劇画が、ものすごいテンションを伴いながら実写として動き出した印象だ。中心人物となるのは、ヤダンという異名をとる闇のブローカー。頭が切れ、情報収集能力も並外れており、検察や警察に提供して司法取引を操ってきた。だが闇の存在というものはどこをどうしても闇であり、つまりそれは、政治の風向き一つでどうにでもされる危うい立場でもある。そしてヤダンは、ある意味しっぺ返しを食らう。そして彼のなかに、怒りの心が燃え盛っていく。まさに全身全霊をかけての復讐であり、さまざまなトリック、多彩なカメラ・ワーク、表情豊かな役者たちの快演が、この映画に陰影を加えてゆく。後半はもう、ただひたすら、「いったいどうなるんだ?」と、画面にくぎ付けにならざるを得ない。と同時に、人間という生き物の持つ「欲」とは、こんなにも尽きることがなく、こんなにも醜いものなのかと、つい自分を顧みてしまう一作でもある。

 カン・ハヌル、ユ・ヘジン、パク・ヘジュンの共演もあってか、2025年韓国No.1(上半期)のヒット映画になったという。監督と脚本(共同)はファン・ビョングク。

映画『YADANG/ヤダン』

2026年1月9日(金)新宿バルト9ほか全国公開

出演:カン・ハヌル、ユ・ヘジン、パク・ヘジュン
監督:ファン・ビョングク
2025年/韓国/123分/スコープ/カラー/5.1ch/字幕翻訳: 福留友子//R15
配給:ショウゲート
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