オーディオビジュアルの専門誌として、2023年12月に40周年を迎えたHiViが主催する「HiViグランプリ」。同賞は、その年のAV界を牽引した優秀製品を選定するビッグイベントであり、業界でもっとも権威がある年間アウォードとして定着した催しとなっている。

第41回の開催となった「HiViグランプリ2025」は、昨2025年11月2日に選考会を開催し、〔ゴールド・アウォード〕を始めとする三賞、部門賞、特別賞を決定した。その詳細は、HiVi2026年冬号、あるいは、ステレオサウンドオンラインでお伝えした通りだ。また、例年であれば、ステレオサウンドグランプリとともに、記念盾を贈る授賞式を開催し、その栄誉を称えるところであるが、感染症予防の観点から、昨年同様にこれを中止している。

ただし、HiViグランプリの〔ゴールド・アウォード〕製品、つまりシャープの4K有機ELディスプレイ4T-C65HS1に関しては、年間最高賞の受賞盾を直接お渡ししたいとの考えから、感染症予防対策を万全に行なったうえで、選考委員長の麻倉怜士氏ならびにHiVi編集部の最少体制で、昨日(2026年1月21日)、シャープ株式会社を訪問し、記念盾を授与した。ここでその様子をご紹介したい。

4T-C65HS1を前に。シャープ株式会社 TVシステム事業本部国内事業部 副事業部長 兼 事業推進部 部長の上杉俊介氏(写真左)とHiViグランプリ 麻倉怜士選考委員長(写真右)

シャープ4T-C65HS1。同社としては2018年の8T-C80AX1(8K液晶ディスプレイ)以来の、HiViグランプリの最高賞の獲得となる

4T-C65HS1のHiViグランプリ最高賞の授賞に対し、麻倉委員長からは以下のような所感が述べられた。

シャープの渾身というべき、4K有機ELディスプレイ4T-C65HS1の、第41回HiViグランプリの最高賞〔ゴールド・アウォード〕獲得を、心よりお祝い申し上げます。

思い返すと、シャープは、HiViグランプリというその年にエポックなオーディオビジュアル、オーディオ製品に対して光をあてるアウォードの中で長年にわたり大きな存在感を示してきました。最高賞である〔ゴールド・アウォード〕に限ってみても、2002年のDLPプロジェクターXV-Z10000、2012年の液晶ディスプレイLC-60HQ10、2018年の8K液晶ディスプレイ8T-C80AX1の3製品がその栄誉に輝いています。

シャープとして4製品めの最高賞を受賞しました4T-C65HS1は、量子ドット技術を採用したQD-OLEDパネル搭載の直視型ディスプレイとなります。本機の最高賞獲得の原動力はなにかと考えると、それは「現存のテレビ、直視型ディスプレイの中で最も画質がよい」ということに尽きると思います。2025年のオーディオビジュアル界では、有機ELディスプレイの画質面での大きな躍進が最大のトピックでしたが、この4T-C65HS1はその中でも抜きん出た画質パフォーマンスがあったことが評価された格好です。

シャープは、「液晶の」という枕詞がつくほどの液晶に長年こだわり続けているメーカー、ブランドです。他方、有機ELディスプレイの分野では参入が遅れたため、当初は画質面でのご苦労があったと思います。4T-C65HS1は、シャープ製有機ELディスプレイとしては第5世代、QD-OLED搭載としては第3世代となりますが、その画質への真摯な取り組みが、優れたパフォーマンスへと結実しました。QD-OLEDは、「色」を追求した有機ELパネルという捉え方をしている向きもあろうかと思いますが、それだけが美点ではありません。4T-C65HS1は、QD-OLEDパネルを使って単に色がいいテレビを作り上げられた製品、ということではなく、総合的な画質が非常に優れ、完成度が大きく高まり、画質から受ける「感動」へと結びつけた製品であると評価しています。

別の言い方をしましょう。4T-C65HS1は、量子ドット技術採用機らしい色再現性、有機ELパネルならではのコントラストの高さが、4Kという精細感を伴っての、トータルの「感動画質」へと辿り着き、HiViグランプリの最高賞へと輝いた、というわけです。直視型ディスプレイの魅力の根源とはやはり「画質」であると雄弁に語りかける、そんな高画質が大いに評価されたのです。

加えて音響面の評価が高かったことも見逃せません。今回のHiViグランプリを掲載した誌面(2026年冬号)では、編集部を除く全選考員が本製品についてコメントを寄せていますが、画質以外に、「音質」面での記述が多く、その評価が極めて高いことを示しています。これまでのテレビでは、どうしても画質に対して音質は付随するような存在にとどまっている、と思われていました。しかしながら4T-C65HS1は、音響システムがここまで大きく称賛されたのです。これも注目すべきことでしょう。

いまテレビ業界は激動のときを迎えていますが、2026年もHiViグランプリの筆頭に立つような素晴らしい製品の開発、登場を大きく期待します。あらためて本日はおめでとうございました。本製品に関わった全ての方々に重ねてお祝い申し上げます。(麻倉怜士 選考委員長)

麻倉選考委員長の総評を受けて、シャープ株式会社 TVシステム事業本部国内事業部 副事業部長 兼 事業推進部 部長の上杉俊介さんから、受賞にあたっての喜びの言葉が述べられた。

本日はありがとうございます。第41回HiViグランプリにて、たいへん名誉ある賞に4T-C65HS1を選考いただきましてありがとうございます。スタッフ一同、心より本当に喜んでいます。あらためて御礼申し上げます。

いま、麻倉選考委員長のコメントにあった通り、われわれが有機ELテレビを発売したのは2020年からで、業界の中でも遅れての参入、最後発ということもあって苦戦も強いれられたこともありました。それから数えて5年。遂に、というか、やっとというか、名誉あるHiViグランプリの〔ゴールド・アウォード〕をいただけことに対して、本当に光栄なことと考えております。麻倉先生のコメントにもございましたが、シャープとしては7年ぶりのHiViグランプリ最高賞獲得となり、感無量でございます。

振り返りますと、われわれがテレビという製品に対して目指してきたことは、「感動」につきます。4T-C65HS1およびその55インチモデルの開発では、感動の中でも今までに観たことのない感動を追求することを旗作りにしてスタッフ一同取り組みました。

では、シャープでなければ実現できない「感動」とは果たしてなにか。技術的には様々な要素がありますが、画質面では「輝き」と「色」の2つのキーワードを徹底的に追求しました。麻倉先生を始めとする画質のプロの方々からの厳しいご指摘を糧にして、感動画質を作り上げてくれた技術スタッフには本当に感謝しています。

音質についても麻倉先生からコメントいただきましたが、こちらの高い評価も本当に感激しています。今日、この場にいる尾島をはじめとする音響スタッフたちが、コツコツと重ねた努力の成果がここまで来た、ということです。音質面で高い評価をいただいたことも画質面での評価と並び、嬉しい限りです。

今後に関してですが、4T-C65HS1の高い評価が逆にプレッシャーにもなりますが(笑)、現在開発中の製品もより感動を高めていけるようスタッフ一同、精魂込めて作り上げています。今回は最高賞を受賞した4T-C65HS1のみならず、直視型ディスプレイ部門賞でも液晶モデルの4T-C75HP1を選考いただきましたが、有機ELと液晶の両者をご評価くださり、その部分でも今回のHiViグランプリは大きな励みとなりました。あらためて御礼を申し上げます。

麻倉委員長、上杉さんのほか、開発スタッフを代表して、画質設計担当の下田裕紀さん(TVシステム事業部 国内事業部 システム開発部 主任技師/写真左から3番め)と、音質設計担当の尾島由浩さん(TVシステム事業部 国内事業部 システム開発部 係長/写真右)も参加くださった

感染対策の都合で最少人数での授与式とはなったが、上杉さんや授与式に同席くださった下田さん、尾島さんら、ご担当者たちから喜びの声や製品に対するこだわりが語られつつ、HiViグランプリへの想いを寄せていただいた。

麻倉選考委員長からは、テレビが激動の時代となる中、シャープらしさ、アクオスらしさを徹底的に磨き上げた、あっと驚く素晴らしい製品登場の期待なども語られ、大いに盛り上がった。

(HiVi編集部/辻 潔)

HiViグランプリ 〔ゴールド・アウォード〕シャープ4T-C65HS1