アーク・ジョイアから、スイス・ソウリューションのステレオ・パワーアンプの最上級7シリーズの新製品となる「717」が、10月23日に発売される。価格は¥18,700,000(税込)。

 717は、同社において10年以上にわたってフラッグシップ・ステレオ・パワーアンプの座にあった「710」「711」超えるパフォーマンスを実現すべく、ゼロから開発された最新モデルになる。

 同社最上位の“7シリーズ”では、忠実な音楽再生追求のため、製品の内部回路設計においてコストやサイズなど一切の妥協を排除。すべてに最高品質のコンポーネントを使用し、かつ最先端な技術を投入しながら、その妥協なき内部回路を収容するために最善で最適な筐体を後から設計するというこだわりをシリーズ・コンセプトとしているそうだ。

 その結果、2MHzを超える広帯域幅と、120dB(DC)を超えるループゲインを誇り、位相コヒーレンス、および歪率において新たなベンチマークを確立したという。さらに、各チャンネルあたり8パラレル・プッシュプルによる強力なクラスAB駆動を採用し、瞬間的に400A以上の電流を容易に生成する出力段を搭載。加えて、本機を2台使用すると、バイアンプ・モノラル駆動も可能。新たなフラッグシップとして、圧倒的な低歪み・低ノイズ性能と優れた位相特性を備え、あらゆるスピーカーの潜在能力を余すことなく引き出す、と謳っている。

世界最高峰を志向する新たな到達点―Soulution 717

 従来機「711」の登場から約12年。ついに誕生した後継機になるのが今回の新製品「717」。設計は完全にゼロから刷新され、その性能は従来モデルを凌駕するという。

 革新的なアンプ・トポロジーにより周波数帯域は2MHzを超えながらも、歪みとノイズを極限まで抑制。4基の600VAスイッチング電源モジュールを出力基板へダイレクトに接続することで、接触抵抗を排し、極めて短い信号経路を実現。結果として、高い解像度とリアリズム、制御された重厚で力強い低域、音楽本来の自然な美しさー nature of sound ―を余すことなく再生できるとしている。

設計コンセプトを体現する理想的な回路設計

 左右チャンネルの回路を完全に独立させたデュアル・モノラル構成を採用し、相互干渉を徹底的に排除。これにより、卓越したチャンネル・セパレーションを実現。

 さらに、革新的なバランス設計の入力段によって、外来ノイズの影響を受けることなく高い同相除去比を達成。ごく微弱な音楽信号までも正確に伝達可能に。コモンモード除去比の最大化とノイズ性能の徹底的な低減、そして信号経路内の無駄を徹底的に排除した結果、音楽に込められた空気感や演奏者の息遣い、情熱を余すことなく再現可能になる、としている。独自性と洗練を兼ね備えたこの回路設計は、パワーアンプの理想を体現する完成度を誇る。

あらゆるスピーカーを駆動する強力な増幅回路

 出力増幅段にはチャンネルあたり16基のパワートランジスタを搭載し、8パラレル・プッシュプル構成によるクラスAB級で動作。バイアス電流制御回路が各トランジスタの瞬間電流を監視し、最適なアイドル電流を維持することで、最適かつ均一な動作状態を維持。これにより、400Aを超える電流パルスの生成を実現した。

 その結果、極めて微小な信号から、大電流が求められる低域再生までを正確かつ瞬発力豊かに再現し、スピーカーの性能を最大限に引き出すことが可能という。

 さらに、本機を2台使用することで、強力なモノラル駆動に加え、バイワイヤ端子を備えたスピーカーの中高域用・低域用端子をそれぞれ独立して駆動する理想的なバイアンプ構成も実現する。

比類なき新設計の電源部

 長年の研究の結果、アンプの「定格出力」ではなく回路に供給される「瞬間的ピーク電力」がスピーカーの真価を引き出すうえで最も重要であることが明らかになったという。

 従来モデル711では、主電源にスイッチング電源、補助電源に複数のリニア電源を採用していたが、本機ではアンプ回路に必要なすべての電圧をスイッチング電源で供給。主電源に搭載された新型スイッチング電源モジュールは、従来機同様1基あたり600VAを供給しつつ、5秒間で最大2,280VAものピーク電力を供給し、従来比3.8倍、合計で9,000VAを超える供給能力を実現した。

 さらに、安定化電源の出力インピーダンスは関連周波数帯域全域で極めて低く維持されるため、大型フィルタコンデンサを必要とせず、より純度の高い音楽信号をスピーカーへ伝送可能に。補助電圧はSMPSモジュール、DC-DCコンバーター、そして超低ノイズのリニアレギュレータにより生成され、微小信号セクションのノイズを最小限に抑制。信号経路も最短化され、電源由来のノイズを徹底的に排除している。

圧倒的な広帯域と新基準の低歪み

 負帰還型アンプ設計においては、動作が安定している限りループゲインが大きいほど優れたサウンドを得られるという。そこで本機では、新開発の電圧増幅段によりループゲインを大幅に向上。さらに周波数帯域幅を約 2MHzまで拡張することに成功した。帯域幅の拡大により位相応答性が改善され、音楽信号を変質させることなく忠実な再生を実現。2MHzを超える広帯域特性、120dBを超えるループゲイン、そして超線形帰還ネットワークを備えた717は、従来モデルを凌駕する歪み性能とノイズ性能を達成。その結果、雄大でホログラフィックなサウンドステージと、着色のない極めて高い透明感を備えた再生を可能にしたと謳っている。

長期利用を想定した安全性能

 過大入力・過電流・過熱に関して常時各回路を自己モニターしており、動作や長期安定性に悪影響を及ぼす要因を未然に防ぐ保護機構を搭載。長期使用において必要な安全性に大きく配慮した設計としている。

製品の主な仕様
型式:ステレオ・パワーアンプ
入力系統:バランス(XLR)×2
出力系統:バランス(XLR)×1
定格出力:Stereo/Dual:2×150W @8Ω、2×300W @4Ω Mono:600W @8Ω、1,200W @4Ω
周波数特性:0~2MHz
S/N比:108dB @1kHz
歪率(THD+N):0.001%以下
入力インピーダンス:4MΩ
ゲイン:26dB
ダンピングファクター:10,000以下 @100Hz
消費電力:最大1600W、スタンバイ時0.5W以下
外形寸法:W480×D525×H350mm(突起部含む)
重量:50kg