そこに置けばフォーカス、台形補正、壁色補正などを自動的に行ってくれ、手軽に大画面が楽しめると謳う小型のDLPプロジェクターが、盛りだ。その中で、私は以前からアメリカ・フロリダのAWOL Vision社のプロジェクターはひと味違うと、見ていた。同社のCESブースにここ数年、訪れており、真面目で良心的な絵づくりには、密かに注目していた。

 2022年のJEITAでの私のCES講演で会場からの質問があった。「CESではプロジェクターに関して新しい技術の進展はありましたか?」。私は「AWOL Visionというメーカーの、3色レーザープロジェクターに注目しました。会場で見ましたが、新しい時代の到来を予言したようなパフォーマンスでしたよ」と、答えた。私はその時から、潜在的にAWOL Visionのプロジェクターをしっかり見たいという欲求を持っていたのではないかと思う。

DLPプロジェクター:Valerion Vision Master Max ¥769,846(税込)

●投写方式:0.47インチDMD(単板式DLPプロジェクター)
●スクリーン上の解像度:4K
●光源:RGBトリプルレーザー
●明るさ:3,500 ISOルーメン
●コントラスト比:50,000対1(EBL技術)
●色域:Rec.2020の110%
●光学ズーム:0.9〜1.5倍(標準)、0.9〜2.0倍(別売レンズ使用時)
●レンズシフト:垂直±105%
●接続端子:HDMI入力✕2、HDMI出力(eARC)、USB端子✕2、光デジタル出力、3.5mmヘッドホン出力、LAN
●対応HDR映像:HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Vision
●対応映像規格:IMAX Enhanced、Filmmaker Mode、24FPS/48FPS
●対応オーディオフォーマット:DTS:X、Dolby Audio
●対応動画配信サービス:Netflix、YouTube、Prime Video、Disney+、Apple TV+、他
●寸法/質量:W260✕H185✕D234mm/7kg

麻倉さんによる「Vision Master Max」のインプレッションはこちら ↓ ↓

専門家が語る。アメリカで大人気を博したVisionMaster MAXの実力。自宅シアターを、次のレベルへ。

youtu.be

 今回、AWOL VisionのValerion(ヴァレリオン)ブランド新製品「Vision Master Max」をテストする機会が与えられたのは、たいへん嬉しいことだ。AWOL Visionの創業者で社長のアンディ・チョウ氏にインタビューした中で、この言葉には特に感動した。「どれも私の期待に応えられなくて。だから、自分で開発することに決めたのです。“B to B”じゃなくて、“B to Me”」。

 アンディ氏は、自宅にホームシアターをつくろうと思い立ち当時、勃興していたワンチップの小型DLPプロジェクターを10台ほど買ってみたが、どれも画質が悪く、遙かに期待以下だった。「それなら、自分で作ろう!」と、なんと自らメーカーになったのだから、驚きだ。チョウ氏が深センのエンジニアと協力して開発した、3色のレーザープロジェクターを、私はCESで見たのであった。

 そんな縁があるヴァレリオンのハイエンドモデル、Vision Master Max。まずは、現在発売されている、3色レーザーのトップモデル「Vision Master Pro 2」と比べた。輝度は見た目から明らかに高く、レンジ感も広い。数値ではVision Master Pro 2は3000 ISOルーメンに対し、Vision Master Maxは3500 ISOルーメンだ。

左が新製品「Vision Master Max」で、右が「Vision Master Pro 2」(¥440,000、税込)。並べて視聴すると、画面の明るさやコントラスト感再現に確かに違いが感じられた

 もうひとつ明らかに改善されたのが、コントラスト。チョウ社長の説明によると、「フレームごとに明暗を分析し、黒を締める、特許技術EBL(Enhanced Black Level)を今回、初めて搭載しました。これにより、ネイティブ・コントラスト比は論理値の5,000:1から50,000:1まで向上しています」。その倍数はともかく、前モデル比では見た目で、コントラストは確実に上がっていた。DLPプロジェクターでは輝度向上がそのまま黒浮きにつながることもあるが、Vision Master Maxは明るさが上がって、なおかつ黒が結構締まってきた。その結果、ワイドレンジになったという理屈だ。

 相対比較はこれまでにして、絶対的に画質をチェックしよう。再生したのはUHDブルーレイ『宮古島-癒しのビーチ』と『サウンド・オブ・ミュージック』、そしてNetflixから『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』だ。

UHDブルーレイ『宮古島-癒しのビーチ』(HDR10収録のビデオコンテンツ)
※Filmmaker Modeで視聴

 『宮古島〜』はもともとハイディテイル、ハイシャープネス、ハイコントラストなリソースだから、本プロジェクターのハイコントラスト、ハイシャープネスと相俟って、ひじょうにディテイルが浮き立ち、輝度のワイドレンジ感も格別だ。チャプター4の「東平安名崎灯台」を遠くに臨む情景。ここでは岩群が刻明に描写され、ディテイル感が豊富だが、少し中域の強調も感じられ、もっと輪郭を繊細にしたい。何かできないかと探ってみると、超解像の項目があり、デフォルトで「オン」になっていたので、「オフ」にしたら、少し落ち着いた印象になった。

「Vision Master Max」の接続端子部。HDMI入力2系統や、eARC対応HDMI出力を搭載する。Google TV OSも搭載しており、その音声は光デジタル出力や3.5mmアナログ端子からも出力される

 チャプター5の「長間浜」。浜辺の中央のゴツゴツした岩の存在感がリアルだ。その存在にどっしりとした重みがあり、無数に空いた孔にも実体感がある。チャプター5後半の、伊良部大橋を遠くに望む砂浜。海水の透明度が高く、遠くに続く海上の色のグラデーションがエメラルドグリーンから濃い青に変わり、そして青い空に続くというシークエンスが、鮮明だ。

 総体的に言って、かなりACCEPTABLEな映像ではないか。最近流行のレーザー光源の小型DLPプロジェクターには誇張感と強調感が強いものがとても多いという現状に照らし合わせると、本機は、かなりコンテンツのあり方を尊重していると見た。暗所で投写しているので、輝度を下げたいが、輝度は100パーセント値で固定され、下げられないのは問題だ。

UHDブルーレイ『サウンド・オブ・ミュージック』
Netflix配信『ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング PART ONE』(映画コンテンツ)
※Dolby Visionカスタムモードで視聴

『サウンド・オブ・ミュージック 製作60周年記念版 4K UHD+ブルーレイ セット』
(WDUF-1174 ¥8,690、税込) 2026年1月21日(水)発売

●画面サイズ:2.20:1(3840×2160p)
●音声:ドルビーアトモス(英語)、DTS 5.1ch(日本語)
●字幕:英語、日本語、日本語吹替用字幕
●発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
●発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング

誰もが知る名作が、製作60周年記念版として登場する。65mmマスターネガを8Kスキャン、4Kデジタルレストア&HDRグレーディングすることで、かつてない高画質を実現している。HDRはHDR10とドルビービジョンをサポートする。サラウドも新たに磁気6トラック・マスターからリミックスされたドルビーアトモス・サウンドトラックを収録。
© 2025 20th Century Studios.

https://www.20thcenturystudios.jp/movies/sound-of-music

 2026年1月にリリースされる。『サウンド・オブ・ミュージック』製作60周年記念盤は、たいへん素晴らしい画質を持つUHDブルーレイだ。オリジナルのネガフィルムから8Kスキャンし、4Kでマスタリングした。本プロジェクターで再生すると、UHDブルーレイの特徴が適切に、スクリーン映像に反映されている。

 コントラストはもちろん高いが、この手のプロジェクターによくある、必要以上に黒を沈めることはしていない。むしろ、黒再現では階調性を優先しているのが、見て取れた。白も決して無理に伸ばしていない。4Kになり、黒側のグラデーションが緻密に、色も輝度もその部分の情報が増えているわけで、4K『サウンド・オブ・ミュージック』を鑑賞するには、適したセッティングだ。

 解像感という意味では、ディテイルの情報量はたいへん多い。チャプター19「ドレミの歌」。オブジェクトの映像粒子が細かく、情報が蝟集する。地面の草が1本1本明確に分かり、マリアの金髪のディテイルが輝く。遠景の山々のくっきりさには、驚く。このスクリーン上の映像からに言えることは、本プロジェクターは、UHDブルーレイが持っている情報量を、ていねいに、その世界観に沿ってだしている。もともとのリソースの情報量がひじょうに多いので、それを素直に投映している。

 この質感は、Dolby Visionも関係していると思われる。プロジェクターにDolby Visionが適応されたのはそもそものニュースだ。Dolby Visionは再生機の画質設定を飛ばして、自らの(コンテンツ側の)設定値で再生する仕組みが、効いたのか。

別売の三脚型スタンドと組み合わせれば、任意の場所にプロジェクターを手軽に設置できる

 もうひとつDolby Visionの映像モードとして「ブライト」「ダーク」「カスタム」が選べること。先ほど、輝度調整は「100パーセント固定なので調整不可能」と述べたが、「Dolby Visionカスタム」ではレーザーパワーが80パーセントに下がる。この義度抑制が、質感の佳さに効いた。

 Netflixから『ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング PART ONE』。これも「Dolby Visionカスタム」の良いケースだ。何度も言っているがこの手のDLPプロジェクターにありがちな人工感というのが結構少なく、暗部から中間を経由して白に行くというグラデーション表現において、広大なダイナミックレンジ上の階調ステップが細かい。具体的には、サイドライトが横から当てられた顔。右がハイライトになって、左がシャドウになるが、その部分の階調は確保され、暗部でも肌色がきちんと再現されている。

 ビデオと映画の代表的な4K作品を見た。一般的に小型のDLPプロジェクターはひじょうに機能的だが、癖っぽさ、強調感、誇張感が横行し、画質的に問題というのが常識。Vision Master Maxは、その問題を完全に打破したわけではないが、かなりオーセンティックともいえる画調を見せてくれた。特に階調性は他のものとは一線を画すと、見た。

「Vision Master Max」に搭載されたNoirSceneシステム。緻密なアイリス(6枚羽絞り)や迷光遮断構造を採用することで、より沈んだ黒を再現、ノイズのない立体的な映像を再現する

 一般的なDLPプロジェクターにはカラーブレイキング(色割れ)ノイズがつきものだ。これはRGBに色を分割するカラーホイールが原因だが、RGBの個別発光でも完全には追放できない。本プロジェクターは、その対策がされ、目立ったノイズは少なかった。

 レーザーの直接発光で発生するスペックルノイズ(波長が異なるレーザー光同士が反応して発生する、ギラギラするざらつき)に関しては、独自のノイズ低減機能を搭載したということだが、現実にはやや目に付いた。特に、平坦な大画面で目立った。別掲のインタビューにもあるが、本プロジェクターと対策した専用スクリーンで効果を発揮するということだから、ぜひ専用スクリーンで見てみたい。

 操作系の課題は、イコライジングだ。もともと細かな調整なしでも、それなりの映像が得られるという考えからと思われるが、特に輝度、ディテイルはもっと自在にコントロールしたい。

 まとめると、Vision Master Maxは小型DLPプロジェクターとして、意外なほど良いパフォーマンスを見せてくれた。2021年のCESから見たいと思っていた実機をチェックでき、長年の思いが叶った。

100インチの投射距離は1990〜3320mmなので、6畳間でも問題なく収まるはず。さらに±105%の垂直レンズシフト機能も備えているので、設置の自由度は高い

オーディオビジュアルファンが求めるプロジェクターを、「B to Me」で生み出した。
ヴァレリオンのこだわりを、代表取締役 アンディ・チョウさんにインタビュー

AWOL Vision社の代表取締役 アンディ・チョウさん

麻倉 今日は、AWOL Vision社の代表取締役であるアンディ・チョウさんにStereo Sound ONLINE視聴室においでいただきました。同社からは、プロジェクターのプレミアムブランドであるValerion(ヴァレリオン)の製品が、新たに日本市場に導入されます。

 今回はヴァレリオンの新製品DLPプロジェクター「Vison Master Max」を視聴させていただきますが、私もヴァレリオンのプロジェクターを視聴するのは初めてですので、会社の概要や製品の詳細についてアンディ社長におうかがいしたいと思います。

アンディ ありがとうございます。本日はインタビューの機会をいただき、たいへん光栄です。

麻倉 まず、AWOL Vision社の概要や沿革について教えてください。

アンディ 私が、2020年にアメリカのフロリダ州でAWOL Visionを設立しました。プロジェクター・ビジネスを始めたのは、私の趣味から、です。私はオーディオビジュアルマニアで(笑)、映画を見るのが好きなので、以前から自宅にホームシアターを作りたいと思っていました。でもアメリカでは、特にプロのインストーラーは人件費がすごく高い。だから上質なホームシアターを作るにはもの凄く、お金がかかるんです。

 するとたまたま、2019年に深センを訪れた時に、店に立ち寄ったら超短焦点のレーザープロジェクターを見つけました。設置や設定は一切不要で、箱を開けてセットするだけで使えるという製品でした。それを壁の近くに置けば、150インチ以上の大画面が実現できます。200ドルくらいだったので、購入してアメリカに持ち帰りました。

 まず自分のメディアルームで使い始めました。自分で設置しましたが、私は買ってきたプロジェクターの画質に満足できなかった。これは駄目だ、と。それから、品質重視でプロジェクターを探しましたが、やっぱり何か物足りない。当時アメリカで売っていたほぼすべてのブランドの製品を試しましたが……。

麻倉 そうだったんですね。何台くらい買ったんですか?

アンディ 10台近くでしょうか。しかし、どれも私の期待に応えられませんでした。だから、自分でプロジェクターを開発することに決めたのです。

麻倉 自分でプロジェクターを作ろうと(!)。

アンディ そう、まさに私のために。だから私のビジネスモデルは、「B to Me」なのです。「B to B」じゃなくて、「B to Me」(笑)。

麻倉 それはワンダフル! これまでのビジネスモデルには「B to C」や「B to B」はあるけど、「B to Me」はなかった。

アンディ そうですね。開発担当者が私の要求に応える形です。これが私のビジネスの始まりでした。

麻倉さんは、プロジェクター製品づくりの細かい点についても詳しくインタビューを行っていた

麻倉 しかし、プロジェクタービジネスを始めるにしても、戦略や技術がなければできませんよね。

アンディ その通りです。幸運なことに、私には当時から一緒に活動しているエンジニアのパートナーがいました。イッサンという名前で、今日のインタビューにもオンラインで参加しています。彼はエンジニアで、製品開発に関する知識がたいへん豊富です。

 そこで我々は、アメリカと深センにAWOL Visionを設立しました。アメリカの本社は営業とマーケティングを、深センの支社では設計、製造、サプライチェーンを行います。こういうバックボーンがあったので、私は自分の欲しい製品を開発する自信を持てたのです。

麻倉 つまりヴァレリオンはハイエンドな製品を、高い技術力で開発し、世界にマーケティングするということですね。実際に開発するに際しては、どんな製品を想定したのでしょう?

アンディ まず、RGB 3色レーザー技術を搭載しました。2020年当時はDLPプロジェクターでは単色(青色)レーザーが主流で、RGBレーザーを採用している製品はなかったはずです。しかし我々は、RGBレーザー技術を使って開発することを決めました。その理由は、この技術ならより広い色域を提供できるからです。しかもカラーホイールを排除できるので、レインボーノイズも抑制でき、ファンノイズもひじょうに静かになります。

麻倉 確かにRGBレーザーには広色域を始め多くのメリットもあります。他にはどんな技術を搭載しているのでしょう?

アンディ 独自技術として、EBL(Enhanced Black Level)技術も搭載しました。

麻倉 それはどんな技術なのか、説明していただけますか?

アンディ AWOL Visionを設立してから1年半後、「Evolution」と命名したプロジェクターを開発し、米国のクラウドフアンディングで発表しました。すると、100万ドルの支援が集まったんです。

 その後、支援者やユーザーから、「コントラストや黒レベルを改善できないか」というフィードバックが大量に届きました。確かに、2022年頃の当社のプロジェクターでは黒レベルを充分に再現できませんでした。しかし私たちはその声に真剣に耳を傾けました。そこから黒レベルの改善を開始し、EBL技術を開発することに成功しました。これによりコントラストや黒レベルが劇的に向上したのです。

 改善度合いは劇的です。ネイティブコントラスト比5,000:1から、EBLを使ったビューイングコントラスト比50,000:1に向上し、業務用プロジェクターに迫るディテイル表現を可能にしています。これを新製品の「Vison Master Max」に搭載しました。

EBL技術の効果イメージ

上の写真はコントラスト比1000:1、下がEBL技術を組み合わせた50000:1の映像のイメージ。フレームごとに映像の明暗を分析し、暗い部分から明るい部分まで優れた再現性を獲得している

麻倉 EBLの技術的な詳細を教えていただけますか?

イッサン この技術は、レーザーディミングと呼ばれる技術と、高精度アイリスとダイナミック・トーンマッピングなどの最適化を行うハードウェア、そしてアルゴリズムに基づいています。

 DLPプロジェクターのコントラストを向上させる方法で一般的なのは、光源の輝度を下げることです。これによってコントラストが上がります。つまり、コントラストを上げるためには、明るさをある程度抑える必要があるのです。

麻倉 でも、そうすると画面の明るさが犠牲になります。

イッサン おっしゃる通りです。私たちは、明るさを下げる代わりにガンマカーブを使っています。ガンマの適応変化を応用し、輝度と暗部のバランスを確保しているのです。

麻倉 ガンマカーブを適応的に制御するのですか?

イッサン 各フレームを識別して黒レベルを調整し、フレームごとに輝度レベルを最大化するという方法です。EBLでは、各フレームの内容を見て、ガンマを変更する。これがEBLの技術です。

 もうひとつの特長は、RGBの3色レーザーを制御している点です。従来の単色レーザープロジェクターと比較しても、3色レーザーの出力と位相を制御するための、レーザーダイオード、電源装置、回路の最適化はひじょうに困難です。

 最後は、従来のプロジェクターと比べて、より高性能なSOCチップセットを使用していることです。このSOCチップセットはひじょうに高性能で、各フレームの情報を高い精度で検出できるのです。

麻倉 なるほど、ガンマ制御、RGB 3色レーザー、強力なSOCの3つで高画質を実現したと。これは、実際に「Vision Master Max」の映像を確認するのが楽しみです。ところで、スペックルノイズにも対策をされたそうですね。

アンディ スペックスノイズ対策は、まずプロジェクター自体で最適化を行っています。次に、専用のプレミアムスクリーンを準備しています。これがスペックルを大幅に減らします。ですので、ユーザーには当社のスクリーンをお使いいただくことをお勧めします。そうすれば、優れた画質を実感できるでしょう。

麻倉 なるほど、スクリーンとプロジェクターが連携してスペックルノイズの除去を行うというわけですね。では、そのプロジェクターの最適化技術とは何ですか?

アンディ まずプロジェクターユニット内のレーザーについて、ふたつの変更を行いました。ひとつ目は、内部の光学レンズにサブレンズを追加したことです。ふたつ目は、RGBレーザー制御技術を採用しています。そこで制御できるのは、レーザーの電流を下げることと、微調整、波長の調整です。これでプロジェクター内のレーザー光を最適化しています。

麻倉 先程お話に出た専用スクリーンにはどんな特徴があるのですか?

アンディ ホワイトマットスクリーンに、スペックルノイズを減らすための特殊な化学物質を塗っています。もちろん本プロジェクターと専用スクリーンの組み合わせがベストですが、他社のスクリーンでもその効果はあります。

インタビューは、2025年11月21日にStereoSound ONLINE視聴室で実施した

麻倉 なるほど。さて、「Vision Master Max」は12月16日から日本でクラウドフアンディングをスタートするそうですが、日本市場への参入について具体的な戦略はありますか?

アンディ 日本では今年7月にAmazon.co.jpを通して市場に参入し、早いタイミングで製品が完売するなど、ご好評いただいています。その頃は「Vision Master Pro 2」が主力モデルでしたが、日本市場でも上位モデルの需要があることを確認できたので、「Vision Master Max」を導入することを決定しました。

麻倉 なるほど、その際に気をつけている点はありますか?

アンディ 単純に米国仕様を日本に導入するようなことはしません。今は製品を日本に導入している段階ですが、その後に改めて日本のユーザーの皆さんからフィードバックを得たいと思っています。

 日本のお客さんは、世界的に見てもひじょうに高い品質基準をお持ちだと承知しています。日本のユーザーの要求を満たせれば、おそらく世界のほとんどの顧客を満足させられるでしょう。

麻倉 わかりました。私も「Vision Master Max」をチェックして、インプレッション記事をお届けします。

アンディ ありがとうございます。率直なフィードバックをお待ちしています。