大画面を実現するプロジェクターの導入は、自身や家族の生活を一変させるほどのインパクトをもたらす。2019年、自宅に120インチのスクリーン・オーエス「ピュアマットIII Cinema」と、JVCのD-ILAプロジェクター「DLA-V9R」を自宅に導入した筆者も、その恩恵を受けるひとりだ。SNSの自己紹介にも書いたように、僕はチームラボ出身で、当時は数多くのプロジェクターの選定や、現場でのアクロバティックな設営にも関わってきた。だからこそ、プロジェクターに求められる画質と機能的に必要とされる要素は理解しているつもりだ。

 とはいえ、近年の家庭用プロジェクターは単なる映像出力機器ではない。映像品質の高さに加え、設置と調整の容易さ、Wi-Fi対応、OSやスピーカーの搭載など、単体でも使えるガジェットとしての総合力が求められる時代になっている。

 今回紹介するのは、グローバルブランドXGIMI(エクスジミー)の「HORIZON 20 Max」だ。同社はホーム用プロジェクター専業メーカーとして人気を高め、グローバルでのホームプロジェクター市場で2年連続出荷量シェア世界第1位を獲得している。USAのサイトには本格的なホーム用プロジェクター9機種、ポータブルタイプ7機種を始め、数多くのプロジェクターがラインナップされている。

 そんな同社が新世代ホームプロジェクターとして発表したのが「HORIZON 20」シリーズで、HORIZON 20 Maxはその最上位モデルに位置づけられる存在だ。

DLPプロジェクター
XGIMI
HORIZON 20 Max
¥450,900(税込)

●HORIZON 20 Maxの主な仕様
ディスプレイ技術:DLP
ディスプレイチップ:0.47インチDMD
標準解像度:3840×2160ピクセル(4K UHD)
光源:RGB 3色レーザー
輝度:5,700 ISOルーメン
色域:BT.2020 110%
コントラスト比:20,000:1(DBLEオン)
対応フォーマット:IMAX Enhanced / Dolby Vision / HDR10+
投影サイズ:40~300インチ
レンズシフト:垂直±120% / 水平±45%
光学ズーム:対応
遅延性:1ms(1080P@240Hz)【ゲームモード、VRRオン、AKオフ時】
ストレージ:128GB
RAM:4GB
スピーカー:12W×2(Harman/Kardon)
OS:Google TV
ワイヤレス接続:Wi-Fi6 デュアルバンド、Bluetooth 5.2
ノイズレベル:≦28dB@1m
消費電力:≦280W
サイズ(高さ×幅×奥行):249×298×190mm
質量:5.4kg[

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●HORIZON 20 Max 製品サイトはコチラ

 まずはHORIZON 20 Maxの基本スペックを確認していこう。本モデルは4K(3840×2160)の解像度を備え、40~300インチの画面サイズに対応するDLPプロジェクターだ。ディスプレイチップには0.47インチDMDを採用。光源にはXGIMI独自の「X-Master RGB」3色レーザーエンジンを搭載し、公称5,700 ISOルーメンというかなりの高輝度を実現している。コントラスト比は20,000:1、色域はBT.2020に準拠するなど、その数値からも本気度がうかがえる。

「X-Master RGB」3色レーザーエンジン

 また、プロジェクターの画質を左右するもう1つの大きな要素がレンズだ。カメラを趣味にしている方であれば、スペック的に同じでも写りはまるで違うことをご存知だろう。シャープネスやコントラストに加え、色の滲みなどの収差が、画質を大きく変える。その意味だと、HORIZON 20 Maxのレンズは、自社開発の高透過率コーティングを施した「X-Master レッドリングレンズ」を採用していることに注目したい。加えて、上下左右のレンズシフトに対応するほか、「IMAX Enhanced」「Dolby Vision」「HDR10+」の規格にも準拠しており、ゲーム時に、入力された信号への表示速度を上げる低遅延モード(ゲームモード)も搭載する。

「X-Master レッドリングレンズ」

 とはいえ、僕はスペックを額面どおり信じない。明るさやコントラストの数値は、メーカーごとに測定基準が異なるし、無名製品の誇張された表示や、過度に持ち上げるYouTubeなどのレビューを目にするたびに違和感を覚えてきたからだ。率直に言えば、ここ数年で性能差が最も大きいオーディオ/ビジュアルのカテゴリーはプロジェクターだ。明るさや解像度だけでは語れない。階調表現、動作レスポンス、設置自由度、安定性など、数値化できない部分こそが、購入後の満足感を左右するのだ。

 そして、近年のプロジェクターに求められる、ガジェットとしての側面にも、HORIZON 20 Maxは抜かりなく対応している。Android TV OSベースの「Google TV」を搭載し、「YouTube」「Netflix」「Amazon Prime Video」などに対応。Google Home機能も備える。そして、Harman/Kardon製スピーカー(ステレオ)を内蔵し、本機単体で視聴システムが完成する。

映画作品は、黒の沈み込みも秀逸で、HDRらしいダイナミックレンジも充分に表現してくれる

 今回は、HORIZON 20 Maxを実際に自宅1階の視聴環境へ設置した。249×298×190mm(高さ×幅×奥行)という本体サイズは、5,700 ISOルーメン機としては驚くほどコンパクトだ。ブラウン系の筐体は樹脂と革調素材を組み合わせ、現代的な空間に自然に溶け込む。底部は360°回転可能となっており、仰角調整も行なえる。また、三脚なしで天井投影もできる設計は、よく考えられている。

専用スタンドも同梱。電源アダプターも台座の中に収納でき、すっきりとした設置が可能

 レンズシフトは上下±120%、左右±45%。光学ズームも備える。自動台形補正、オートフォーカス、ISA(自動スクリーン補正)も搭載するので、「プロジェクターは設置が面倒」という概念は本機には皆無で、驚くほどスムーズに設置できる。ただ、個人的にはズームレンジをもう少し広くして、さらにマニュアルフォーカスの微調整幅をもう少し細かくしてほしいとも思った。

視聴風景

 まずは部屋を暗室とした状態で電源を入れる。約3.5mの距離から120インチへ投影した瞬間、思わず声が漏れた。「明るい!」のだ。初期設定は、電源を入れたあと付属のリモコンとペアリングし、そのままGoogle TVの設定までスムーズに進められる。もちろん、メニューは日本語表示にも対応している。プロジェクターと聞くと、会社の会議室で使われるような、暗くぼんやりとした映像を思い浮かべる人も多いだろう。だが、初めてこの画面を目にした瞬間、「これが現代の高輝度プロジェクターなのか」と驚くに違いない。

 画質モードは「標準」「映画」「ビビッド」「ゲーム」「スポーツ」「ハイパワー」から選択可能だ。さらに、後述するが、より細かく画質を追い込むこともできる。

 まずは最近話題のNetflixのSFホラーシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(4K HDR)を再生した。画質モードは「標準」とする。

 DLPプロジェクターは、数百万個の微小な鏡(DMDチップ)で光を高速反射させて映像を投写する方式で、高コントラストかつ引き締まった黒が魅力だ。本機でもその特長が如実に現れている。第1話の冒頭、夜空の黒の沈み込みは秀逸で、舞台のひとつとなるホーキンス国立研究所内の薄暗さと照明のコントラストも明確だ。HDRらしいダイナミックレンジも充分に表現できている。

 さらに、シーンごとに輝度とコントラストを最適化し、立体感のある映像を実現する「ダイナミックトーンマッピング」機能により、ホラー作品らしいダークな場面から明るい昼間の場面まで、輝度変化の多い作品を見事な描写で見せてくれた。

 続いて、映画『フェラーリ』を再生する。画質モードは「映画」に設定した。先ほどの作品で感じたコントラストの強さや黒の沈み込みの良さを継承しつつ、標準モードと比べて低めの色温度により、1957年を舞台にしたオールドテイストなグレーディングとも相性が良い。

 人肌の色も不自然さが抑えられている。そして、本作の没入感を高めるうえで大きなウェイトを占めるフェラーリのイタリアンレッドも、ボディ形状が生む艶や赤のグラデーションの変化まで丁寧に描き出す。劇中に登場するフェラーリ335 S(レプリカだが)が“カッコいい!”

 そして本作でとりわけ感心したのが、内蔵スピーカーの音質である。Harman/Kardon製スピーカーは24Wアンプで駆動されるが、数値以上の音の良さを感じ取れる。ダイアローグの輪郭は明瞭で、630ccの容量を持つアコースティックチャンバー構造により、フェラーリのV12エンジンが放つエキゾーストノートの低音も力強い。率直に言えば、一般的なBluetoothスピーカーよりも良好な音質だと感じた。また、これは細かい点だが、リモコンのボタンにはバックライトがついているので、視聴中のボリューム調整も快適だ。

リモコンは自照式なので、暗室でも使いやすい

 その後、いろいろな作品を見たが、画質の精細感や、1080pなどのハイビジョン映像のアップコンバート性能は、普段使用している300万円オーバーのリファレンス機には及ばない部分もあるが、絶対的な価格を考えれば相当、健闘している印象だ。というか、すごいコスパである。

 次に、HORIZON 20 Max最大のメリットである明るさを活かすべく、明るい部屋の環境で使用してみた。時刻は午後2時。冬の太陽は低い位置にあり、斜めから日差しが差し込む、かなり厳しい環境だ。1階の部屋には直射日光を避けるための調光ブラインドを設置しているが、それでも室内は相当に明るい。ここで、公称5,000ルーメン以上の投光性能がものを言う。真っ暗な環境と比べればコントラストは落ちるものの、一定以上の明るさとコントラストを保っており、作品自体を充分に楽しめるのがうれしい。特に80~100インチ程度であれば、ある程度明るい室内でも堪能できるはずだ。

 続いて、この環境のままゲームも試してみた。手持ちの「PlayStation 5(PS5)」をHDMIケーブルで接続し、かつてよく遊んでいたFPS『Battlefield』を起動する。ゲームモード時の入力遅延は1msに抑えられ、VRR(可変リフレッシュレート)機能も効果的だ。コントローラー操作への画面の反応は俊敏で、「ブラックイコライザー」機能のおかげで暗所に潜む敵兵も視認しやすい。近年はプロジェクターで大画面ゲームを楽しむ人も増えているが、本機はその期待に充分応えてくれる。

 カタログには現れにくい動作速度も優秀だ。完全に電源OFFの状態からはGoogle TVの起動を含め、実測で約35秒(それでも充分に速い)。スリープ状態からの復帰は約8秒だった。

 Netflixなどのアプリ起動や設定画面のレスポンスも軽快で、最新のSoCと4GB RAM+128GBストレージ搭載の効果を実感できる。最近はプロジェクターでテレビ番組を手軽に視聴する人も増えているため、起動時間の速さと反応速度の良さは大きな魅力になるだろう。

Google TVを搭載するので、ネット環境があれば即、各種映像ストリーミングサービスが楽しめる

 さらに、投写中に本体の前に立つと自動でレーザー光を消灯する「視力保護機能」も備えるなど、細やかな配慮にも感心させられた。

明るいリビングでも使える画質を備え、設置性・操作性に優れた注目機。購入後の満足感はすこぶる高いはず

 いかがだっただろうか。率直に言えば、より多くの人にとって、プロジェクターの世界では明るさとコントラストは正義である。より大画面を求めるとき、スクリーンと本体の距離を確保しなければならないとき、そして何より真っ暗にできない部屋で視聴するとき、この明るさは何にも代えがたい武器となる。最近流行しているスクリーンを使わない壁への直接投写でも、HORIZON 20 Maxの威力は存分に発揮される。

 また、設置性の高さや扱いやすさといったガジェットとしての完成度にも感心した。筆者は7.2.6のサラウンドシステムを構築しているが、AVアンプの電源投入やApple TV 4Kなどのソース機器の起動など、準備だけでもひと苦労だ(もちろん、その分すばらしい音と映像体験が得られるのだが)。

 その点、本機は単体で完結できる手軽さがある。Bluetoothにも対応し、多様な外部機器と有線・無線で接続できる拡張性も備えている。余談だが、レンズのメンテナンスに便利なブロアーやブラシなどのクリーニングキットが同梱されているのもうれしい配慮だ。開発陣が購入後の使用シーンまで想定していることが伝わってくる。決して安価なモデルではないが、総合的に完成度が高く、高機能モデルとしてのコストパフォーマンスに優れる。結果的に購入後の満足感はすこぶる高いはずである。