国内でも話題になったDLPプロジェクター
液晶テレビなどの直視型テレビが今や100インチを超える大画面モデルが登場してきているが、100インチ超の大画面と言えばプロジェクター。高額な高級プロジェクターだけでなく、DMD素子を使ったDLPプロジェクターが4K解像度の実現やRGBレーザー光源の採用で大きく実力を高めているのはみなさんもご存じの通り。
しかし、映画館のように室内を暗くしてじっくりと映画を鑑賞するような使い方をすると、やはりDLPプロジェクターではそれなりの差を感じてしまう。ところが、Valerion(ヴァレリオン)という新しいメーカーのプロジェクター「VisionMaster MAX」が急速に話題になっているのだ。
Valerionは、2020年に創立されたAWOL Visionの新しいブランドだ。最上位モデルであるVisionMaster MAXは米国のクラウドファンディングで16億円強という多くの支援を集めており、国内でも昨年12月16日からMakuakeでプロジェクトがスタートし、2月27日までのプロジェクト期間で、3億2500万円ほどの支援金を獲得するなど、国内で話題になった製品だ。
個人的にも気になっていたプロジェクターを実際に自宅で試してみることができたので、その様子をレポートしていこう。
Valerion「VsionMaster Max」について
まずは「VisionMaster MAX」の概要を紹介していこう。
本製品は、DLP方式のプロジェクターで、光源にはRGBレーザーを採用している。最大輝度は3500ルーメン。ここまでは多くのDLPプロジェクターと何ら変わりはないが、Valerionでは映画画質を重視していることから、DLPプロジェクターが苦手とするカラーブレイキング(色割れ)現象を低減する"アンチRBE技術"、ならびに高コントラストを実現する"NoirSceneシステム"などを採用していることが大きな特徴だ。
正面
背面
豊かな黒を再現するために、映像をフレーム単位で分析する特許技術となる「EBL(Enhanced Black Level)アルゴリズム」の採用をはじめ、6段階の精密絞りを備えることで、シーンに合わせた際最適な暗部調整を可能にしている。また、レンズ内部での乱反射や迷光をなくすためにブレードと鏡筒の内側をブラックコーティングを施している。0.9〜1.5倍の光学ズーム調整機能を備えているのも家庭での設置性を高めるには有利だ。
0.9から1.5倍の光学ズーム調整機能を備えているので、設置性を高めてくれる
実際に自宅の視聴室に置いてみたが、オートフォーカスや図形歪み補正、レンズシフト機能で設置・調整はごく簡単に行なえた。手動調整では、細かく調整することも可能にしている。また、スクリーンの中心線から横にずれた場所に置いて使うこともできるため、設置場所の自由度は非常い高いといえる。
オートフォーカスや図形の歪補正、レンズシフト機能の搭載で設置・調整は簡単に行なえた(画像はイメージ)
早速映像を確認してみる
一通りの設置後の調整が済んだところで投写された映像で確認してみると、レンズの解像感は十分。明るさは3500ルーメンと、これまた十分なほど明るい。薄型テレビ並みと言ったら大げさになるが、200ルクス(一般的なリビングの明るさは200〜500ルクスが推奨値)程度の環境でも十分に鮮やかな映像が楽しめる。カラーブレイキングも、静止画の図形(図形歪み補正のチャートなど)ではやや目に付くが、動画を表示しているとほとんど気にならないレベルだ。これはアンチRBE技術の効果だろう。
付属のリモコンは、金属製の筐体でズッシリとしており、高級感のある作りになっている
さっそくHDMI入力に接続したUHD BDプレーヤーでUHD BD盤の映画『トロン アレス』を観てみた。画質モードは「フィルムメーカーモード」を選択。かなり暗いシーンが多いこの作品を観ても大きな不満を感じないほど、黒が締まる。そして、暗部の階調も豊かだ。さらに、象徴的な赤く発光するラインを持ったスーツやメカなどの強い光も鮮やかだ。感心したのは、原色の強い赤の自然さだ。RGBレーザー光源は色の再現範囲が広いことで知られるが、原色の強い光は蛍光色が強まる傾向があり、鮮やかなうえに派手さが目立つと感じることが少なくない。このあたりがきちんとコントロールされていて"鮮やかに光る赤"となるのだが、ピンク色の蛍光色が混ざったような色になることもなく、純度の高い赤色で再現されていた。また、"グリッド"と呼ばれるいわゆる電脳空間をオープニング場面では赤系のワイヤーフレームで描いているが、このときの赤〜朱色〜黄色に近いオレンジ色がきちんと再現され、階調性も豊かであることに感心した。数値的に正確な色を再現するだけでなく、見た目に自然な色再現を意識した画作りだと感じた。映画のための画質を理解しているからこそ、実現したプロジェクターだと言える。
映画だけでなく、内蔵する"Google TV"でテレビドラマやアニメなども観てみたが、より明るく鮮やかな色を楽しめるし、それでいて派手すぎる映像にならない。「フィルムメーカーモード」はやや映画的なトーンになるものの、「標準」モードで観れば好ましい鮮やかさになる印象だ。より薄型テレビ的な色を求めるならば「ビビッド」がオススメ。いずれも不自然な派手さがないのは好感が持てる。
そしてゲーム。低遅延モードでは、1080P/240Hzで4ms、1080P/120Hzで8ms、4K/60Hzで15msの低遅延モードを備えており、ALLM(自動低遅延モード)に対応しているので自動で切り替わる。また、シューティングゲームなどで役立つ「クロスヘア表示」(画面の中心に照準を補助する十字マークなどを固定表示する機能)、暗部のディテールを補正する「Dark Detail」などの機能も盛り込まれているなど、ゲームのプレイも存分に楽しめる機能が充実している。
間もなく発売される最新作が楽しみな「バイオハザード ヴィレッジ」をPS 5 proでプレイしてみたが、表示遅延によって移動や照準がやりにくいと感じることもほとんどなく、スムーズにゲームをプレイすることができた。120Hz表示が可能なので激しく画面を動かしても映像がパラパラと紙芝居のようになることもなく、視認性も十分。そして、映画のような緻密なグラフィックは暗部の見通しもよく、暗く不気味な村を探索する怖さとそこから出現する怪物を倒すアクションの両方を快適に楽しむことができた。大画面の迫力を体感することができて、まるで映画を観ているかのような没入感でストレスなくゲームをプレイすることができるというのはなかなか楽しい。映画だけでなくぜひともゲームも楽しんで欲しいと感じた。
別売オプションの自立式スクリーンに投写してみた
次に試してみたのは、「VisionMaster MAX」の別売オプションとして販売されるスクリーンになる。プロジェクターとセットで販売されるスクリーンが、簡易的なモバイルスクリーンであるのに対し、自立式の張り込みパネル型スクリーンとなっている。軽量なアルミ材でパネルの四方を固定するフレームを作り、そこに脚部を取り付けるタイプのものだ。脚部を取り付けず、壁面に直接金具などで固定する設置も可能になっている。フレームなどの作りはシンプルで分解後は横幅1mほどのバッグに収納でき、屋外などに持ち運んで使用することも可能だ。重量も軽量なので大人なら一人で組み立てできそうだが、脚部の取り付け時などを考えると二人以上で行うほうがいいだろう。
実際に設置してみると、スクリーンにしっかりとテンションがかかるためシワがほとんど気にならない
折りたたむとこんなにもコンパクトになる
スクリーンは塩化ビニール製で幕面の仕上げはホワイトマットに近いものを使用している。フレームへの取り付けはタテ8個、ヨコ14箇所のボタン留め式で、しっかりとテンションをかけて留めることができるため、四隅の固定は少々力が必要になるが、そのぶん、幕面にはしわが寄ることもなく、平面度の高いスクリーンができあがる。もちろん、強めに引っ張っても破損がないようにスクリーン周辺は強度を高めてあるので安心。これが、ネット価格では6万円ほど(120インチ)購入できるのであれば、かなり値頃感に優れたスクリーンと言えそうだ。
巻き上げ式のスクリーンと違って、スクリーンにシワがよったり、巻いて収納するせいで幕面が波打つようなこともない。実際に映像を表示しても、ホワイトマット調の仕上げなので周辺が暗くなってしまうようなこともなく、カラーバランスも自然で「VisionMaster MAX」の魅力である豊かな色をしっかりと再現できている。画面の明るさを意識したせいか、ややコントラストが不足した感じになったものの、暗部の調整や色をやや濃いめにするなど、画質調整でカバーできる範囲なので、特に問題なしと言ったところだ。
「VisionMaster MAX」ほどの画質ならば、壁に直接投写するのは物足りないが、高級スクリーンは価格も高い。この辺りは悩みどころのひとつでもあるが、このスクリーンならば、プロジェクターの実力をきちんと引き出してくれるだろう。また、平面度などでも優秀な実力と言えるので、ぜひともセットでの購入をオススメしたい。
まとめ
今回の視聴レビューのように長く映画やゲームで使っていても、動作音は比較的静かなことに驚かされる。その動作音は、プロジェクターに耳を寄せてみることでようやくファンが回っているのがわかるレベルだ。無音の環境でもなければ、少し距離があればほとんど気にならないだろう。騒音レベルとしてはエアコンの作動音以下に感じた。
細いスリットを数多く設け、冷却の開口部が目立たないようにしたデザインされているあたりも好ましい。ちょっとした調度品のような趣きで、目に付く場所にあっても違和感がない。キラっと光る光沢感が少し気にはなったが、光るというよりもスクリーンの反射光や室内のわずかな光を反射する感じなので、むしろ自然に室内に溶け込むと言った感じだ。見た目にも高級感があるし、悪目立ちしないよく出来たデザインと言える。なお、リモコンもボタン配置は"Google TV"とほぼ共通ながら質感の良いデザインが施されているのも好感が持てる。しかも自照式。これは映画館のように部屋を暗くして映画を見たい人には必須の機能だ。
設置性や操作性、Google TV内蔵の機能性に加え、画質がしっかりと映画の画質を意識したものになっているのが素晴らしい。世間で大きな話題になっているのも不思議ではないとわかった。テレビ的にも使いたいし、映画はもちろん、ゲームをするという人には一番の注目モデルと言えるだろう。
オフライン体験会を5月16日に実施します
実際の視聴できる体験会として「Valerion『Vision Master Max』 特別視聴会」
をアバックの各店舗にて開催します。開催場所は以下の通りです。
●アバック新宿:5月16日(土)13:00~14:00/15:00~16:00(各回定員10名)
●アバック横浜:5月16日(土)13:00~14:00/15:00~16:00(各回定員6名)
●アバック名古屋:5月16日(土)13:00~14:00/15:00~16:00(各回定員6名)
●アバック梅田:5月16日(土)13:00~14:00/15:00~16:00(各回定員6名)
●アバック琉球:5月16日(土)13:00~14:00(定員8名)
●ホームシアターファクトリー仙台:5月16日(土)13:00~14:00(定員5名)
●ホームシアターファクトリー金沢:5月16日(土)13:00~14:00(各回定員5名)
※「アバック福岡」は事情により未開催
≪申し込みサイト≫
また、イベント開催回数については、申し込みが多数となった場合には追加開催も検討しています(新宿、横浜、名古屋、梅田は17:00~18:00、琉球、仙台、金沢は15:00~16:00の回)。その場合は事前共有の上で、特設サイトに追加開催時間を公開する予定でおります。
特設サイトはコチラから。