クリエイティブメディアから、xMEMSドライバーを採用したワイヤレスイヤホン「Creative Aurvana Ace」シリーズに、最新モデルとなる「Creative Aurvana Ace 3」が登場した。新たに、LDACコーデックへ対応したり、サウンドパーソナライゼーション機能「Mimi」を備えるなど、音質をさらに一歩進化させた注目の製品。この最新モデルをいち早くテストしてみた。
完全ワイヤレスイヤホン
クリエイティブメディア
「Creative Aurvana Ace 3」
¥24,800(税込) 2025年10月22日発売
●Creative Aurvana Ace 3の主な仕様
通信規格:Bluetooth 5.4
対応コーデック:SBC、AAC、aptX Adaptive、aptX Lossless、LDAC、LC3
ドライバー:xMEMSドライバー+10mm径ダイナミックドライバー
再生周波数帯域:5Hz~40kHz
音楽再生時間(ノイズキャンセル機能オフ):イヤホン単体 約7時間、充電ケース併用 約26時間
充電:Qi互換ワイヤレス充電、USB Type-C
防水規格:IPX5相当(左右各イヤホン本体)
ノイズキャンセル:〇(ハイブリッド アダプティブANC)
スマホアプリ:〇(Creative App)
SXFI:〇(レディ、アプリで対応)
Mimiサウンドパーソナライゼーション:〇
付属品:シリコンイヤーピース(XS/S/M/L/XL 5種類)、充電用USB-Cケーブル(Type C-to-A)、クイックスタートガイド、キャリーポーチ
【直販ストア・期間限定】発売記念 特別価格
「Aurvana Ace 3」の発売を記念して、直販ストア「クリエイティブストア」では、2025年11月14日 11:59AMまでの間、5000円オフの¥19,800(税込)で購入できるキャンペーンを実施中
クリエイティブの「Aurvana」シリーズは、高音質を追求したサブブランドであり、中でも完全ワイヤレスイヤホンの「Aurvana Ace」は、2023年12月の誕生以後、順調にラインナップを増やしており、バリエーションが豊富なことも大きな特徴。初登場時の「Aurvana Ace/Ace 2」は、話題のxMEMSドライバーを搭載した最初のモデルであり、コーデックはaptXとBluetoothの新しいオーディオ規格LEオーディオ(LC3)をサポート。上位機のAce 2はさらに、aptX Losslessにも対応する。カラーはブラック&カッパーで、Ace 2はトランスルーセント(半透明)ボディとなっている。
▲Aurvana Aceシリーズ。左上から時計周りに、「Aurvana Ace」「Ace 2」「Ace Mimi」「Ace SXFI」。中央が本稿の主役「Aurvana Ace 3」。手前のイヤホンは、左から「Ace」「Ace 2」「Ace 3」「Ace Mimi」「Ace SXFI」
シリーズ共通の特徴としては、半導体チップなどと同様の製造工程で作られるxMEMSドライバーを採用していること(小型・高性能・低コストなどの特徴を持つ)。これに10mm口径のダイナミックドライバーを組み合わせた2ウェイ構成となっている。アクティブノイズキャンセル(ANC)機能は、Aurvana Ace 2とAce 3がアダプティブANC、その他はハイブリッドANCに対応。防滴性能はIPX5相当、Qi規格互換のワイヤレス充電に対応する。
ここに今春、「Aurvana Ace Mimi」というモデルが追加された。こちらはバッテリー寿命が最大28時間(イヤホン単体約7時間)に伸び、aptXを省略した代わりにLDACコーデックをサポート。さらに、個々の耳の特性に合わせて再生する音を最適化してくれるサウンドパーソナライゼーション機能「Mimi」が追加された。
「Aurvana Ace 3」は、aptX Lossless/AdaptiveとLDACの両方をサポートしたほか、Aurvana Ace Mimiのサウンドパーソナライゼーションにも対応したモデル。これまでのシリーズのほぼすべての機能を備えた最上位機となる。バッテリー寿命は最大26時間(収納ケース併用)となっている。なお、外観は多少の変化を別にすれば、シリーズを通じてほぼ同じデザインを採用しており、カラーはAce Mimiと同じミッドナイトブルーで、Ace 3はミッドナイトブルーのトランスルーセント仕様になっている。
このほかに派生モデルとして、クリエイティブ独自の立体音響技術である「SXFI」に対応した「Aurvana Ace SXFI」(2025年6月発売)もある。他のシリーズはSXFIアプリと組み合わせて使用可能な「SXFIレディ」だが、Ace SXFIはイヤホン内部にSXFIアプリがプリインストールされており、CD音源、音楽ストリーミング、映像配信など、様々なコンテンツをSXFIで楽しむことができる。対応コーデックはAAC、SBCのみ、バッテリー寿命は最大約28時間(イヤホン単体約8時間)だ。こちらは外観も少々異なる。
「サウンドパーソナライゼーション」で音質はより芳醇になる。積極的に使いたい
「Aurvana Ace 3」とAce Mimiの新機能である「Mimiサウンドパーソナライゼーション」は、アプリでユーザーの聴力を測定し、個々人の聞こえ方に合わせて再生音を最適化してくれる機能だ。加齢による高域や低域の聴力低下への対応はもちろん、小さな音や人の声などの聞き取りや、騒音の中での聞こえ方など、人によってそれぞれに異なる聞こえ方の違いを測定・分析することで、最適な音質へ調整することができる。
聴力測定は「Creative App」で行なう。テストではさまざまな周波数のスイープ信号が再生されるので、聞こえたら画面(ボタン)をタップ、聞こえなくなったら(指を)離す、という操作を、右耳、左耳で繰り返す。テストはなるべく静かな場所で行なうことが必要で(騒音レベルの多い場所ではテストが実行できない)、テストには数分ほどがかかるので、家の中の静かな場所など、環境を整えてからテストしよう。
まずは、生まれた年を入力する。これで一般的な人間の加齢による聴力の低下に合わせた補正ができる。続いて本格的なテストを実行しよう。テストが終了すると右耳、左耳それぞれのテスト結果が表示される。測定結果を好みに合わせて微調整することもでき、「より柔らかく/おすすめ/より豊かに」の3つから選択できるほか、かかり具合(強度)を0~100%の間で選べるようにもなっている。
▲Mimiによるパーソナライゼーションの画面。測定は4~5分ほどで完了する。測定時にはかなり小さな音を聞くので、静かな環境の中で行ないたい
実際にテストをして試してみた。微調整はせず、おすすめ」を選び、強度は100%の初期値としている。ON/OFFで違いを確かめてみると、まずは高域がより豊かに聴こえるようになり、音数が増え、広がり感も豊かになる。50半ばという年齢を考えると理解しやすい違いだ。それだけでなく、定位感も良くなるし、中域の厚みや低域の伸びなども微妙に違いがあることが分かる。いずれにしても、より聴きやすく楽しめる音になったと感じた。これは、左右の耳の聴力の違いが補正されたことなどもあるだろうし、個人的な印象としては、サウンドパーソナライゼーションをオンにした時の方が、声の質感や音の広がりなどは豊かになるし、イコライザー(EQ)のように大きく音質が変化するわけでもないので、素直に音が良くなったと感じる。好みで使い分けられるので、気軽に使うといいだろう。
音の粒立ちもよく、広がり感も優秀。パーソナライゼーション効果と合わせ、より上質なサウンドが楽しめる
ここからは、音質インプレッションを紹介していこう。アダプティブANCは、ノイキャンが自慢のモデルのように、強烈に効果を実感するものではないが、野外での車の走行音や風の音などの低周波を中心にしたノイズをきちんと消して、静かな環境が得られるし、室内のエアコンの暗騒音もきれいに落としてくれる。それでいて、変に静かになりすぎる不自然さもないので、日常的に使いやすい。ANCのオン/オフによる音質の変化も少ない。
▲「Creative App」の画面。LDACは中央の写真の項目でオンにすると使えるようになる
音質のテストでは、Astell & KernのDAP「PD10」を使用し、コーデックはLDACで聴いている。従来のAurvana Ace/Ace 2の印象からすると、より上質になったことが印象的だ。xMEMSドライバーの効果を狙って、軽いドンシャリ傾向もあったが、それが抑えられてフラットなバランスに近づき、気持ちよく聴けるHiFi調のサウンドと感じる。近年では、xMEMSドライバー搭載のモデルは他社を含めて増えてきており、多くがオーディオ的な高性能(高音質)をアピールしているので、それらを意識したのかもと感じる。サウンドパーソナライゼーションの効果もあって、ひとつひとつの音の粒立ちが向上し、質感も豊かに再現する上質なサウンドが身上と感じた。
最近よく聴いている、お気に入りの曲である、米津玄師と宇多田ヒカルのデュエット曲「JANE DOE」では、しっとりとしたイントロのピアノ、耳元でそっとささやくような宇多田ヒカルの声、米津玄師のハスキーな声にも男声らしい厚みがあり、質感がとても豊か。ふたりの声がからみあうコーラス部分も分離がよく、せつない恋の歌をうたう情感が芳醇に伝わってくる。くっきりと聴きやすい音という「Aurvana Ace」シリーズに通じる良さは残しながらも、質感や空気感、音の広がりや開放感がより鮮やかに再現されるようになったことで、xMEMSドライバーの高性能さをより感じられる音質的な向上を果たしたと思う。イヤホンとしての実力も、よりHiFi的な意味での実力が高まっている。
このあたりは、xMEMSドライバーの使いこなしもあるし、それを生かすための「サウンドパーソナライゼーション」もあるだろう。基本的には同じドライバーを使いながらも、大きな進化を果たしたと言える。もちろん、優れた高域を支えるダイナミックドライバーによる低音の再現性も良い。しっかりと低音域まで伸びつつ、膨らみすぎず歯切れのよいリズムを刻んでくれるし、タイトになりすぎて重心が高くなってしまうようなこともない。リズムの反応の良さは「Aurvana Ace 3」の大きな魅力のひとつだと感じる。
より高音質になり、音にこだわる人にも満足度の高いワイヤレスイヤホン
クリエイティブメディアの完全ワイヤレスイヤホン・Aurvanaシリーズは、音質にもしっかりとこだわったモデルではあるが、xMEMSドライバー搭載のAurvana Aceシリーズでより高音質を楽しめるモデルになった。その最新モデルである「Aurvana Ace 3」は、ワイヤレスイヤホンとしての実力もさらに進化し、大きく実力を高めたモデルだ。ノイズキャンセルの効果も充分に優秀だし、バッテリー寿命などの基本的な実力も優れるので、日常的な使いやすさの点でも優秀だ。
音質の点でも、高音質で評判となっているモデルと充分に並ぶ実力を持っていると思う。そしてなにより「サウンドパーソナライゼーション」は注目すべき機能だし、その効果も大きい。ぜひともその実力を試してみてほしい。
▲今回装着モデルを務めてくれた、アイドルグループ「いちごみるく色に染まりたい。」のリーダー安土姫華さん。11月23日(日)には、グループ結成9周年記念ライブが、高田馬場BSホールで開催予定