「麻倉怜士のCESリポート」恒例、メーカー担当者への直撃インタビューをお届けする。今年も会場で麻倉さんが注目した最新技術について、その場で詳しく深堀りしていただいている。TVS REGZAの2026年のCES会場には3つの新たな提案が行われていた。(StereoSound ONLINE)
麻倉 CESのブースは去年より明るく、大きくなりましたね。これは、TVS REGZAのテクノロジーがハイセンスグループの中でも認識されてきた成果ということでしょうね。
石橋 ありがたいことに、ハイセンスグループ内で弊社の技術についての認知が進んで、レグザに対する見方も変わってきたように感じています。
麻倉 今回のCES2026には、残念ながら日本のブランドがほとんど出てないんです。そういう中でレグザが健闘しているのが、日本人として嬉しいですね。
展示内容としては、去年も生成AIを搭載したりと画期的だったんですけども、今年も出し物が多いです。
西岡 そういっていただけると担当者も喜びます。主なテーマは、「Art Vision」、「光景再現」、「AI Voice Navigator Neo」の3つになります。その他にサウンドバーとの組み合わせでドルビーアトモスを再生する「Immersive Audio 7.1.2」もご紹介しましょう。
REGZAのこれまでのイノベーションを紹介
麻倉 今回のブースを拝見してまず感動したのは、Art Visionでした。Mini LEDバックライトを搭載した液晶テレビの応用例とのことで、壁掛けした薄型液晶テレビに絵画などのアートを写そうという提案でした。
他のブースにも同じようなコンセプトの展示はありましたが、どれもテレビとしての主張が強い、スクリーンセーバー的な絵作りでした。しかしArt Visionは、アート観賞用らしいパッシブな感じがいい。まずは、ArtVisionに搭載された新技術について教えていただきたいと思います。
西岡 Art Visionについては、弊社として初めて考案したというわけではありません。12〜13年前の東芝時代に「壁ピタ」という製品を開発したことがありました。コンセプトモデルとして作ったんですが、当時は訴求がなかなか難しいという判断で、家庭用としては発売しませんでした。
麻倉 アイデアはあったけど、製品化にはいたらなかったと。
西岡 壁に取り付けた時に配線をどうするかといった点がネックになりました。ワイヤレスHDMIも検討したんですが、当時は規格がまとまらずお蔵入りになってしまいました。それが今回、Art Visionという形で再構築できたのです。
麻倉 Art Visionは、目に優しいというか、油絵の質感が感じられるんですね。電子映像とは違う、反射光のような、油絵の具が乾いたしっとりさが結構出ていました。
西岡 レグザエンジンの持ち味を活かせば、美術館の絵画のニュアンスも再現できるんじゃないかと考えました。
麻倉 CESで展示したということは、今回は発売する方向なんですね。
西岡 日本ではArt Visionのコンセプトはまだ難しいかなという判断もあり、まずは中国で発売しました。アメリカ市場は今回のCESの反応を見てみようと考えています。
麻倉 かなり反応はいいんじゃないですか?
西岡 実は初日の展示でスライドショーの設定を間違えてしまい、ずっと静止画を表示していたんです。そしたら半分以上の人が、絵を飾っていると勘違いしたようなんです。近寄ってよく見て、これテレビじゃんって(笑)。それくらいリアリティがあるよねという話になりました。
麻倉 怪我の功名ですね。
まるで本物の油絵のような絵画テレビ、Art Vision
西岡 緻密なグラデーションを再現できるレグザエンジンの能力と、処理プロセスの賜物です。今回は「アートモード」での展示になりますが、自然な立体感と色を出すことができている結果だと思います。
また、アート表示にあった輝度や明るさのユニフォーミティも重要です。さらに、パネル表面もマットフィニッシュ、アンチリフレクションにしていますので、美術館の絵画を見ているような感覚になっていただけたと思っています。
麻倉 単にノングレア処理だけでは、あのような映像にはならないですね。ちゃんとコントラストがありつつ、絵画的な質感を再現できているのが、レグザの映像処理の力ですね。
いわゆる「ダイナミック」モードのような、はっきり、くっきりした絵とは全然違う方向で、どことなく受け身のような感じがあります。普通のテレビでは、表示された情報を視聴者が受け取るだけでいっぱいになるけど、Art Visionはそうじゃない。ここが新しい提案と感じました。
西岡 さきほどパッシブというお話がありましたが、まさにそのイメージを目指していました。
麻倉 絵画には色々な流派があり、古典派から現代絵画まで筆致も表現方法も違います。それらの世界を再現するようなAIも欲しいですね。今のテレビは入力された情報を平均的に分析して、この絵柄ならこうだろうといった処理を行っているわけですが、Art Visionでは、ピカソの場合はこう、マチスならこうといった形で、AIとデータベースと組み合わせるような展開ができるといい。
西岡 メタデータを使って、制作者が方向性を与える方法も考えられますし、AIでもピカソの画風や流派の特長を学習させれば、それに適した再現もできると思います。今後は、メタデータで正確性を追求するか、AIが制作者の意図を汲み取って表現できるかのせめぎ合いになっていくのではないでしょうか。
石橋 もうひとつ、Art Visionはテレビとしてのあり方にも配慮しました。普段はインテリア的な存在で、必要な時にだけ落ち着いた映像を楽しめるということを重視しています。
西岡 現代のテレビは、見ている時に高画質なのは当たり前で、見ていない時にも周りの環境にフィットする存在であるべきだと思います。今回のArt Visionでフレームを2色準備したのもその一環で、今のリビングに馴染みつつ、様々なアートを自宅に届けようというコンセプトです。
麻倉 それに関連して、絵画にあったサウンドも再生して欲しいですね。ヒーリングというか、部屋の雰囲気を良くするクォリティ・オブ・ライフといった方向に行きそうな気がします。
西岡 そこではコンテンツをどうするかも重要になります。絵画などのコンテンツはテレビの中にプリインストールすることなども検討していますが、今後は音楽との組み合わせとか、どういう風にリアリズムを出すかなどを考えなくてはいけないでしょう。
もうひとつ私が面白いと思うのは、クラシックなアートだけじゃなく、コンテンポラリーや漫画、写真も表示できることです。それぞれのフォーマットに合うような表示方法を選べるのは、テレビならではですので。
麻倉 そうなるとリビングだけでなく、写真展示会のような空間でもArt Visionは活躍しますね。今回の展示はひとつの入り口にすぎず、将来的にはアート以外の様々なコンテンツへの応用も期待できそうです。
さて、次は「光景再現」についてうかがいましょう。これはどのような技術なのでしょう?
明るい映像でさらにピークを立てる「光景再現」。まるで、その場にいるような臨場感
山内 そちらについては山内からご説明します。「光景再現」は、AIが写している映像のシーンを検出し、白側や明るい部分についてよりリアルに再現しようという技術です。
麻倉 確か、昨年のCES2025でも「AIシーン高画質の進化」というテーマで、シーンの内容を解析して最適な映像に調整する機能を発表していましたよね。
山内 今までレグザでは、大画面、広色域、高輝度といったトレンドに合わせて高画質を進化させてきました。これまでは「映画」とか「花火/星空」「サッカー/ゴルフ」のようなコンテンツをAIで解析して、高輝度と広色域を生かした絵作りを行ってきました。
そういった絵作りをしていく中で、大画面になるほど、より実体験に近い印象、妙にリアルに感じられるケースが出てきたんです。特にドキュメンタリーとか、旅番組などの風景を見た時にそう思っていました。これをもっとリアルに再現できるんじゃないかという思いがあり、今回はリゾート地の風景などでの、日差しの眩しさを感じるような体験をテレビでして欲しいということで、「光景再現」機能を作りました。
今まではAPL(画面平均輝度)が高いシーンでは、なかなかピークも伸ばすことができなかったんですが、「光景再現」ではAPLが高いシーンでも明部を伸ばしてあげることで、より輝き、眩しさを楽しめるようになっています。明瞭度を上げるために、ローカルなディテイルコントラスト向上機能を加えることで、実際の日差しを浴びているような感覚を再現しています。
麻倉 これまでも、大画面になれば没入感を覚えやすいと言われてきましたが、それだけじゃなく、表示する映像自体でも臨場感を与えるような演出を加えているということですね。デモでは、ギリシャの風景を見せていただきましたが、眼の前に建物や植物があって、実際に太陽が輝いているような気分になりました。
機能のオン/オフ比較では、オフにするとよくできたドキュメンタリーを見ている印象だったんですが、オンにすると映像の中に入って体験しているように思いました。これは面白かったですね。
石橋 以前はAPLが低めの映像じゃないと、キラキラ感、ピカッと光るような映像が再現できなかったんです。しかしパネルやバックライトの性能が上がってきたことで、APLの高いシーンでもより明るい部分を描くことができるようになってきました。
例えば建物から出た時に、天気がいいと “眩しい” って感じる。そういったものをテレビで再現することによって、より臨場感のある体験をしていただけるんじゃないかと考えました。レグザではリアリティとかイマーシブ体験にこだわってきていますが、そういう我々が追い求めているところの、ひとつのマイルストーンになるんじゃないかと思っています。
麻倉 実は、ブラウン管時代は、そういったキラキラ感も再現できていました。でも、平面ディスプレイ、特に液晶パネルは自発光デバイスじゃないのでピークが伸びず、平均的な絵になってしまいました。しかし今回の「光景再現」からは、その場に自分がいるような光を再現している効果が感じられます。
石橋 ありがとうございます。バックライトがMini LEDになったことで、APLが高いシーンでもピークを立てることができるようになったのも、ひじょうに大きいと思います。
麻倉 映像が横にパンニングすると、人間は奥行きを感じるといいます。さらに「光景再現」処理を加えて輝度が正確に再現されると、もっと自然なリアリティが演出されますね。しかも画面が小さいとそんなに臨場感が出てこないけど、これは画面がでっかいから、自分がその中にいるような感じ、溶け込まれるような錯覚に陥ります。
石橋 昨年までは、暗いシーンでどうやってピークを伸ばした映像を楽しんでもらうかを一生懸命頑張ってきましたが、ハードウェアの進化によって、明るいところもAIを使ってリアリティを増すことができるようになったのは、大きな変化なんじゃないかと思っています。
麻倉 放送番組だけじゃなくて、自分で撮影した映像も「光景再現」で楽しめるといいですね。
石橋 確かに、スマホやカメラで撮ったコンテンツも、本当はもっとピークが伸びていたのにと感じることがありますね。あの日は天気が良くて、本当に眩しかったよね、といった記憶まで表現できればいいなと思っています。
麻倉 これまではテレビ側の問題で、どうしても自然界のダイナミックレンジが圧縮されていたわけですが、「光景再現」ではそれが元に戻ってきたという感じですね。技術的には結構苦労したんですか?
山内 明るさもアップしているのですが、その分放熱などをきちんとケアしてあげなくてはいけませんので、そういった部分も設計に落とし込んでいます。
麻倉 実際の製品に搭載した場合、「光景再現」は映像モードで切り替えるんですか?
山内 AIがシーンを検出したら、処理を行うといったイメージです。「おまかせAI」では部屋の明るさに応じて「光景再現」の輝度ピークを伸ばしますし、「映画モード」ではもっと抑えるといった具合に映像モードによって効果の具合を変えていくことになるでしょう。
麻倉 「光景再現」は2026年モデルのレグザに搭載されますか?
石橋 今日のところは具体的なスケジュールは申し上げられませんが、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。
個人別の番組レコメンデーションAI
麻倉 さて、次は「AI Voice Navigator Neo」です。
石橋 昨年、「レグザインテリジェンス」というコンセプトを立ち上げました。その時にもお話しましたが、レグザでは見ている人を認識し、その人に最適な映像を提示するといったことを狙ってきました。ただ、昨年までの「生成AIボイスナビゲーター」では、対象を個別認識するところまではできていなかったのです。
元々のコンセプトとしては、テレビの前に座れば、テレビがその人を識別して、その人が見たいと思われるコンテンツを選んでくれる、以心伝心で伝えるのが究極の姿であるというものです。「生成AIボイスナビゲーター」はその第一歩を踏み出したものでした。今回は次のステップということで、対象の個別認識を、声を使って実現します。
麻倉 声ということは、家族みんなの声を登録するんですか?
石橋 実際の製品では、未登録の声をAIが感知すると、登録をするようにお願いします。これにより、パーソナライズされた機能やサービスを提供できるわけです。
ただ声を登録するだけでは充分ではないと思っています。というのも、テレビはお父さんが1人で見ることもあるでしょうし、お母さんだけ、あるいは家族みんなで見るかもしれないと、使い方が千差万別です。ですので、それぞれの場合にどうするかも考えなくてはいけません。
今後は識別能力を高めていって、ご夫婦とか、お父さんだけなどが、わかるようにしていきたいと思っています。今回の展示はその第一歩ですね。
麻倉 使い方としては、声で個人を認識して、その人の視聴履歴などをテレビが学習して、レコメンドしてくれるようなイメージですか?
石橋 個人のプロファイルを作成します。レグザでは今でもタイムシフトマシン機能などを使って視聴履歴を取って、なるべくお客様に合うようなレコメンデーションを提案しています。しかし今のテレビにはプロファイルという概念がないので、人別というところまではできませんでした。次からは声を登録してくれた人ごとにプロファイルを作っておいて、個人を検出したらプロファイルにあった内容に自動的に切り替えます。
麻倉 使い方としては、レグザに話しかけたらお薦めコンテンツを提示してくれるんですね。
山下 たとえば帰宅して、「レグザただいま」って言ったら、見ていたシリーズの最新話がありますよって提案してくれる、そんなイメージです。今回目指しているのはボイス・リモコンで、「ただいま」と「タイトル名」というふたつの単語を言うだけで、見たいコンテンツが再生できるのが理想じゃないかと思っています。
麻倉 放送以外にも、配信を含めて世の中には様々なコンテンツが存在します。その中からその人にお薦めする機能は搭載されますか?
石橋 すべてではありませんが、レグザでは放送や配信を横断したレコメンドが可能です。我々にはタイムシフトマシンもあるし、アマゾンプライム、TVerといったサービスとも連携しています。それらも含めて、全部横断してコンテンツを検索できるようになっています。今後は、それをどう料理しますかっていうことで、方向性をカスタマイズしていこうと考えています。
麻倉 その人の好みをどこまでうまくゲットできるかが、ポイントになっていきますね。
石橋 レグザではシーン単位まで解析できますので、番組の中身まで含めて、その人の好みをより的確に分析していくことができるだろうと考えています。
麻倉 10年ほど前に、私が見るべき番組を教えてくれるコンシェルジュ機能が欲しいと原稿に書いたことがありました。レグザなら実現してくれそうですね。
山下 レグザとして、究極のリーンバック体験の提供も目指しています。視聴者が何もしなくても、テレビが見たい番組を提案してくれる。そこにたどり着くためのコンセプトとして、できるだけ少ないアクションで見たいものにリーチしなくてはいけません。今回はそのために「AI Voice Navigator Neo」を使って何ができるかを提案しました。
麻倉 視聴者にとってのマイテレビになるわけですよね。しかも一台のテレビが、誰が見ているかによって対応を変えてくれる。すべての人のマイテレビになれるというのはいいですね。
さらに進んで、リビングにコアになるレグザがあって、別の部屋にはArt Visionのレグザがあるといった場合に、リビングでは子どもたち、Art Visionはお父さんにお薦めをしてくれるといったプロファイルの連携もできるといいですね。
石橋 それも考えています。ただ調査をしてみると、最近は6割のご家庭でテレビが1台しかないようなんです。家庭の中でもテレビの使われ方が変わってきていると思われますので、そこに対してはTPOに合わせたテレビのスタイルを提案していかなくてはならないだろうと考えています。Art Visionもそのひとつになりますし、子供部屋用として目に優しいテレビといった形もあるでしょう。
麻倉 テレビとしてのバリエーションを増やしていくんですね。
石橋 そういった提案を通して、もう一度家の中にテレビを2台とか3台置いていただき、さらにそれぞれのテレビが見ている方を認識して、各人に合わせたレコメンドをしていくという世界を考えています。
麻倉 リビングルームのテレビとしては、画素数、画面サイズともそろそろ限界に近づいてきていると思います。となると、おっしゃる通り機能面で差別化していく必要がありますよね。その意味でも、個人のプロパティをどう把握して、使っていくかの研究はますます大事になります。
石橋 おっしゃる通りです。
後ろにサウンドバーを置く「Immersive Audio 7.1.2」。テレビとの組み合わせでドルビーアトモスの7.1.2チャンネルまで体験
麻倉 最後は「Immersive Audio 7.1.2」ですね。これはどんな技術なのでしょう。
高橋 レグザでオーディオを担当している高橋です。「Immersive Audio 7.1.2」は、視聴位置の後ろにサウンドバーを置いていただき、テレビとの組み合わせでドルビーアトモスの7.1.2チャンネルまで体験できるというものです。テレビ自体でも5.1.2チャンネルまでは再生できますが、壁や天井の反射を活用したとしても、真後からの音はなかなか再生できませんでした。
麻倉 そうね、テレビは前に置いてあるわけだから、後ろからリアルな音を再現するのは難しいですね。
高橋 たとえばライブコンテンツなどは、観客席からの映像を見ているわけですから、拍手は自分の横や後ろから聴こえるはずです。これまでは反射やバーチャル処理でそれを再現しようとしていましたが、実際にはなかなか難しい。それもあり、リアルな7.1.2チャンネル再生のためにはスピーカーを後ろに置くしかないと。
麻倉 そこでサウンドバーを後ろに置こうというのは、よく考えましたね(笑)。これまでも専用のサテライトスピーカーを追加するといった提案はありましたが、「Immersive Audio 7.1.2」なら筐体もひとつだし、ワイヤレスで配線もいらないのがいいですね。
高橋 導入のハードルはできるだけ下げたかったのです。専用スピーカーを後ろに置いて下さいといっても、なかなか気軽には試してもらえないでしょうが、サウンドバーだったら後ろが嫌な場合は普通に使ってもらうこともできますので。
石橋 実は、レグザのハイエンドモデルはテレビ側で音を作り込んでいますので、多くのお客様はテレビだけで音を楽しんでくれているんです。ただ、それではイマーシブ感の再現という点では限界がありますので、「Immersive Audio 7.1.2」でサウンドバーを追加していただくことによって、新しい楽しみを体験いただけるように考えました。
麻倉 映画にしろ、ライブにしろ、全方向から音に包まれる体験というのは、大画面にさらなる魅力を加えてくれます。その意味でも、「Immersive Audio 7.1.2」はいいアイデアだと思います。
高橋 今回はPrime VideoさんとDef Techさんに全面協力をいただいて、CES展示のためのコンテンツを作っていただきました。充実したコンテンツと環境がマッチして、素晴らしい体験をしていただけたのではないかと思っています。
麻倉 確かに、いいデモンストレーションでした。映画と音楽ではサラウンドといっても違いがあります。映画は制作者の意図に沿った移動感再現が重要ですし、ライブは包まれ感、臨場感再現がポイントです。今回のデモでは、そこについても違いが出ていたし、後ろから実音が来ているのが効果的でした。
高橋 日本国内でも「Immersive Audio 7.1.2」のデモを順次スタートしていく予定ですので、多くの方に体験していただきたいと思っています。
麻倉 ところで、TVS REGZAとしては新製品の「116ZX1R」がいよいよ発売されましたが、日本での反響はいかがですか?
西岡 ありがたいことに話題になっており、既に購入してくれたた方もいらっしゃいます。
麻倉 もう実売があったんですか、凄いですね。
石橋 116ZX1Rは、ただ店頭に置いて、絵を見て買っていただけるような商品ではありません。ですので、例えば富裕層向けのハウジングサービスで紹介させていただくなどの、新しいアプローチを考えているところです。
ただ弊社としては、116インチテレビを出すことを目的にしていたわけではなく、日本で初めてRGB Mini LEDバックライトを搭載した製品を出し、さらに今までなかった最大サイズのテレビですといった象徴的な製品を目指しました。レグザをプレミアムブランド化していくための、ひとつの武器だと思っています。
画面サイズも116インチにとどめておくつもりはありません。RGB Mini LEDバックライトはまだコストがかかりますが、今回の製品をスタートポイントとして、もう少し小さいサイズで、リーズナブルな製品として提供できることが最終的なゴールだと思っています。
麻倉 確かに116ZX1Rの絵は素晴らしい、究極的な液晶テレビだと思います。しかし、RGB Mini LEDバックライトを一般モデルにまで広げていくのはたいへんでしょうね。
石橋 時間がかかるとは思いますが、TVS REGZAとしてはそういう方向に向かっていくべきだと思っています。われわれは、RGB Mini LEDバックライトを短期的なトレンドとは捉えていません。液晶テレビの進化としての重要なポイントになるなんじゃないかと考えています。
麻倉 液晶テレビの次のステップも見えてきたということですね。2026年のレグザがどんな高画質を見せてくれるのか、今年も楽しみにしています。今日はありがとうございました。
●インタビューに対応いただいた方々:
TVS REGZA株式会社
副社長 石橋泰博さん
R&Dセンター 副センター長 山内日美生さん
R&Dセンター AVシステムラボ 上級参事 高橋 大さん
R&Dセンター ソフトウェアシステム設計担当 参事 山下丈次さん
グローバルブランドディレクター 西岡竜大さん