監督 ポール・トーマス・アンダーソン✕主演 レオナルド・ディカプリオによる『ワン・バトル・アフター・アナザー』が、いよいよ本日(10月3日)全国公開される。
ディカプリオが演じるボブは、元・武力革命グループ「フレンチ75」のメンバーで、現在は身を隠して生活していたが、娘のウィラ(チェイス・インフィニティ)が誘拐されたことをきっかけに、救出のために奔走する。そこに、ボブを執拗に追う変態軍人のロックジョー(ショーン・ペン)、ボブをサポートする神出鬼没なセンセイ(ベニチオ・デル・トロ)というといった癖の強い面々が加わり、逃走劇&闘争劇が展開される。
本作は既に、スティーブン・スビルバーグやマーティン・スコセッシを始めとする国内外の映画関係者から高い評価を集めている。今回ワーナーから試写に呼んでもらったので、一足先に拝見したが、まさにその評価通り、冒頭のアクションや意味深な描写に始まり、そこからテンポよく畳み掛ける演出で、あっという間に作品に引き込まれてしまった。
次々に巻き起こる事態に、愚痴を吐きながら必死に対処していくボブ。そのキレた演技やしょぼくれたシルエット、いかにも中年オヤジ風の運動能力などなど、演技とわかっていても応援したくなってしまうはず。これはショーン・ペンやベニチオ・デル・トロも同様で、いかにもアメリカの街中に居そうな曲者感(若干ステレオタイプではあるが)が漂っている。彼らの芸達者ぶりのおかげで162分という長丁場も飽きることはなかった。
さらに本作を見終わって印象に残ったのが、作品の根底に流れるアンダーソン監督(もしくはハリウッド)の反骨精神だった。そこには現在のアメリカ社会が内包する問題が、ブラックユーモアを交えて描き出されている。特にロックジョーがこうあるべきと考える理想の姿と、実際に自分の中から沸き起こる衝動の間で揺れ動く様子など、思わずニヤリとしてしまう(その結末にも)。
そして映画ファンとしては、本作がビスタビジョン撮影されていることも大いに注目すべきだろう。ビスタビジョン撮影は1950年代にパラマウントが開発したもので、35mmフィルムを横方向に走らせて、通常の倍のフィルム面積を使って撮影するもので、情報量の多い、高精細な映像が撮影できるのが特長という。
劇場公開時はアスペクト比1.85:1(アメリカンビスタ)だが、それに加えてドルビーシネマや、IMAX史上初となる全編1.43:1画角での上映も行われるという。詳細は避けるが、クライマックスのカーチェイスシーンは縦方向の見え方もひじょうに重要で、ここをIMAX画角で見たらどれほどの没入感を楽しめるのか気になっている(試写はIMAXではなかったので)。ぜひ、ドルビーシネマやIMAXのラージフォーマットで没入体験して欲しい必見作だ。 (取材・文:泉哲也)
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
●公開日:10月3日(金)全国公開IMAX/Dolby Cinema同時公開●監督/脚本:ポール・トーマス・アンダーソン●撮影:マイケル・バウマン、ポール・トーマス・アンダーソン●音楽:ジョニー・グリーンウッド●2025年アメリカ映画●上映時間:162分●映像:ビスタサイズ/2D/IMAX 2D/ドルビーシネマ2D●音声:リニアPCM5.1ch、リニアPCM7.1ch、ドルビーアトモス(一部劇場にて)●字幕:松浦美奈●配給:ワーナー・ブラザース映画
<出演>レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、レジーナ・ホール、テヤナ・テイラー、チェイス・インフィニティ
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