これは本当にためになる。インドの歴史、建築物と人間との関係、デザインの重要性などが、見ているうちに、体に沁みとおってゆく。手ごたえのある特集上映であるといいたい。

 説明不要の伝説的存在であろうル・コルビュジエと、彼の許で学び惜しくも2023年に亡くなったB・V・ドーシ、そのふたりの世界に迫った好一対の2作品だ。1947年、イギリス領インド帝国はイギリスからの支配を脱し、インドとパキスタンとして分離独立をした。パンジャーブ州都ラホールはパキスタンに帰属することになったので、インドは州都建設をすることになり、初代首相ネルーの「過去の伝統に縛られない、未来への信条と民主主義を象徴する都市の建設」という意向も受けて、スイス生まれのフランス人建築家であるル・コルビュジエが設計を担当することになった。この『ユートピアの力』は、まさにその都市、チャンディーガル(チャンディガール)に迫った一作。いとこの建築家ピエール・ジャンヌレの協力を得てつくりあげた計画都市の、なんともいえないナチュラルな感じ、時代を超えた新しさを感じさせる色合い、有名なオープン・ハンド・モニュメントなど、「訪ねてみたいとは思っている、だけどさしあたり行く機会がない」という人(私だけではないはずだ)には実にありがたい。監督はカリン・ブッハー、トーマス・カラー。

 『誓い 建築家B・V・ドーシ』は、インド人建築家のバルクリシュナ・ヴィタルダス・ドーシを中心に描かれる。彼はチャンディーガル(チャンディガール)計画と同じころ、コルビュジエのもとで頭角を現し、インド西部の都市アーメダバードのコルビュジエのプロジェクトに関わり、ルイス・カーンとも共に働き、建築界のノーベル賞とされるプリツカー賞も得た。自らの思うところを、饒舌なまでに語りに語るドーシは、エネルギーの塊と言ったところ。サステナブルやエコとの関係、社会と建築の位相など、あれこれと考えさせてくれた。監督はヤン・シュミット=ガレ。

特集上映「ル・コルビュジエとドーシ インドのモダニズム」

5月1日より ユーロスペース ほか全国公開

『ユートピアの力』
『誓い 建築家B・V・ドーシ』
企画・配給:トレノバ