Amazon(アマゾン)は、オーディオブック及び音声コンテンツ制作・配信サービスのAmazonオーディブルについての発表会を開催した。

 そこでは、Audibleの利用動向や最新の調査データの紹介、2026年に予定している取り組みおよびコンテンツラインナップが説明された。また、Audibleオリジナル作品をはじめ、新ジャンル展開や体験施策などについての幅広い取り組みも紹介されている。

 Audibleカントリーマネージャーの逢阪志麻氏によると、Audibleとして2026年に注力するテーマは大きく3つあるという。第一は「ラインナップ強化」で、第二が「利用創の拡大」、最期が「認知拡大と利用促進」となる。

 聴く読書としてのオーディオブックの登場を受けて、ユーザーと本との付き合い方も変化している。紙や電子ブックの読者は年間の読書数が1冊以下という人が56%だったのに対し、オーディオブック利用者では6〜30冊という人が44.2%と桁違いに増えている。さらにAudibleを利用することで読書量が増えたという方は84.5%に及ぶそうだ。

 これを踏まえて、ラインナップの強化が進められている。同サービスの2026年1月1日〜5月11日の人気作品は、1位が『イン・ザ・メガチャーチ』(朝井リョウ 著、岩崎 了・大森ゆき 朗読)、2位が『成瀬は都を駆け抜ける』(宮島未奈 著、鳴瀬まみ 朗読)、3位『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健 著作、てらそままさき・金野 潤 朗読)というものだったそうだ。その際の最新調査によると、Audibleユーザーには過去の名作・ベストセラー、人気作家の新作・話題作、ビジネス・自己啓発書などの人気が高かったとかで、今後もそれらのジャンルを充実させていくという。

 既に今年2月から、司馬遼太郎氏の代表作『竜馬がゆく』(小林親弘 朗読)、『坂の上の雲』(森川智之 朗読)の配信もスタートしており、他にも恩田 陸氏や村上 龍氏の作品も追加していく予定だそうだ。またAudibleオリジナルのオーディオファースト作品(出版の前にオーディオブックで配信する)も続々登場する他、新たな試みとして韓国ドラマ作品『天国の階段』をオーディオブックとしても配信するとのことだった。

 続いてAudibleヘッド・オブ・コンテンツ・ジャパン キーリング 宮川ともみ氏から具体的な作品が紹介された。主なタイトルは『五分後の世界』(村上 龍 著、桐谷健太 朗読)、『ミス・サンシャイン』(吉田修一 著、水上恒司 朗読)、『ブティック』(池井戸 潤 著、6月26日配信予定)など。他にも『硝子のマンション』(染井為人 著、大久保多聞 朗読)は6月24日に書籍発売と配信が同時に行われるという。

 オーディオファースト作品からは、『火と話す男』(中山七里 著、榎木淳弥朗読)の配信もスタート、『没頭する力』(三宅香帆 著)も今年配信予定とのことで、さらなる充実を目指していくのだろう。

 発表会では、Audible配信作品に携わるゲストとして、文芸評論家の三宅香帆氏、小説家の染井為人氏、俳優の桐谷健太氏が登壇、トークセッションも行われた。

 桐谷氏は、「初めて小説を読んだのが18〜19歳の頃で、村上 龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』でした。なんちゅう世界観やと思いながら、没入して読んだのを覚えていまして、そこから村上 龍さんの作品もたくさん読ませていただいています。今回、村上 龍さんの『五分後の世界』を朗読して欲しいというお話をいただいた時は、本当に光栄に感じましたし。小説をまるまる 1 冊朗読するという経験は今までなかったので、すごく体力と集中力も必要だなと改めて感じました。本当にたくさんの気づきと学びがありました。本当にAudible、オーディオブックの朗読ができてよかったなと思っています」と、今回の朗読に特別な思いがあったことを明かしてくれた。

左から、宮川ともみ氏、三宅香帆氏、桐谷健太氏、染井為人氏、逢阪志麻氏

 初のオーディオファースト作品『没頭する力』を配信予定の三宅氏は、「新刊をこういう形で聞いていただけるっていうのは初めての経験です。最近のSNSだったり、スマホに同時接続している空間だと、何かに没頭するっていう力を失いやすいんじゃないかというところから、没頭するためには何が必要なんだろうって考えて、こういうことが必要なんじゃないかみたいなことを書いた作品になっているので、いろんな方に読んでいただけたらと思います」と話した。

 三宅氏は、新作の『硝子のマンション』がオーディオブックと書籍が同じタイミングで発売されることについて、「紙の本に慣れている人は本で、声で聞きたい人はオーディオブックでとどちらも選べるというのがいいですね。もしかして、両方で楽しむレアな人もいるかもしれないですけど。物語自体は、東京の板橋にあるマンションを舞台にした、いろんな部屋の男女の物語っていう、ホラーサスペンスでございます。僕は物語の内容を説明するのが苦手なので、あらすじを読んでいただければ」と語っていた。