ファーウェイ・ジャパンから、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「HUAWEI FreeBuds 7i」が発表された。発売は10月24日で、価格はオープン。本日より予約を受け付けている。

 さて、今回発表のHUAWEI FreeBuds 7iは、同ブランドのミドルクラス・FreeBuds iシリーズの新製品となり、音質を含め、特徴的な各機能をブラッシュアップしてきたのが特徴となる。さらに、近年話題を集めている「空間オーディオ」機能に、ファーウェイとして初対応したのも注目点だろう。

 このクラスでは、ノイズキャンセル機能の効果も製品の購入動機に大きな影響を与えるが、ファーウェイでは購入しやすい価格帯(15,000円以下)の中にあって、選択してもらえるように、平均で-28dBという高いノイキャン性能を達成。これは、ファーウェイの誇るノイキャン機能「インテリジェントダイナミックANC」が「4.0」へと進化したことで実現したものとなる。

 短い時間ながら製品をテストすることができたのでその感想を記すと、周囲の騒音を完全になくす、というよりは、より耳につきやすい騒音(ノイズ)を的確に消してくれる、という感覚となる。試しに電車の中で使ってみると、10月になったとはいえまだまだ暑い日が続くこともあって、車内ではエアコンが全開で、ボーっという送風音がかなり耳につくが、ANCを入れると、そのボーっという音がスッと聞こえなくなり、より楽曲に集中できるようになった。一方で、最低音の部分は薄く残っているので、周囲の状況は確認できる。ただし、周囲の騒音の大きさによって、アナウンスの聞こえ方が変わり、騒音電車の田園都市線では、消えてしまう(何か流れているのは分かるが、内容は把握できない)。静かになるので、(アナウンスも聞き取れないし)寝過ごしには注意したい。

 空間オーディオはアプリでオンオフ可能で、さらに頭動きに合わせて音の定位が動く(前方に固定する)ヘッドトラッキングにも対応している。ゲームには疎いので、映像配信コンテンツでチェックしてみると、劇的に空間が大きくなる……というよりは、左右と上方に控えめに空間が大きくなる印象。セリフは少し強調されるようで、音量が少し上がるのと同時に、音像も少し持ち上げられるようになる。聞きやすくなるので、映像コンテンツをメインに楽しむ場合は、常時オンでもいいかもしれない。ちなみに、音楽コンテンツでも試してみたが、傾向は同じ。ボーカルが少し強調され、音像が大きくなるので、ボーカルメインのコンテンツとの相性はいいようだ。

空間オーディオには右の写真のように4つのモードがある

 次に音質についても紹介しておきたい。搭載ドライバーは11mm径のダイナミック型で、マグネットはクアッド仕様に強化されている。ということもあってか、低音は量感のある再現が楽しめる(うるさいということはない)。また、BluetoothコーデックではLDACをサポートし、ハイレゾ認証も取得しているので、レンジの広い、繊細なサウンドを奏でてくれる。面白いのは、本HUAWEI FreeBuds 7iも、LDACにするのはアプリでの選択(「音質優先」を選ぶ)になるのだが、いったんLDACを選んでおけば、他のスマホやDAP(Android、非Androidモデルともに)と接続しても、LDACで接続できたこと。どうやら、LDACモードを固定できるようになったらしい(おっと思って「FreeBuds 6」をテストしてみたが、こちらは引き続きアプリで選択しないとLDACにならなかった)。

左はファーウェイアプリの画面。「音質を優先」を選ぶと、LDACが使えるようになる。右はスマホの画面。ワイヤレス(Bluetooth)の品質を選ぶもので、初期状態では「自動」になっているので、「音質優先」にすること。接続性は悪くなるが、音質は各段によくなる

 スマホだけでなく、DAP(Android/非Androidモデルともに)と接続してもきちんとLDACになったが、注意したいのは、プレーヤー側のLDAC設定が初期状態では「接続優先(自動/ベストエフォートなど)」になっているのが多いこと。接続後はひと手間増えるが、接続状態を「音質優先」にしておきたい(かなり音質が変わる)。言わば、ファーウェイのアプリとプレーヤーの設定で2回、「音質優先」になっているかの確認が必要、ということになる。

 音質チェックは、LDAC(音質優先)で行なった。さすがはLDACだけあって、音場感や精細感も高く、厚みのあるクリアなサウンドが楽しめた。記者の耳の傾向かもしれないが、音の定位は後頭部寄りになるので、そこは少し気になった。コンテンツをハイレゾにすると、音の緻密さが向上し、消え際の余韻も豊かになり、ハイレゾコンテンツが持つ情報量をきちんと再現してくれているのが分かった。日常使いしたいし、ANCも効果の高いものが欲しい、さらに音質にもこだわりたいし、流行の空間オーディオも楽しみたい。そうした欲張りなニーズに応えてくれるコスパモデルと言えるだろう。