「iFデザインアワード2025」を受賞したACEFASTのオープン型完全ワイヤレスイヤホン「ACEFIT Pro」。デザイン、優れた装着性、音質を備え、夜間のランニングにも便利なLEDライト夜光機能も搭載した逸品

　充電器やオーディオ機器など、モバイル系の電子機器を製造・販売している中国のブランド「ACEFAST」（エースファスト）から、収納ケースやイヤホン本体にLEDライト夜光機能を仕込み、耳元を優しい光で包み込むように発光演出してくれるオープンタイプの完全ワイヤレスイヤホン「ACEFIT Pro」が発売中だ。ほのかな灯りでありながらしっかりと周囲に存在を促す充分な照度を持ち、明滅を繰り返すさまは、まるでホタルのよう。ここではその「ACEFIT Pro」をピックアップし、LEDライト夜光機能や装着感、音質について紹介したい（提供された製品でレビューしている）。

　ACEFASTは、2020年春に創業という比較的若い企業ながら自社内に研究・開発部門を持ち、最新の技術をいち早く取り入れ、ユーザーに便利で楽しい製品を送り出すことを目標に活動しているテックブランドだ。今回紹介する「ACEFIT Pro」以外にも、カナル型の完全ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスヘッドホンなど多数のポータブルオーディオ機器を販売しており、カラフルなカラバリを揃えていたり、バッテリー残量の表示機能を備えるなど、おしゃれで便利な製品を多数展開している。

質感が高くて手触りもいい。所有する喜びを感じられる優れたデザイン

　さて、「ACEFIT Pro」の一番の特徴として、その外観とLEDライト夜光機能が挙げられるだろう。収納ケースは平べったい楕円形で、上面はスケルトンになっていて、収納するイヤホンが見えるようになっている。販売用のパッケージも独特のデザインで構成されていて、まるで書籍のような質感を持ち、その中央には収納ケースが見えるように配置されている。購入時に、パッケージを手にする楽しみもある美麗なものだ。こんなに美しく仕上げられたパッケージはなかなかに珍しく、「iFデザインアワード2025」を受賞したイヤホンを包み込むのに充分な仕様。パッケージデザインにまで意を払った優れた製品と言えるだろう。

　ケースの材質はおそらく普通のプラスティックだと思うが、上面パーツの透明感は高く、内部に収納するイヤホンを美しく見せてくれる。そのまま飾っておけるようなインテリア性も併せ持っている。表面はすべすべしていて手触りもよく、それでいて指にしっとりと吸い付くような表面処理が施されているので、滑って落としてしまうこともないだろう。

　上面の中央にはLEDの表示機能があり、バッテリー残量を数字（％）とバーで教えてくれるので便利。視認性も高くしっかりと見せてくれるが、まぶしいということはない。照度コントロールをしっかりと行なっているからだと思われる。

収納ケースの発光色は、なんと8色から選べる！ その日の気分にあわせて好みの発光色を楽しめる名機

　ちなみに、この表示機構の裏側にも円周状にLEDが仕込まれていて、スマホアプリからの操作で、表示色を変更することができる（8色から選べる！）。照明を落とした部屋で見ると、ほのかに光るケース、しかも好みの色味で光るさまは、なかなかにオシャレで、そのまま愛でていたい気分になる。

収納ケースだけでなく、イヤホンにもLEDライト夜光機能を内蔵。イヤホン自体も発光して周囲に美しい光を放つ。精美なさまはまさに名品

　イヤホンは一見、オーソドックスな耳掛け式のオープン型に見えるが、ドライバーを収納した部分は円柱形の長細い恰好をしており、装着時に耳の後ろに来るパーツとのデザイン的に相似していることもあり、全体的にスリムで、スタイリッシュな仕上がり。しかも、ドライバー収納部分の外面は収納ケースと同様にスケルトン仕様となっていて、内部基板が見えるようになっている。デジタルガジェット好きにはたまらないデザインと言える。

　しかもその透明パーツは、ケースと同様に高い透明感を持ち、手（指）にしっかりとなじんでくれるし、下面のプラスティックパーツとはツライチで加工されており、段差を感じることのないスムーズな一体感を醸成している。こうした部分一つとっても、加工精度の高さを感じるものだ。

　そして、もう一つの大きなポイントが、こちらも収納ケース同様にLEDライト夜光機構が内蔵されていること。

　社名でもある「ACEFAST」の文字が発光するようになっているのだ。こちらの色味は変わらないが、白い光（ライト）が、まるでホタルのように明滅するさまは、なかなかに趣のあるもの。メーカーでは、夜間の散歩やランニングなど、屋外にいる際の安全につながると謳っているが、実際に真っ暗な場所で発光させてみると、8mぐらい離れたところからでもイヤホンの発光を確認できるので、周囲に自分の存在を知らせる、という意味では安全性にも寄与しそうだ。

　ちなみに、その真っ暗な状態で目が慣れるまで待っていると、耳元の灯りが周囲を照らしてくれて、目を凝らせば足元まで確認できるようになる。都会暮らしをしていれば、なかなか真っ暗な場所に行くことも少ないと思うが、LEDライト夜光と謳っているとおり、簡易的なライトとしても使えそうだ。

メガネユーザーも便利に使える軽い装着感で、周囲の音も、音楽も、しっかりと聴き取れる

　続いて装着感について紹介したい。イヤホン本体はスリムでコンパクトにまとめられているので、当初はしっかり耳にかかるのかなという不安もあったが、実際に装着してみると、それは杞憂であることが分かった。手に持った時の重心は後ろ寄りに設計されているようで、イヤホンが前のめりになることもなく、しっかりと耳に載ってくれる。フックのカーブも比較的狭い（急）が、ドライバーを内蔵した部分がスリムなこともあり、耳と干渉することなく、軽やかな装着感でありながら、結構しっかりと固定してくれる。メガネの柄への干渉もなかった。

　感心したのは、ドライバーを内蔵した部分が細長い形状のためか、耳穴の上にパーツが来ても、周囲の音の聴こえを邪魔しないところ。最近は、耳掛け式のオープン型イヤホンも増えているが、中には耳穴の上に被せるパーツが大きすぎて、周囲の音が聴こえにくくなる製品もあるので、その意味では、よくよく考えられた形状になっていると感じた。一方で、耳に触っているという感触は強めだが、全体的な装着感は軽やかなこともあって、実際に長時間使用（装着）しても、耳が痛くなることはなかった。

オープン型でありながら、ボーカルの再現性がよく、量感のある低音と、臨場感のある音場感が存分に楽しめる

　続いて気になる音質のチェックをしてみよう。基本は、手持ちのスマートフォンを組み合わせて、AACコーデックで聴いている。いくつか楽曲を再生してみると、低域は少し強めに出るが、特定の帯域が強調されることなく高域までフラットで素直な音調が楽しめた。強力なマグネットと、楕円形のユニット（20×8mm）のおかげで、音圧も高くとれるし（大きな音が出せる）、振幅も大きく動く（0.5mm）ことで、力強いサウンドが楽しめる。ポータブルタイプのBluetoothスピーカーでも一部に楕円形ユニットを搭載する機種があるが、原理はそれと同じで、小型ながらなかなかパワフルなサウンドが再生できるようになっている。これは大きな恩恵があり、電車など騒音のある場所で使っても騒音に負けないので、それほど音量を上げなくてもコンテンツを楽しめた。これは、オープン型のイヤホンとして大きなメリットと言えるだろう。

　蛇足ながら追加しておくと、オープン型では、音を耳穴に集中（方向制御）するものも多く、そうすると音が耳に刺さるような感覚があり、あまり音量を上げたくないと思うこともあるのだが、本ACEFIT Proを、実際に電車内で使ってみたところ、それほど音量を上げなくても音楽は聴こえてくるし、上げても耳が痛くなることはなく、これはオープン型イヤホンの中でも特質できる性能を持っていると言える。

　音場の再現性については、左右方向は比較的広めで、AACコーデックなので高域再現（上方の空間再現）や解像感はもう一歩という感じだが、普通に聴いていれば不満はない。音圧が高くとれるからか、ボーカルの再現性は秀逸で、目の後ろあたりにしっかりと定位してくれる。mp3のような圧縮率の高いコンテンツでも、音場は若干狭くなるものの、ボーカルはしっかりと聴かせてくれるし、ハイレゾコンテンツであれば、高域の再現性は向上するし、音場空間は上方向に拡大するし、ボーカルのニュアンス再現も向上する、というように、しっかりとコンテンツの情報量（コーデックは変わらないのに）を活かしてくれるようになる。

最近はやりの動画視聴でも、セリフがはっきりと聴き取れ、音に包まれる楽しさがある

　最近は、電車などの交通機関の中で動画視聴をしている人も多いので、テストしてみた。音量は、さすがに音楽再生時よりも少し大きくしないといけないが、音漏れはそれほどないし、耳に痛くならないし、ボーカルと同じようにセリフもしっかり聴き取れるので、ドラマやアニメなど、その作品の世界観に没入できた（乗り過ごし注意「笑」）。最近のドラマでは、劇伴やSEの音場感は秀逸（包まれる感覚が得られる）なので、本ACEFIT Proは、セリフとともに、臨場感あるサウンドが楽しめた。一つ注意点としては、組み合わせる相手がスマートフォンなら、コーデックはAACが使えることもあり、遅延はほとんど感じないが、パソコン（ノート／デスクトップ）ではSBCになることが多く、この場合かなり遅延があるので、避けるか、USBドングルタイプのBluetoothトランスミッター（AACが使えるものなど）を併用するといいだろう。

　最近では、周囲の状況・音が確認できるオープン型のイヤホンが人気で、耳掛け式やイヤーカフ型など多くの製品が発売されているが、本ACEFIT Proは、装着性も高く、装着した時の周囲の音の聴こえ方、音楽の聴こえ方、音質が秀逸なのが利点。さらに、イヤホン本体、収納ケースともにデザイン性が高く、所有する喜びも得られる逸品と言える。

オリジナリティに溢れるLEDライト夜光機能はとても便利。一度使うとずっと使い続けたくなる、唯一無二の存在感を放つ逸品

　まとめると、LEDライト夜光機能を内蔵するという他とは違うオリジナリティ性も備え、特に夜間の使用では、イヤホン本体がホタルのように発光することで、周囲に自身の存在を知らしめることができ、安全にもつながるという利便性もある。音楽聴取から動画再生、夜間のトレーニング・散歩まで、多彩に使えるイヤホンと言える。

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