至極善良に見えた人物が実は……。人の闇に潜む戦慄の狂気を描いた『Erica -エリカ-』がいよいよ5月15日(金)より公開される。これは、監督でもある宮岡太郎氏が学生時代に自主製作した『連鎖』(東京学生映画際で審査員特別賞を受賞)をセルフリメイクしたもので、愛に執着しすぎるが故の狂気を、サスペンス感たっぷりの展開で見せる注目作。ここでは、タイトルにもなっている「エリカ」を演じた林芽亜里にインタビュー。役作り、芝居の苦労から、俳優を目指したきっかけなどについて話を聞いた。

――よろしくお願いします。本作で映画初出演を飾りました、おめでとうございます。
 ありがとうございます、そう、初めてなんですよ! 自分の中でもずっと映画に出てみたいと思っていたので、その夢が叶ってうれしかったです。しかも、それがドラマ「年下彼氏」でご一緒した宮岡太郎監督と作品を作れるということで、うれしさが倍になりました!

――もともと映画に憧れていたのですか。
 演技のお仕事を始める前は、映画を観る機会は少なく、そうした思いもなかったのですが、演技をするようになってからいろいろな作品を見る機会が増えたことで、いつかこのスクリーンに自分が映ったらどうなるんだろうって、夢の世界みたいな感じで想像をしていたので、いざそれが現実になったことに、自分でも強い驚きはありました。

――長年モデルとして活躍されていますが、俳優業を始めるきっかけは。
 もともと、雑誌(モデル)をやっていて、雑誌の撮影が大好きだし、楽しかったので、このお仕事だけで一生進んでいくって、当時は思っていたんです。一方で、演技をやったらどうですか? って言われてはいたんですけど、“私はモデルがいいな”っていう気持ちでいました。ただ、その後、新型コロナが流行った時に、私は石川県に住んでいたので、感染防止の観点から県をまたいでの移動ができなくなってしまったんです。私は撮影したいのに、できない……。それが悔しかったので、上京しました。その結果、雑誌のお仕事とか、学校はあるんですけど、移動時間がなくなったことで時間ができる(余裕が生まれた)ようになって。せっかく出て来たんだし、時間があるのなら、お芝居にもチャレンジしてみようという気持ちになって、お芝居もやるようになったという流れです。

――コロナがなかったら、モデル専業だった?
 そうかもしれません。コロナ期間は仕事もできないし、友達とも会えないという辛かった記憶もありますが、自分の人生の中では大きな分岐点だったと感じています。

――モデルには、女優もされている方が多くいらっしゃいますが、間近で見ていて憧れにはならなかった。
 雑誌「non-no」の専属モデルになってから、憧れが強くなりました。モデルをしながら女優をしている先輩方に影響を受けた部分は大きいですね。とにかく、すごくかっこいいなって思ったので、私も演技をやっていこう、頑張らないと! って思いました。

――今回、ようやくその夢が叶いまして、さらに演じられた役と作品タイトルが同じです。
 そうなんですよ! そこも自分の中ではすごく大きくて、『Erica-エリカ-』っていう映画の「エリカ」役を林さんにと仰っていただいた時に、なんだか一気にプレッシャーというか、重大なものがドーンと乗りかかってきたような感じがして、すごくドキドキしました。

――うれしさとプレッシャーを同時に。
 本当にそんな感じです。いろいろな感情がどんどん詰め込まれていくみたいな雰囲気だったんですけど、それこそ本当に、過去にご一緒した監督といろいろ相談をしながら撮影を進めていくことができたので、とても良かったと思っています。

――完成した映像を観た時の感想は。
 最初に「林芽亜里」っていう名前がスクリーンにドーンって出た時に、今までは観客側だったのに、この作品では、自分の名前がクレジットされている。もう、その画面を見てゾワ~って来ました! 撮影をしていた記憶というか経験はしっかり残っているけど、クレジットを見て、より実感が湧いてきました。そこからはもう、作品を楽しむことよりも自分の演技の反省点などを考えてしまい、体に力が入りながら、終始前のめりで観ていました。ですが、撮影したものにたくさんの効果がプラスされてTheサイコホラーが完成していて、ビクッとなったりもしました。

――エリカが出てくるまで、結構待ちました。
 そうなんですよ(笑)。短いシーンではありますけど、エリカの登場シーンは、結構時間をかけてていねいに撮りました。

――そこがクランクインですか?
 別のところですね。クランクインは庭で石を投げるところでした。それと、(飯笹)辰樹さんが引っ越しきて、写真をパシャって撮るところが、初日の撮影でした。クランクインからボリューミーだった記憶があります。

――少しネタバレしますが、いきなり石ですか(笑)。
 そうなんです。いきなり石だったので(笑)、クランクインまで結構、石を投げる練習をしていましたし、素振りも初日だったので、消しゴムを石に見立てたり、日傘をバットに見立てたりして、自分の身の回りにあるもので、たくさん練習しました。

 ただ、バットは意外と重くて、最初の頃はもう自分でもへなちょこすぎてだめだなぁと思うぐらいでしたけど、頑張って練習したおかげで、作品に使えるレベルにまで上達して良かったって思いました。

 撮影の前の時間にはとにかくたくさん素振りの練習をして、手にまめを作って、皮がむけながらの撮影でしたので、すごく印象深いです。

――今回演じられた溝川エリカには、どんな印象を持たれましたか。
 最初に台本を読み終えた時には、私って今からすごい人を演じるんだなっていうのを実感して、どうしようって、一瞬不安がよぎりました。一方で、自分の考えにはない行動をしたり、言動をするので、私とは全く違う人種、まあ、一人の人間ではありますけど、全然違う人と思えるぐらい、エリカはすごく特徴的な人物だったので、私は今からすごいことに足を踏み入れていくんだって、ゾクゾクしていました。

――昨年末に出演されたドラマも、ミステリーとサスペンスが同居していました。
 そうですね。「推しの殺人」でも両方を感じましたけど、実は『Erica-エリカ-』の方が、「推し~」よりも前の撮影になりますし、その当時は「熱愛プリンス」など、ラブコメのような雰囲気のドラマの出演が多かったので、私の中で『Erica-エリカ-』という作品は、それまでにやったことがないジャンルだったこともあり、自分の中で、まったく違う、そして新しい自分が見つけられるんじゃないか、でも、きっと壁も立ちはだかるんだろうなっていう、複雑な気持ちを感じながらの撮影でした。

――すると当時、エリカの役作りではどこから人物像を得たのでしょう。
 撮影が始まる前に監督から、エリカの性格――こういう人で、こういう気持ちを持っている――の説明を受けたのと、この作品を参考にしてほしいと、海外の作品をたくさん教えていただいたので、それを観て参考にしました。そうした作品は、『Erica-エリカ-』が始まる前はあまり触れてこなかった世界だったので、エリカきっかけで、自分の観る作品の幅もすごく広がりました。

――演じながら成長している自分も感じた。
 はい。撮影期間はすごく短かったのですが、撮影が始まる時の自分と、撮了後の自分を比べると、すごく分かりやすい表現をすると“達成感”を得られたという感覚で、今の自分は、全然違う気持ちを持っていることが分かったので、この作品を経験して成長できたっていう気持ちで終えることができました。

――芝居の引き出しが増えた感じでしょうか。
 本当に、エリカに新たな表現・感情を引き出してもらった感覚はすごくあって、自分でも表現の幅はすごく広がったと感じています。

――話を変えますが、撮影は順撮りに近かったのでしょうか。
 いいえ、結構バラバラでした。午前中に、ご飯できたよってラブラブなシーンを撮ったかと思えば、午後にはまた違う雰囲気のエリカを演じたりして、1日の中でも感情の振れ幅はすごく大きかったです。

――撮影もたいへんですけど、演じ分けるのも大変ですね。
 常に台本を持って、それぞれのシーンの前にしっかり確認してから撮影していました。これはすごくいいことだと思うのですが、帰ってからは毎日ヘロヘロでした。

――ちなみに、演じられたエリカをどう感じましたか。
 共感しにくい部分もありますけど、その原点というか、寂しさとか孤独は自分の中にもあるものなので、(エリカは)特徴的な人物ではあるけど、一人の女性として人を愛する気持ちが、そういう愛し方だった、という気持ちでエリカを演じていたので、人間味はあるし、普通の人が感じる感情もあったりしたので、そこは特別人物だけど特別人物ではないような感覚が私の中ではありました。

――ある意味、執着が強い。
 執着が強すぎて、本当に些細なことで、これはもう自分は見放されてしまったんだっていう風に思ってしまうんです。多分、普通の人だったら許せることでもエリカは許せなくて、100%見放されてしまったと思ってしまうタイプなので、そこはちょっと表現が難しかったです。

――定番のセリフも、何度も聞くと愛らしさを超えて不気味でした。
 そうですよね。でもエリカとしては本心なんですけど、今までにも何度も口にしてきたんだろうなと。どんどんそれが連鎖されていくので、客観的に見てゾクってしました。でも、エリカ自身はその時は本当にそう思っているので、お芝居としては本心を表現する気持ちでセリフを口にしていました。

――月並みな質問ですけど、見どころをお願いします。
 作品としてはもう、本当にすべてのシーンから目を離さないでほしいです。というのも、エリカの感情が一気にプツンと変わることが結構様々に出て来ます。さっきまで楽しそうに話していたのに、感情ってそんなに一気にバンって変わることがあるんだと思うぐらい、エリカはその切り替えが上手というか、切り替えできてしまう女の子。その部分は自分の中でもきちんとポイントを持って演じたので、その切り替え――いっぱい出てきます――を見てほしいです。

――最後に、話は逸れますが、昨年末、フォトムックの発売会見で、一人旅をしてみたいと話していましたが、実現しましたか。
 はい、箱根に一人旅してきました。行き先も行き帰りの電車も自分で決めて、行きはこっち側の席だったら富士山が見えるみたいなことを調べたりしました。充実した時間を過ごすことができました。

――今日は、ありがとうございました。

映画『Erica -エリカ-』

2026年5月15日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国ロードショー

<出演>
望月歩 林芽亜里 高尾颯斗 葉月くれあ 小泉萌香 藤原樹(THE RAMPAGE)

<スタッフ>
監督:宮岡太郎
脚本:井上テテ
撮影:山本周平
配給:S・D・P
制作:MMJ
製作:映画「エリカ」製作委員会
(C)2026「エリカ」製作委員会

●林芽亜里 プロフィール
2005年生まれ。石川県出身。
小学4年生の時に「ニコ☆プチ」のモデルオーディアションにてグランプリを受賞。その後、「ニコ☆プチ」「nicola」と専属モデルを務め、現在は「non-no」の専属モデルとして活躍中。2024年にはドラマ「先生のさようなら」(日本テレビ)のヒロインに抜擢され女優デビュー。以後、「熱愛プリンス」(MBS/25)、「推しの殺人」(読売テレビ・日本テレビ/25)などに出演。2026年4月クールでは、ドラマ「時光代理人」(東海テレビ・フジテレビ)に出演中。

●公式サイト
https://sunmusic-gp.co.jp/talent/hayashi_meari/

スタイリスト:小西沙良
ヘアメイク:鈴木海希子