秋葉原電気街で長年親しまれてきた老舗書店「万世書房」が、惜しまれつつ12月に幕を下ろすことになった。
昭和26年(1951年)創業の万世書房は、JR秋葉原駅に隣接する秋葉原ラジオセンター内に店舗を構え、電子工作や無線関連の技術書、ラジオ・オーディオ誌などを専門に扱ってきた。
現店主の霜鳥和子さんは、初代店主である父親から昭和43年に店を引き継ぎ、この道57年。気さくな人柄で常連客に親しまれている。霜鳥さんは「たった一坪の本屋って考えられる?」と笑う。創業以来74年、万世書房は文字通り“たった一坪”の店で営業を続けてきた。
店頭にはぎっしりと並ぶ本は、霜鳥さん自身が自転車を走らせて仕入れてきたものだ。弊社刊行の「ステレオサウンド」や「管球王国」、ステレオサウンド別冊も長年にわたって取り扱われ、読者のもとに届けられてきた。
閉店の報を受け、東北から新幹線で駆けつけたかつての常連客もいたという。万世書房が多くの人にとって思い出の場所になっていることがうかがえる。
霜鳥さんによると最終営業日はまだ確定していないが、12月21日ごろになりそうだという。残りわずかとなったこの機会に、秋葉原に足を運ぶ際は万世書房を訪れてみてはいかがだろうか。
閉店後のことを尋ねると「終活で家の片付けでもして過ごすわ!」と笑顔で話してくれた。どうかこれからも元気に新しい日々を楽しんでほしい。
最後に、愛をこめて──今までありがとう、万世のおばちゃん!