パナソニックは、同社の2026年春のテレビ新製品体験説明会を開催した。同社ではこの春、Mini LED 4K液晶テレビ3シリーズ10モデル、4K液晶テレビ2モデル、4K有機ELテレビ2モデルの合計5シリーズ14モデルを市場に投入する。そのラインナップと市場想定価格は以下の通り。

●Mini LED 4K液晶テレビ
W97Cシリーズ
 TV-75W97C 市場想定価格44万円前後、7月下旬発売
 TV-65W97C 市場想定価格36万円前後、7月下旬発売
 TV-55W97C 市場想定価格29万円前後、7月下旬発売
W95Cシリーズ
 TV-75W95C 市場想定価格36万円前後、6月下旬発売
 TV-65W95C 市場想定価格30万円前後、6月下旬発売
 TV-55W95C 市場想定価格23万円前後、6月下旬発売
 TV-50W95C 市場想定価格22.5万円前後、6月下旬発売
 TV-43W95C 市場想定価格22万円前後、6月下旬発売
W93Cシリーズ
 TV-65W93C 市場想定価格24万円前後、7月下旬発売
 TV-55W93C 市場想定価格20万円前後、7月下旬発売

Mini LED搭載液晶テレビ「W97C」シリーズ

●4K液晶テレビ W80Cシリーズ
 TV-50W80C 市場想定価格15万円前後、6月下旬発売
 TV-43W80C 市場想定価格13万円前後、6月下旬発売

●4K有機ELテレビ Z95Cシリーズ
 TV-65Z95C 市場想定価格60万円前後、6月下旬発売
 TV-55Z95C 市場想定価格45万円前後、6月下旬発売

液晶テレビ「W93C」シリーズ(左)と有機ELテレビの「Z95C」シリーズ(右)

 説明会冒頭、パナソニック株式会社 テレビ事業部 マーケティング部 部長の金澤貞善氏から、同社が目指すテレビについての紹介が行われた。

 金澤氏はまず、「新生パナソニック株式会社が掲げているミッションは、『何気ない日常を、かけがえない一日へ変えていく。』こと、『進化し続ける想像力で、まだこの世界にないものを生み出す。』です。そのために、テレビ事業部はエンタテインメントの力で新しい出会いと本物の感動を届けたい、と本気で考えております」と力強く語った。

 その考えを形にしたのが新しい商品ラインナップという。現在のテレビ市場は大画面化と4Kが進んでおり、さらにネット接続率も73.8%まで向上(総務省資料より。関東地区世帯ベース)、テレビは放送だけでなく、動画や音楽配信サービスを楽しむエンタテインメントのハブへと進化している。

 同時にテレビ自体の大型化という側面から、耐震や安全性への関心も高まっており、同社では、日本の住環境に適した安心・安全まで含めてテレビの価値と考えているそうだ。こうした変化を踏まえて同社としては、『コア技術を活かした画質・音質の追求』と、『変化するくらしへの対応』のふたつに重きをおいて開発を進めている。

 前者については、黒の再現性をさらに高めていく。これまで有機ELで探求してきた発光制御技術や自社開発LED、映像クリエイターとのコラボで得た知見を活かし、今回はMini LEDバックライト液晶テレビで黒の限界に挑んでいる。それもあり、新製品ではMini LED 4K液晶テレビのラインナップが一挙に増えているわけだ。

 後者の安心・安全については、地震が来ても倒れにくい転倒防止スタンドを継承、独自の厳格な基準で行うリファービッシュへの取り組み、アフターサービス延長保証などを進めていく。また同社では2024年モデルからテレビにFire TV OSを採用しているが、今回の新製品でもそれを踏襲し、使いやすいUIや音声操作にも対応して、放送と配信を高次元で融合していく。

左がパナソニック株式会社 テレビ事業部 マーケティング部 部長の金澤貞善氏で、右がテレビ事業部 マーケティング部 国内マーケティング課の沖津大輔氏

 金澤氏に続いて、テレビ事業部 マーケティング部 国内マーケティング課の沖津大輔氏から商品の詳しい紹介が行われた。

 Mini LED 4K液晶のフラッグシップ「W97C」シリーズは、Bright Black Panel Ultraパネルを搭載する。新たに採用された高輝度Mini LEDバックライト、量子ドットシート、高輝度・広視野角シートにより、昨年モデルの「W95B」シリーズ比でピーク輝度が約2倍に向上したそうだ。同時にエリア分割数もW95Bの約2倍に細分化、安定した黒再現も可能になり、結果として高いコントラスト再現を実現している

 暗部再現については、ミニマムルミナンスコントロールも最適化された。これは独自のMini LEDバックライト制御によって映像の光出し、超低輝度まで厳密にコントロールして黒の階調をより細かく、滑らかに再現するもので、今回は3シリーズそれぞれのパネルに合わせてカスタマイズされているようだ。

左が昨年モデル「TV-65W97B」で、右が新製品の「TV-65W97C」。女性の白い服の輝きや肌のクリーンさ、絵の具の色などに大きな違いがあった

 セカンドラインの「W95C」シリーズは、Bright Black Panelパネルを搭載。Mini LEDバックライトに高輝度・広視野角シートを組み合わせたもので、明るさと高コントラストの表現を強化した。「W93C」はBlack Panelパネル搭載機で、Mini LED分割駆動により高コントラスト映像の再現が可能という。

 音質面ではW97CはフロントL/Rが2ウェイシステムで、さらにイネーブルドスピーカーを加えてリアルな立体音響の再生にも対応する。W95CはL/Rフルレンジスピーカーにウーファーを1機加えた2.1ch構成、W93CはL/Rのフルレンジ再生となる。なお3シリーズともドルビーアトモスのデコードが可能だ。

 続いて有機ELテレビの「Z95C」シリーズも紹介された。ちなみに今回のラインナップを見て、パナソニックもMini LED 4K液晶テレビに重きをおいているように感じる方もいらっしゃるかもしれない。

 その点について問われた金澤氏は、「弊社として、今ご提案できる最高画質は有機ELであるという考えに変化はございません。私自身も今テレビを買うなら有機ELを選ぶと思います」と答えた。

有機ELテレビの画像比較。白く輝く水のピーク感や細かい粒の再現、画面右側の安定した黒など、左側の「TV-65Z95B」と右側の「TV-65Z95C」では着実な進化が認められた。

 さらに今回Mini LEDのラインナップが増えているのは、「弊社はこの技術については最後発というイメージがありました。今回は、Mini LEDに本気で取り組んでいます、という姿勢もアピールしたいという思いがありました」と金澤氏は話す。

 そのZ95Cシリーズは、プライマリーRGBタンデムパネルを搭載する。パネルの仕様はZ95Bと同様だが、最新世代パネルは発光効率がさらにアップ、開口構造も改善されたことで、明るさや色の鮮やかさも進化している。また表面に低反射ブラックフィルターPROを採用し、黒の締まりや写り込み低減を達成、コントラストも向上させている。

 サウンド面では、画面下側のラインアレイスピーカーに加えて、ウーファー/パッシブラジエーターやワイド/イネーブルスピーカーも搭載、ドルビーアトモスなどのイマーシブオーディオ再生も楽しめる。さらにマルチチャンネル音源再生時にセリフをリフトアップする機能も追加、画面に馴染んだ音場として再生している。映画などの低音残響成分を再現して、より豊かに楽しめるレゾナンスベース機能も採用されている。

バックライト駆動の比較も行われた。エリア分割が従来機からさらに細かくなったことで、中央の「TV-65W97C」はよりオリジナルの映像に近い形状が再現できるようになった

 Fire TV OSも、この3月に発表された最新世代を搭載。具体的にはコンテンツをジャンル別にすぐに探せるタブ機能の追加や、表示アプリ数の拡大、調整用パネルのデザイン刷新などで、快適なUI操作が実現できている。

 もうひとつ、リモコンが行方不明になった時にテレビに話しかけることで探せる、見つかるリモコン機能や、複数のワイヤレスイヤホンにBluetoothで音声を同時送信するAuracast機能への対応も果たしている(送信側はZ95C/W97C/W95Cシリーズ、受信側はEAH-AZ100の組み合わせ)。

 ゲーム向け音声として「Race」モードも搭載されている。これは疾走感や空間再現を強化したもので、もともとはレースゲームを想定しているが、オープンワールドゲームなどの広大な風景にもマッチするそうだ。ゲーム映像のVRR(144Hz)再生時にもバックライト分割駆動が有効に動作し、動きの早いシーンのコントラストを向上させている。

映画監督の吉野耕平氏

 ここで特別ゲストとして映画監督の吉野耕平氏が登場、沖津氏とのトークセッションも行われた。吉野監督は、CMプランナーや映像ディレクターを経て、2016年にCGクリエイターとして『君の名は』(新海 誠監督)に参加。『水曜日が消えた』(2020年)で劇場長編監督デビューを果たし、以後『ハケンアニメ!』(2022年)、プライムオリジナル『沈黙の艦隊』シリーズを手掛けている。最新作の『君のクイズ』が現在劇場公開中だ。

 吉野監督は事前にW97Cで『沈黙の艦隊 北極海大海戦』をチェックしていたそうで、「潜水艦ものは昔から劇場と相性がいいと言われています。劇場の暗闇と音が最大の効果を発揮するイメージだったので、明るい環境のテレビで観るとなると、力強い作品にはならないかなと思っていたんですけど、実際観させていただいたら、試写や劇場で観た印象とほとんど変わらなかったんです。テレビってここまで来ているだと思いました」と、液晶テレビの進化にも驚いた様子だった。

 中でも暗い潜水艦内部の描写や、その中で明るく発光しているボタンやモニター、海の中に降るマリンスノー、北極海の氷のニュアンスだがきちんと再現できていたことには、「作り手として、ひじょうに嬉しいなと思いました」とのことだ。

「TV-75W97C」で、プライムビデオの『沈黙の艦隊 北極海大海戦』のワンシーンも再現してもらった

 印象的だったのは、大沢たかお氏が演じる海江田が北極のオーロラの下で演説をするシーンで、オーロラのニュアンスや、その明かりで照らされる海江田の顔、肌色がていねいに再現できていたことだったという。「スタッフにここで再現できているよと、胸を張って言える」と嬉しそうに話してくれた。

 吉野監督によると、プライムビデオの『沈黙の艦隊』は最後のエピソードまで制作されることが決まっており、撮影も終盤を迎えているとのこと。本作のファンだという沖津氏が、「続編をビエラで楽しめる日を楽しみにしています」と話し、トークセッションは終了となった。