サウンドバーの音質進化が進んでいる。特にこの夏にクラウドファンディングを実施し、10月30日に一般販売をスタートしたJBLの「BAR1300MK2」は、空間再現性と音のよさで評価が高い。そして先日、イマーシブ・オーディオ録音の第一人者である入交英雄さんから、BAR1300MK2の音が素晴らしいので自宅スタジオでテストしたいとの連絡をいただいた。入交さんは今年、近鉄奈良駅近くに「ならまちスタジオ」を開設し、ここをベースにイマーシブ・オーディオの制作・啓蒙に取り組んでいる。プロの制作スタジオでBAR1300MK2を鳴らしたらどんなサウンドが体験できるのか? この点を確認すべく、麻倉怜士さんと一緒に古の都まで足を運んだ。
●参加メンバー:麻倉怜士、入交英雄、根木健太
サウンドバー:JBL BAR1300MK2 ¥228,800(税込、セット)
●サウンドシステム:11.1.4ch
●使用スピーカー:
・サウンバー本体=50✕75mmレーストラック型ウーファー✕8、25mmツイーター✕7、75mm径天井反射用フルレンジ✕4
・ワイヤレスリアスピーカー=50✕90mmレーストラックドライバー✕2、50mmフルレンジ、75mm天井反射用フルレンジ
・サブウーファー=200mmウーファー✕2
●スピーカー出力合計(最大@THD 1%):2470W
●周波数特性:33Hz〜20kHz(-6dB)
●接続端子:HDMI入力✕3、HDMI出力(eARC)、光デジタル入力、Bluetooth、USB(アフターサービス専用)
●対応音声フォーマット:Dolby Atmos、Dolby TrueHD、DTS:X、DTS-HD Master Audio、MPEG4 AAC、LPCM(2ch〜7.1ch)、他
●寸法/質量:本体=W1404✕H58✕D136mm(リアスピーカー装着時)/6.0kg、サブウーファー=W315✕H277✕D275mm/12kg
ワイヤレスリアスピーカーは大きさがW202✕H58✕D136mmで、重さは約1.3kgなので、必要な時に棚の上などに置いて使うこともできる。内蔵バッテリーで最大10時間の再生も可能(コンテンツの種類や音量レベルによって異なる)
ーー今日は、ならまちスタジオでJBLのBAR1300MK2の音を聴かせていただきます。入交さんが、BAR1300MK2の音を気に入られたそうで、そのパフォーマンスを麻倉さんと一緒に確認してみたいと思っています。
入交 先月仕事で中国に出かけたんですが、そこで訪れた工場にBAR1300MK2があったのです。音を聴かせてもらったら、思っていたよりずっといいなということで、一度自分のスタジオで聴いてみたいと思って輸入販売元のハーマンインターナショナルさんにお願いして試聴機をお借りしました。
麻倉 現地で聴いて、イマーシブ再生の音がよかったと。
入交 サラウンドの空間再現もそうですが、基本的な音質がよかったんです。今までのサウンドバーは音質的にがっかりするものが多かったんですが、BAR1300MK2はそこがものすごく優れていたので、じっくり聴いてみたいと思いました。
それと、両端を取り外してワイヤレスリアスピーカーとして使えるというアイデアもいいじゃないですか。マルチチャンネル再生としても効果が大きいと感じています。
ーー本日はBAR1300MK2を販売しているハーマンインターナショナルの根木健太さんにも同席いただいています。まず根木さんから製品について解説いただけますか。
根木 今回ご試聴いただくBAR1300MK2は、JBL BARシリーズ最新世代のトップモデルです。前モデルでは「BAR1000」までを日本で展開していたため、「1300」型番を冠した製品としては、これが初の国内モデルとなります。
先ほど入交さんがお話されたワイヤレスリアスピーカーを搭載したサウンドバーとして、日本で初めて紹介されたのが前シリーズの「BAR1000」です。手軽にリアルサラウンド楽しめるというコンセプトが注目を集めました。今回、そんなJBLの次世代サウンドバーの最上位モデルとして登場したのが、BAR1300MK2になります。
ならまちスタジオでの試聴では、BAR1300MK2の本体をセンタースピーカーの上に載せ、その手前の床にサブウーファーを置いている。本体はやや不安定な設置になってしまったが、音のびりつきなどは感じなかった
サンドバーの進化点としては、BAR1000では7.1.4チャンネルのイマーシブ・オーディオに対応していましたが、BAR1300MK2は11.1.4チャンネル対応になりました。それもあって、BAR1000ではサブウーファーも含めてユニットを15基搭載していましたが、BAR1300MK2に関しては29基に倍増しています。総合アンプ出力も880Wから2,470Wになりました。
サブウーファーは従来モデルよりもコンパクトなのにパワフルです。他のモデルはすべてユニットが下向き配置のバスレフ型ですが、BAR1300MK2はユニットを対向配置した密閉型です。JBLとしてこのタイプのサブウーファーは珍しいのですが、振動板面積を増やして、正確な低域を出そうという目的で採用したようです。
麻倉 この方式は本体の共振も抑えられるから、マンションなどでも下の階への振動が伝わりにくくなるでしょう。使い勝手の改善という意味でもいいことですよ。
入交 ところで、サウンドバーで11.1.4チャンネル対応というのは珍しいんじゃないでしょうか。
根木 7チャンネルのフロアースピーカーに加えて、フロントとサラウンドの間にワイドスピーカー、さらにサラウンドとサラウンドバックの間にもリアサラウンドが加わります。これでフロアスピーカーが11チャンネルになっています。
麻倉 それらの仮想スピーカーはビームで作るんですか? それともバーチャル(アルゴリズム)で作っているんでしょうか?
根木 BARシリーズ共通の特徴として、独自技術「MultiBeam」を搭載し、ビームを使って仮想スピーカーを再現しています。今回のBAR1300MK2ではMultiBeam 3.0に進化しています。
麻倉 これまでのMultiBeamとは、どこが違うのでしょう?
まずは、ハーマンインターナショナルの根木さん(中央)に、BAR1300MK2の概要を説明いただいた
根木 前シリーズでは、MultiBeam 2.0を搭載していました。この時もビームを使った壁反射、天井反射で仮想スピーカーを再現していますが、すべてのモデルが同じ方向と幅でビームを飛ばしていました。そのため、少しビーム幅を広くする必要があり、重なる部分が大きかったのです。
これに対してMultiBeam 3.0では、各モデルのユニット幅や配置の違いに応じて、それぞれに最適化されたビームを飛ばせるアルゴリズムに変更されています。これによりビームの幅をより狭くすることに成功し、チャンネルセパレーションも良くなっています。
入交 それで納得しました。今までのサウンドバーではどうしても音場再生で満足いかない部分もあったんです。というのも僕の場合、臨場感を作るために位相差の多い音源を作っています。そういった音源をサウンドバーで再生すると、今までは音場がぐちゃぐちゃになってしまうことが多かったんです。BAR1300MK2にはそういう感じがなかったんですが、バーチャル再生じゃないと聞いて、なるほどなぁと腑に落ちました。
根木 製品としては、先ほど申し上げた通り29基のユニットを搭載していますが、これらを駆動するアンプもユニットひとつに対して各1台あてがっています。これも、JBLのBARシリーズのMK2世代機で共通の特長になっています。
麻倉 ということは、ユニットを独立駆動できるから、ビームごとに位相を変えるなどの細かな制御もやっているんですよね。
根木 おっしゃる通りです。例えば左側からくる音に対しても、左チャンネル用だけじゃなくて、他のユニットやアンプも使って全体としての音場を作り出すという処理を行っています。さらに、その辺りをコントロールするソフトウェアなども改善されています。
BAR1300MK2のユニット配置としては、サウンドバーには高域用のツイーターが中央と正面の両サイドに計3基あり、その間に50✕75mmレーストラック型ドライバーが各4基、合計8基並んでいます。さらに両端にそれぞれ2基のツイーターがあり、これでワイドやサラウンドのビームを再生しています。本体上側の両端にはフロントハイト用ビームスピーカーが各2基、合計4基配置されています。
BAR1300MK2のユニット構成。本体にはなんと19基、ワイヤレスリアスピーカーにも各4基、合計8基のユニットが搭載されている
ワイヤレスリアスピーカーにはレーストラック型ドライバーを2基とフルレンジドライバーが1基、さらにリアハイト用ビームスピーカーも1基搭載しています。サブウーファーはユニット対向方式なので2基のユニットを搭載しています。
入交 ワイヤレスリアスピーカーは必ず取り外して使うのでしょうか?
根木 いえ、本体に装着した状態でもお使いいただけます。その状態では9.1.4チャンネル再生ができますので、普段テレビを見るような時はつけたまま、ガッツリ映画や音楽を聴きたいという時は取り外して後ろに置いていただければと思います。
麻倉 なるほど、平日は一体型で“すっきり”楽しみ、休日はフルサラウンドで“まったり”鑑賞というわけですね。
入交 BAR1300MK2はキャリブレーション機能も付いていますが、測定の手順はどうなりますか?
根木 本体の測定用マイクでテストトーンを測定します。最初にワイヤレスリアスピーカーを取り外して視聴位置の両脇に置いて測定して、次に後ろ側、いわゆるサラウンドスピーカーの位置でもう一度測定するという仕組みです。
麻倉 せっかくなので、ならまちスタジオでも測定してみましょう。
入交 そうしましょう。ワイヤレスリアスピーカーは、視聴位置の横側か後ろか、どちらに置くのがいいんでしょうか?
根木 視聴位置後方に置いていただくと、より広い空間を再現できます。ならまちスタジオの場合は、サラウンドバックスピーカーの上に載せるのがぴったりだと思います。
麻倉 じゃあその配置で測定してから、音を聴かせてもらいましょう。
キャリブレーション機能を使って、設置環境に合わせたイマーシブ・オーディオ再生を実現
BAR1300MK2には、視聴環境のキャリブレーション機能も搭載されている。リモコンの「CALIBR」ボタン、またはアプリから起動することで、試聴位置やワイヤレスリアスピーカーまでの距離を測定、最適な3D再生を行ってくれるものだ。今回も、ならまちスタジオでこの機能を使って最適化を行っている。
キャリブレーションは、ワイヤレスリアスピーカーを取り外して2箇所に移動させながら行う。リスピーカーを取り外した後、付属のカバーをセットした
取り外したワイヤレスリアスピーカーを試聴位置(写真のふたつ並べた椅子の中央)の両脇に置いて、サウンドバーから視聴者までの距離を測定する
ワイヤレスリアスピーカーをサラウンド再生時の位置に移動して測定すれば、キャリブレーションは完了
ーーということで、ならまちスタジオのサウンドを体験させていただきました。入交さんが録音・制作したマルチチャンネル音源や麻倉さんのお気に入りUHDブルーレイを、最初はならまちスタジオのリファレンス機器で、その後にBAR1300MK2で再生しています。
まずは入交さんにうかがいますが、ご自身で作られた音源をBAR1300MK2で再現した感想はどうでしたか?
入交 音がとても自然でした。一般的にはバーチャライザー処理を入れると、音が素直に聴こえてこないことが多いんですけれども、BAR1300MK2ではそういったことがなかったんです。
サラウンドの定位に関しては、リアルスピーカーと比べると若干寂しくなるところもあったんですけど、全体的な定位は狙った通りになっていましたね。また高さの表現が、思っていたよりずっとよく出来ていたかなと。名倉誠人さんのマリンバ演奏も聴かせてもらいましたが、残響が上の方に上っていく感じまで聴こえてきて、表現力もひじょうに高いなと思いました。
冨田勲さんの『源氏物語幻想交響絵巻』のブルーレイから、ドルビーアトモスとDTS-HDマスターオーディオ(192kHz/24ビット/5.1チャンネル)を聴きました。このふたつの音もかなり違って、ドルビーアトモスでは音場感が良いと思ったのですが、5.1chのDTS-HDマスターオーディオにすると音場感はやや狙い通りにはなっていなかったものの、音色感が格段に良くなりました。
入交イマーシブオーディオ研究所を主宰している、入交英雄さん。これまでもStereoSound ONLINEの取材で様々なご協力をいただいています
麻倉 この音源も入交さんがミックスを担当されたんですよね。本体表示を見る限り、BAR1300MK2でNural:X処理をかけていたようですから、5.1チャンネルをアップミックス処理していることになります。それでも、ドルビーアトモスとのテイストの違いは結構出ていました。
入交 『源氏物語〜』は高い位置に音を定位させているのですが、ドルビーアトモスはそういった点がよく再現できていました。DTS-HDマスターオーディオでは高さの再現は甘くなりましたが、代わりに音質の良さが魅力ですね。この差であれば、聴く人がどちらが好みかで選べばいいと思います。僕だったらDTS-HDマスターオーディがいいかな。
我々エンジニアは、音質をどれだけ良くできるかに留意して制作作業を進めています。ドルビーアトモスについてもApple Music用に圧縮する時にチャンネル数を減らすんです。この様にして1チャンネルあたりのビットレートを増やすと音質が改善します。Apple Musicなどの場合はヘッドホンで聴かれる方も多いので、チャンネル数を減らしてもそれほど影響はありませんから。
もちろんスピーカーによるフルスペックの再生システムがどこまで追従できるかも重要ですが、BAR1300MK2は今まで聴いてきたサウンドバーに比べると、圧倒的に音質の良さが実感できました。
麻倉 サウンドバーはそもそも、テレビの音が悪いのでそれを何とかしたいというニーズに応えた製品で、そこにはふたつの方向性があると思うんです。
ひとつは、バーチャル技術を使って広がりや低音を出すもので、これはテレビメーカーの製品に多いですね。中には、音を作りすぎて違和感を覚えるものもあります。一方でオーディオメーカーのサウンドバーは、いい音を出したいという発想の製品が多い。基本的に音像が安定していて、さらに音場も広い、安心感のある音です。BAR1300MK2は後者で、基本的な音質がしっかりしています。
入交さんとは旧知の仲の麻倉さん。以前から、ならまちスタジオを訪問したいと思っていたそうで、今回念願がかなって嬉しいですとのこと
ならまちスタジオでの印象としては、ドルビーアトモスは音場再現はいいんだけど、ちょっと音の粒立ちが鈍い気もしました。DTS-HDマスターオーディオに切り替えると途端に音が厚くなって、ディテイルも出てきた。それがわかるくらいBAR1300MK2の音はモニター的で、ソースの特徴をはっきり出しますね。
入交 確かに、DTS-HDマスターオーディオは192kHz/24ビットらしいハイレゾ感もありました。
麻倉 サラウンドシステムで重要なポイントとして、第一が音質で、次がサラウンド感の再現だとすると、BAR1300MK2はその両方で一般的なサウンドバーのクライテリアをはるかに超えた、本格的な鑑賞ができるレベルに達していると思います。
音が悪いからサウンドバーで何とかしましょうみたいな発想じゃなくて、音をグレードアップして感動を高める、コンテンツの持っているリソースを出してあげましょうという狙いですね。作品鑑賞として正当的な考え方だし、どんなコンテンツを聴いても安心感があります。
『源氏物語〜』で、不気味なナレーションが後ろから聞こえてきて、次に前側からも響いてくるシークエンスでも、あたかもそこで囁いているように感じさせてくれます。このリアリティはバーチャル再生では出せないと思います。
入交 ならまちスタジオでは一般の方を招いた視聴会も開催していますが、その時に決まって出る質問が、「家でもこれだけのスピーカーが必要なんですか?」というものです。これまでは、なかなかいい製品が見当たらなかったんですが、BAR1300MK2はこのサウンドバーなら大丈夫ですよと自信を持ってお勧めできる、初めてのモデルだと思います。
麻倉 映画の音も剛性感があるんだけども、ある意味Hi-Fiの領域にも入ってきて、音楽の粒立ちもいい。ちょっとびっくりするサウンドバーが出てきたなという感じです。
ならまちスタジオにはジェネレックとイクリプスによる2種類のマルチチャンネルシステムが設置されている。今回はジェネレックによる7.1.4チャンネルシステムとBAR1300MK2で同じコンテンツを再生した
ーーこのスタジオは広さ約26畳ということですが、バー本体からリアスピーカーまではどれくらい離れているんですか?
入交 フロントからサラウンドバックまでは、約5.5mです。
麻倉 それだけ離れていても、まったくパワー負けしないというのも凄い。一般的なマンションのリビングは15畳前後でしょうから、余裕でカバーしてくれそうです。
入交 本体も厚さ6cmほどとひじょうに薄いのに、よくこれだけの音が出せますね。サブウーファーとのつながりもよくて、鳴り分かれしていないのも立派です。
麻倉 その一体感も、音を聴いた時の安心感、安定感につながっていますね。これから自宅でイマーシブ・オーディオを楽しんでみたいという方は、BAR1300MK2からスタートできたら幸せです。
根木 僕自身、BAR300MK2からBAR1000MK2まで、前モデルと比べて音質が向上したことに喜んでいたのですが、BAR1300MK2はちょっと次元が違う音になりました。
JBLは映画産業と共に育ってきたブランドでもありますので、映画コンテンツにおける音場感とかセリフの再現には自信を持っています。一方で、最近はドルビーアトモスの音楽コンテンツも広がっていていることも認識していました。今日は、第一線でイマーシブ・オーディオを作られている入交さんのスタジオで、その音を聴かせていただき、さらにBAR1300MK2と聴き比べる体験ができました。製作者の意図に沿ったサウンドを再現できるシステムとして、BAR1300MK2がしっかり応えていることが確認でき、ひじょうに安心しました。
ハーマンインターナショナル株式会社 Lifestyle Audio-Consumer マーケティング部プロダクトマネージャーの根木健太さん。今回の取材のために、わざわざ奈良まで足を運んでくれました
麻倉 昔から、映画と音楽の音は違うと言われてきました。だから再生機器も分けるべきだと。しかし、ひとつのシステムで映画も音楽も高品質で楽しめるということが、頑張ればとできるんです。もちろんそのためには、物づくりへのこだわりとか、開発力、技術力がないといけない。BAR1300MK2ではそれが実現できています。
入交 リアルスピーカーシステムで、このつながりの良さを実現するのは、スピーカーの設置を含めて調整が難しいし、置き場所や配線をどうするかという問題もあります。BAR1300MK2なら、それらを簡単に解消できるのも魅力です。
麻倉 今回はきわめて貴重な体験ができました。イマーシブ・オーディオの世界的な権威である入交さんのスタジオで、本人が作った音を聴けるなんて、なかなかありませんからね。
さらにご本人にBAR1300MK2の音を認めてもらえたんだから、自信を持っていいと思いますよ。イマーシブ再生のオールラウンドプレーヤーとしても活躍してくれるでしょう。今後の課題としては、既にIMAX Enhancedにも対応しているんだから、AURO-3Dも再生できるといいと思います。
入交 BAR1300MK2は、映画だけでなく、音楽鑑賞でも勝負できる製品になっています。とても満足度の高い製品ですと、JBLの開発チームの皆さんにも伝えてください。
根木 ありがとうございます。ぜひ伝えたいと思います。
(まとめ:泉 哲也)
今回の取材は、奈良市にある「ならまちスタジオ」にお邪魔している。ここはドルビーアトモスやAuro-3Dといったイマーシブ・オーディオのミックス作業や検証を行うために入交さんが新たに開設したプライベートスタジオで、両フォーマットのために最適配置した2種類のマルチチャンネルシステムも準備されている。その詳細は近日改めてお届けするので、お楽しみに
作品が持つ音情報を、高忠実度で再現する。
「BAR1300MK2」は、まさにハイエンドと呼ぶに相応しいサウンドバーだ …… 麻倉怜士
今回、ならまちスタジオでJBL「BAR1300MK2」を使って様々な音源を聴きましたが、ハイファイに伝えるサウンドバーだということが確認できました。2チャンネル音楽から、映画のマルチチャンネル再生まで、いずれも高解像度で、安定性が高い、高品質なサウンドが得られています。
まず2チャンネル音楽CDの再生が、優れています。一般的なサウンドバーは、映画は迫力の音を発するが、音楽は不自然というのが普通です。でも、BAR1300MK2は実にオーディオ的ですね。まるでハイファイ用のスピーカーで再生しているようなワイドレンジ感、構造感、スピード感があります。音の素性が良く、音の飛び感、包囲感のクォリティが高い。
ウルトラアートレコードの新譜『情家みえ/ボヌール』では、くっきりと伸びたヴォーカル、明確な節回し、キレがシャープな伴奏のバンド音……と、ジャズのグルーヴがリアルに聴けました。ここまでの音質は、サウンドバーではたいへん珍しい。
映画も素晴らしいですね。UHDブルーレイ『アリー/スター誕生』からチャプター7の「シャロウ」。冒頭のギターが生々しく響き、男性歌手の声のボディがエネルギッシュで、エッジが鋭い。レディー・ガガの声は輪郭が明確に再現されています。特筆すべきは、リッチな音場感です。ドルビーアトモスで再生しましたが、ガガの圧倒的に鋭い歌唱が豊かなアンビエントを伴い、部屋一杯に拡がる様は感動的でした。これは絶対的にワイヤレスリアスピーカーの賜物でしょう。
低音の質も良い。ユニットを2基搭載した密閉型サブウーファーは、低音の量感と質感がバランスし、スピードが速く、しかも解像度が高い。サウンドバー付属のサブウーファーの域を超えた上質な低音です。作品が持つ音情報を高忠実度に再生するまさにハイエンドなサウンドバーであると聴きました。