米国ケニヨン(KENYON)のT-108は真空管アンプ自作ファンには注目のプッシュプル用ヴィンテージ出力トランスです。出力15W型で、2A3プッシュプル・パワーアンプに搭載した『管球王国』118号「実験工房」企画の試聴では、柔らかみを伴って中域が充実し、音楽にスッと入っていける味わい豊かな音が素直に得られました。1次インピーダンス1kΩ~20kΩ、2次0.5Ω~2.4kΩの範囲で使えるユニバーサル型で、幅広い出力管のプッシュプルアンプが想定できます。ヴィンテージオーディオ専門店ウエスタン サウンド インク(W.S.I.)の協力により、ステレオサウンドストアでケニヨンT-108を頒布中です。

 W.S.I.の土井雄三氏は、かつて、プレート電圧を500V程度に抑えた211プッシュプル単段ブースターアンプの出力トランスとしてケニヨンT-108を使われました。ウェスタン・エレクトリック(WE)43を代替できるブースターとして出力管WE製211で自作。WE41+42と組み合わせて、18インチ口径モーショグラフSE7034ウーファー/WE KS-6368ホーン+WE555ドライバー/アルテック3000Bトゥイーターの3ウェイシステムを鳴らされたとのこと。プッシュプル出力段での幅広い使い方が考えられる、魅力あるヴィンテージ出力トランスです。

『管球王国』118号「実験工房」企画では、ベル研究所が開発した「2B」をベースとする2A3プッシュプル・モノーラルパワーアンプでT-108を試聴しました。