戦後純文学の俊英・山川方夫の遺作となった傑作短編小説を、史上初めて映画化した『愛のごとく』。愛と孤独の狭間で彷徨う人間の本性を、詩情豊かに、そして官能的に描き出した本作が、いよいよ劇場公開を迎えた。

 主人公ハヤオ役を演じたのは、ドラマ『VIVANT』『恋をするなら二度目が上等』などで注目を集め、本作が自身初の単独主演映画となる古屋呂敏。ハヤオの元恋人イズミ役には、初監督作『わたしの頭はいつもうるさい』で第18回田辺・弁慶映画祭俳優賞を受賞した宮森玲実が抜擢された。さらに山崎真実、吉岡睦雄、芳本美代子、東ちづるら実力派俳優陣が顔を揃え、濃密な人間ドラマを支えている。

 監督は、『卍』『痴人の愛』など、純文学作品の映画化で高い評価を受けてきた井土紀州。脚本家・小谷香織との三度目のタッグにより、1964年に発表された原作小説を、令和を生きる人々の心に響く現代的な愛の物語として甦らせた。
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 1月23日(金)、池袋・新文芸坐で行なわれた初日舞台挨拶には、満員の観客が詰めかける中、古屋呂敏、宮森玲実、東ちづる、井土紀州監督が登壇した。

 井土監督は原作との出会いについて、「30年ほど前、古本屋で偶然この小説を手に取り、いつか自分が映画化するかもしれないと直感的に感じた」と振り返り、「長い時間を経て、ようやくここに辿り着いたという実感がある」と感慨を語った。

 古屋は本作への思いを、「純文学が映像になる瞬間がはっきりと想像でき、今しか挑戦できない作品だと感じた」と語り、「ハヤオという人物は、身近にもいそうな、枠組みの見えにくい男性像。自分の中に近い部分と遠い部分、その両方を意識しながら作り上げた」と役作りを明かした。

 宮森は、「人生でここまで深い恋愛を演じる機会は、もしかしたら一度きりかもしれないと思い、全力で向き合った」と語り、「不倫という題材が際物にならないよう、観客の身近にいそうな恋愛として描くことを意識した」と、演技へのこだわりを明かした。

 東ちづるは、「脚本を読んだ瞬間から強く引き込まれ、最後は泣いてしまった」と告白し、「34歳で亡くなった原作者・山川方夫の文学が映画になることに、俳優として大きな使命感を感じた」と作品への深い敬意を示した。

映画『愛のごとく』

池袋・新文芸坐にて1週間限定公開中

2026年2月20日(金)~ 神戸映画資料館、小山シネマロブレ
2026年2月21日(土)~ 大阪・第七藝術劇場
(近日公開)鶴岡まちなかキネマ、ナゴヤキネマ・ノイ、宇都宮ヒカリ座

《映画『愛のごとく』あらすじ》
青春の行き止まり。女は忘れものを探し、男は捨てたはずの夢を拾う。

小説家としてデビューするが今はライターとして生きる男・ハヤオ(古屋呂敏)は、ある夜、SMに耽る夫婦の姿を垣間見る。夫に束縛される妻がこちらを見てほほ笑むその光景は、背徳と快楽、そして失われた情念の象徴として、ハヤオの心に深く刻まれる。

そんな中、大学時代の恩師の死をきっかけに元恋人・イズミ(宮森玲実)と8年ぶりに再会する。現実と記憶、幻想が交錯する中、彼の心は静かに揺らぎ始め、イズミとの関係に再び引き寄せられていく。

愛とは、幸福とは、人生とは。官能と純文学が織り成す、喪失と再生の物語。

【キャスト】
古屋呂敏 宮森玲実
蒼田太志朗 窪田翔 たなかさと 山崎真実 吉岡睦雄 佐藤真澄 芳本美代子 東ちづる

【スタッフ】
監督:井土紀州 脚本:小谷香織
企画:利倉亮、郷龍二 プロデューサー:竹内宏子 ラインプロデューサー:森川圭 撮影:中澤正行 録音:山田幸治 美術:成田大喜 編集:蛭田智子 音楽:高橋宏治 助監督:東盛直道 制作:牧野信吾 ヘアメイク:石山美子 衣裳:藤田賢美 インティマシー・シーン監修:佐倉萌 ポスター写真:三宅英文 スチール:今優介 キャスティング協力:関根浩一 営業統括:堤亜希彦  制作:レジェンド・ピクチャーズ 配給・宣伝:Cinemago
2026/日本/DCP/100分/カラー/ステレオ/16:9/R15+
(C)2026「愛のごとく」製作委員会