には、慢性的な予算不足がある。文化庁は、2026年度の国立映画アーカイブの運営費交付金を、2025年度の6億3,665万円から約3億円を削減。中期目標として自己収入割合の改善が求められており、目標を達成できない場合には閉所を含む再編の対象となる可能性があるという。このため、国立映画アーカイブでは自己収入目標予算額を約2億円上積みした。
人件費や光熱費、設備運営費など固定費の見直しを進めるとともに、所蔵する映画遺産を活用した特集上映や展示関連グッズの販売など、収益向上に向けた取り組みを進めてきた。しかし、これらの施策だけでは自己収入目標額への到達が見込めず、新たな資金調達策としてクラウドファンディングに踏み切ったわけだ。
東京・京橋の国立映画アーカイブではフィルム上映が可能な映写室がある。床に並ぶのは上映待機中の是枝裕和監督の代表作と日本のアニメ映画のフィルム缶が並んでいた
国立映画アーカイブの地下に保管されている膨大な映画のスチールは配給会社や俳優などの関係者からの寄贈が中心
6月25日に開かれた記者会見では、担当者が映画文化の継承に向けた活動の意義を説明し、映画フィルムや関連資料を未来へ引き継ぐための保存・修復事業への理解と支援を呼びかけた。
左から国立映画アーカイブ課長・冨田美香氏、館長・栩木章氏、映画監督・諏訪敦彦氏
クラウドファンディングの支援金額は、5,000円〜5,000,000円まで約30ものコースが用意されており、返礼品なしから、フィルム缶などアーカイブゆかりの品々の返礼品や、上映ホール貸し切りまで多種多様となっている。具体的な支援参加に関する詳細は「READYFOR」のホームページにて。
映画を愛する我々も国立映画アーカイブの文化的な意義や機能を理解した上で、クラウドファンディングへの協力など、サポートしていきたい。