一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が主催するメディア総合イベント「Inter BEE 2025」が、11月19日~21日まで千葉・幕張メッセで開催された。本記事でも第一回に引き続き、編集部が気になった展示を紹介したい。

GENELEC

ミッドフィールド・モニター「8380A」

本体背面にはアンプモジュールが格納されている

 ジェネレックジャパンのブースには、新型ミッドフィールド・モニター「8380A」が初展示された。The ONEシリーズで開発されたポイント・ソース理論に基づいた25mmツイーター+125mmミッドレンジの同軸ユニットと380mmウーファーを搭載した3ウェイ2スピーカーという構成で、同軸ユニットは8380Aのために設計されたという。

 背面にはパワーアンプモジュール「RAM-L2」を搭載。ウーファー用に500W、ミッドレンジ用が250WのD級アンプを、ツイーター用に200WのAB級アンプを備えている。なおこのアンプモジュールはスピーカーとはスピコン端子でつなぐ仕様なので、通常は本体背面の窪みに収納されているが、必要に応じて取り外してもいいとのことだ。

 設置場所にスピーカーを最適化させるGLMソフトウェアにも対応しており、理想的な試聴環境の構築も可能とのこと。同社ではモニター用としてはもちろん、オーディオユーザーにも体験してほしいと話していた。

日本音響エンジニアリング/TRINNOV

社員中央がルーム・チューニングツールの試作モデルで、両脇は現行モデル「ANKH」

 ヒビノグループのブースでは、日本音響エンジニアリングのルーム・チューニングツールの試作モデルを展示、実際に音楽を流してその効果を確認できるようになっていた。

 今回の新製品は、現行モデルの「ANKH」と基本的な構造は同じだが、厚みが30cmに増え、同時に聴音用のポールが19本から24本に増えている。これにより、より濃密で力強い音が楽しめるようになったという。

 今回の試作モデルはANKHを2台置けない場合などに1台でも充分な効果が得られるとのこと。2026年春の発売を予定しているそうで、ルームチューンでの活躍の場を広げるアイテムとして、正式な登場が楽しみだ。

トリノフのオーディオプロセッサー「NOVA」

 その隣では、TRINNOV(トリノフ)のオーディオプロセッサー「NOVA」とATCのアクティブスピーカーを組み合わせた環境も準備され、NOVAによる音響補正効果の有無を体験できるようになっていた。

 NOVAは2ch用だが、オプションで最大6チャンネルまでの音場補正が可能。つまり5.1chなどのサラウンドシステムやマルチチャンネル駆動にも使えることになる。専用マイクも付属しているとのことで、ハイエンド・オーディオファン向けにも展開して欲しいアイテムだ。

Live Extreme/Theater Viewing CMS

劇場向けの配信システムをシミュレーション

「Theater Viewing CMS」の操作画面

 ヒビノブースの一角では、コルグが展開するLive Extremeのデモも行われていた。Live Extremeは4Kとハイレゾ音声の配信が可能なプラットフォームで、ライブ作品の配信サービス等でも採用されている。

 今回は、映画館などでのライブビューイングに特化し、配信からスクリーンでの上映までを一元管理できる「Theater Viewing CMS」というシステムを提案している。再生デバイスにはApple TVを使い、ここから専用サーバーにアクセスするというもので、Apple TVと劇場サーバー間のHDMIの接続性なども検証済だそうだ。

 ドルビーアトモス音声や4K HDRの配信にも対応し、また上映チェック用のテストトーンなども準備されている。上映のスケジュール管理もサーバー側から可能とのことで、劇場の負荷が減ることも大きなメリットとのことだ。

Qooop

4K/120pの映像を、テレビの機能を使って再生

4000nitsでグレーディングした映像もデモされていた

 映像プロダクションのQooopでは、昨年に引き続きプログレッシブ映像をデモ。今回は4K/120pコンテンツを、業務用サーバーではなくUSBメモリーに保存、ソニー・ブラビアにダイレクトにセットして再生していた。120pの高品位な映像がここまで手軽に再現できることに、来場者も驚いている様子だった。

 その隣には同社の高画質評価用標準動画集「QT-Series」の新提案として、新たに4000nitsでグレーディングした映像も上映されている。これまで多くのスタジオモニターも1000nitsまでの対応だったので、それを超える映像のニーズは少なかったそうだが、最近は1000intsを超えるモニターも出てきたとかで、新しい需要に応えるために製作したそうだ。

 実際に4000nitsでグレーディングした映像については、ピーク輝度についてはそこまで極端な違いはないのだが、人物の肌や車のメタル感などの表現がより濃密で階調感も豊かになるとかで、映像制作時にもメリットがあるとのことだった。