ヤマハから、ワイヤレスハイファイスピーカーの新製品「NX-70A」が発表された。価格は¥385,000(ペア、税込)で、8月下旬の発売を予定している。
本体カラーはブラックとホワイトで、同色のスタンド「SPS-70A」(¥88,000、ペア、税込、別売)も準備される。本体とはネジで固定するタイプだ
ヤマハでは、これまでも「NX-N500」などのアクティブスピーカーを発売してきた。それらもWiFi機能を内蔵し、ハイレゾストリーミングサービスやPC、NASに保存した楽曲の再生が可能だった。
今回のNX-70Aはそういった経験を踏まえ、さらにスピーカーやアンプ、そして楽器まで総合的に手掛けているヤマハとして、ストリーミングからフォジカルメディまで様々なソースを本格的なサウンドで楽しめるハイファイスピーカーとして企画されている。
第一の特長として、独自のハーモニクスダイアフラムを搭載した。これは音速や内部損失に優れたZYLON(ザイロン)とピアノの響板にも使われているスプルース材を混ぜ合わせた振動板素材で、ツイーター(本機では30mmドーム型)にもウーファー(同130mmコーン型)にも同じ素材を使える点が特長だ。これにより、全帯域に渡って統一された音色が再現できるという。
なおこの素材はパッシブスピーカーの「NS-2000A」「NS-800A」「NS-600A」でも使われているが、NX-70Aでのザイロンとスプルース材の配合比率はそれらとも異なっており、今回新たに開発されたとのことだ。
本体の天板とベース部には厚さ5mmのアルミプレートを配置。平行面のないラウンドフォルムが美しい
そしてユニットを駆動する新技術がシナジスティックドライブだ。これはスピーカーとアンプを協調動作させることで再生音の歪みを抑える手法とのこと。その詳細はなかなか難しいが、担当者氏によるとスピーカー自体をアンプの回路として一体化し、ユニットの駆動状況に応じてアンプ側の電流を制御しているそうだ。これにより、ユニットに起因する磁気歪みを抑え、原音の忠実な再生が可能になるという。しかもこれらの処理を、センサーなどを使わずに実現できている。
またスピーカーは、設置場所等による環境の影響も避けられない。その点については独自のYPAO(Yamaha Parametric room Acoustic Optimizer)を搭載、部屋の初期反射音を制御するYPAO-R.S.C.と、64ビットのイコライジング処理を行うことで音質向上を図っている(ターゲットモードは従来のFLAT)。測定用マイクも付属しており、専用アプリのMusic Castから行う仕組みだ。
NX-70Aはオーディオルームだけでなく、リビングやサブルームでの使用も想定している。そのため本体デザインにも配慮し、楽器をイメージしたラウンドフォルム(平行面がない)や、天板とベースに5mm厚の無垢アルミ材を採用している(本体は樹脂製)。また天板後方のヒートシンク部分にはピアノをイメージした銅色があしらわれている。
写真右側がプライマリースピーカーで、リアパネルのくぼんだ部分に各種接続端子が設けられている。写真左のセカンダリースピーカーとはワイヤレスか有線でつなぐ仕組み
NX-70Aの各種入力端子はプライマリースピーカーに搭載され、セカンダリースピーカーにデジタル信号を送る仕組み。ふたつのスピーカーそれぞれに電源が準備されており、L/R間はワイヤレス、有線(LANケーブル)のどちらでも接続できる(ワイヤレス時は96kHz/24ビット、有線では192kHz/24ビットで伝送)。より高音質で楽しみたいという方は有線接続を選ぶといいだろう。
工場出荷時はプライマリースピーカーが左チャンネルに設定されているが、ここはMusic Castアプリで変更できるので、置き方に応じて切り替えてもいい。プライマリースピーカーのバッフル下部には有機ELディスプレイも搭載され、再生している曲名などが表示される。
製品説明会でNX-70Aの音を聴くチャンスがあった。Qobuzでサマラ・ジョイを再生すると、ボーカルがセンターにぴたりと定位し、まさに目の前で歌っているかのようなイリュージョンが体験できる。ホールの反響もこまやかで、耳の横にまで残響感が広がってくる。チェ・ソンジンのピアノは、鍵盤のタッチのていねいさと力強さが同時に再現される。楽器の配置が明瞭に見えるのは、細かな音情報まで再現できているからだろう。
付属の測定用マイク。信号処理としては2.1chで行うとのこと
情家みえのジャズボーカルも声の抜けがよく、ピアノの演奏もこまやかでクリアーに再現される。一方でジャズのグルーブ感はおとなしめで、どちらかというと理知的な再現にも感じる。NX-70Aは、澄んだ音で楽曲に込められた情報をきちんと描き出す音づくりということだろう。ハイレゾ音源との相性がよさそうで、ニアフィールドで色々な楽曲を聴いてみたくなる、上質なアクティブスピーカーだ。
「NX-70A」の主なスペック
●型式:2ウェイ2スピーカー、アンプ内蔵バスレフ型
●使用ユニット:30mmドーム型ツイーター、130mmコーン型ウーファー
●内蔵アンプ:ツイーター用60W、ウーファー用100W(左右それぞれ)
●ワイヤレス:IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth(SBC、AAC)
●接続端子:アナログ入力1系統(ステレオミニ)、デジタル入力1系統(光)、HDMI eARC/ARC、LAN、USBType-A、マイク入力、サブウーファー出力
●対応ストリーミングサービス:Qobuz(Qobuz Connectはアップデートで対応予定)、Spotify、AirPlay、GoogleCast、RoonReady、他
●寸法/質量:W189✕H333✕D234mm/5.7kg(プライマリー)、5.4kg(セカンダリー)
https://jp.yamaha.com/products/audio_visual/speaker_systems/index.html