映画『トロン:アレス』が、10月10日(金)から全国の劇場でロードショー公開された。1982年に世界で初めて長編映画としてCGを本格導入、革新的なビジュアルで世界を席巻した伝説の映画『トロン』。2010年には続編となる『トロン:レガシー』も公開され、28年の映像技術の進化に驚いた方も多いはずだ。それから15年、今回『トロン』シリーズ最新作として『トロン:アレス』が日米同時公開された。

STORY:AIプログラムの実体化によって誕生した、AI兵士アレス。圧倒的な力と優れた知能を備えた究極の兵士だが、AI 兵士が現実世界で生存できるのはわずか29分間だった。やがて永遠を求めてAI兵士たちは暴走を始め、デジタル世界が現実世界を侵食していく……

 本作はシリーズとして初めて、グリッド世界(プログラムたち)が現実世界に出現するという展開で、過去の2作品とは違い、グリッド世界と現実世界の境界がやや曖昧になっている。バーチャル世界が身近になっている現在を表しているのかもしれないが、往年のファンとしてはここが好みの分かれるところかも。

 というもの、ハードSFファンの一人としては、グリッド世界だからこそ許されていたアイテムが3Dプリンター感覚で現実世界に出現するあたりに、ちょっと違和感も覚えた次第(そんなツッコミはやめろと言われそうだけど)。

 とはいえ最新CGで描かれる街中でのライトサイクルの爆走シーンや、懐かしい背景描写内での黄色いライトサイクルの直角ターンなどなど、往年のファンならグッと来るカットも散りばめられていて、やっぱり『トロン』はこういう描写が見どころなんだよなぁと嬉しくなったのも事実。記憶の奥に刷り込まれている、”愛すべき映像美” というものはみんなあるんじゃないかなぁ。

 ちなみにシリーズ第3作ではあるけれど、メインキャストはほぼ入れ替わっているし、ストーリー的にも世代代わりしているので、過去の作品を見ていなくても楽しめるはず。まずは、大きなスクリーンでの “見たことのないビジュアル体験” という、初代『トロン』が提唱した世界を、今日のクォリティで堪能してみてはいかがでしょう。 (文:泉哲也)

『トロン:アレス』 (10月10日、日米同時公開)
●監督:ヨアヒム・ローニング●キャスト:ジャレッド・レト、他●配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
https://www.disney.co.jp/movie/tron-ares

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