マンダリンベイ・ホテルで行われたハイセンスのプレス・カンファレンスでは、技術解説の前に、色のお話があった。
プレス・カンファレンスで、「Emotional Power of Color(色の感情的な力)」について、まずプレゼンテーション
ハイセンス・ビジュアル・テクノロジー社長のDennys Li氏は「ハイセンスのRGBバックライトminiLEDは、QD-OLEDより優れるのです」。目の前の敵はQD-OLEDらしい
男女の掛け合いで、「Emotional Power of Color(色の感情的な力)」、「Color that Moves You(あなたを感動させる色)」、「Turning Moment into Memories(記憶に残る印象的な一瞬)」、「Coloradding Heartbeat to the Picture(色は映像に心の鼓動を与える)」……という、色にまつわる言葉の数数を発し、「Leading the Next Era of Color(色の新時代をハイセンスがリードする)」とまとめた。なかなかのプレゼンテーションではないか。
ハイセンス・ビジュアル・テクノロジー社長のDennys Li氏は、「映画『オズの魔法使』をご覧なさい。前半のカンサスのセピア色の世界が、オズの国に行くと、フルカラーになるでしょう。魔女は緑です。映画『アバター』は青の世界。映画『バービー』はピンクの世界です。色は感動につながります」と言った。それを受けてRGBバックライト・mini LED液晶テレビの新技術を語りはじめた。
R・G・B・Sky Blue-Cyanにて、サブピクセルを構成する「4色LEDバックライト」だ
ハイセンス・ビジュアル・テクノロジー社長のDennys Li氏「QD-OLEDは30ビットですが、RGBバックライトは134ビットです」
ハイセンスはRGBバックライトでは、先発組だ。すでに2025年CESで発表し、同年中に中国市場で発売を開始している。今回のCESでの話題は「4原色」だ。他社がRGBの3色バックライトで追随してくるなら、先鋒のハイセンスは、原色を増やす作戦に出たのである。名付けて、「RGB MiniLED evo」。これまでのRGB3色に加えて、新たに「Sky Blue-Cyan」という4色目のサブピクセルLEDを搭載したのである。
その目的はふたつ。有害なブルーライト対策。ブルーライトは、波長が380〜500nmの可視光線。長時間見ると、眼精疲労やドライアイが生じ、メラトニン分泌量が低下し、体内時計のズレと睡眠の質低下が発生する……などが学会で指摘されている。そこで約430〜490nmの波長の青の出力を少し減らす。そのままだと、青系の描写力がスポイルされるので、Sky Blue(484nm)、Cyan(500〜520 nm)を加える。そこで、R・G・B・Sky Blue-Cyanの4色にて、サブピクセルを構成するのである。これぞ「4色LEDバックライト」だ。それを搭載した116インチテレビ「116UXS」を発表。
4色展開のマイクロLEDディスプレイ。163インチ
「有害なブルーライトがQD-OLEDより60パーセント少ない」(Dennys Li氏)
「QD-OLEDより3割低い、電力消費」
ハイセンスの色へのこだわりは、まだある。自発光デバイスのマイクロLEDディスプレイだ。ここではRGBにY(イエロー)を加えた。記憶の底からリコールすると、シャープが2010年に発表した液晶テレビ「AQUOS クアトロン」がRGB+Yの嚆矢だ。シャープのニュースリリースにこうあった。「赤・緑・青の3原色に、新たに黄色を加えた4原色技術を開発しました。豊かな色表現力で、従来の3原色では表現が難しかった黄色や金色、エメラルドグリーンなどを色鮮やかに再現でき、3Dでも2Dでも高品位な映像を実現しました」。当時は3Dが流行っていた。懐かしい。
それはともかく、このマイクロLED、163型の「163MX」も、色表現の豊穣化という目的は同じだ。570〜590nmの黄色の追加により、「従来のマイクロLEDディスプレイでは、失われることが多かった500〜600nmの重要なスペクトルギャップを埋めることが可能になった」(ハイセンスのニュースリリース)としている。実際、私は昨年、中国・青島のハイセンスの研究所で、本機の試作機を見ているが、実にハイコントラストで、彩度の高さ、正確な階調再現だったことが、印象に残っている。
ハイセンスの色へのこだわりは本物だ。
「世界のあらゆる土地のあらゆる自然の色をきれいに再生」
たくさんの技術の優位性があると、自信たっぷり
巨大なハイセンスブースの入り口。RGBバックライト液晶テレビが、主役