4機種固有の画質の個性に大感動

藤原陽祐 × 吉田伊織

同一ブランド、同一ジャンルの兄弟モデル徹底解剖!

JMGO
N1S 4K Laser Projector Series

[4機種共通スペック]
●光源:3色(RGB)レーザー
●投写デバイス:0.47インチDMD
●デバイス解像度:水平1,920×垂直1,080画素
●表示解像度:水平3,840×垂直2,160画素
●コントラスト比:1,600:1(ネイティブ)
●色域:BT.2020色域110%カバー
●投写倍率:1.2:1
●投写距離:40インチ/100cm、60インチ/160cm、80インチ/210cm、100インチ/260cm、150インチ/400cm
●3D対応:アクティブシャッター方式対応
●搭載OS:Google TV
●内蔵CPU:ARM Cortex-A55 1.5GHz MT9629
●内蔵GPU:Mali GS2 MC1 550MHz
●RAM:2Gバイト
●ストレージ:32Gバイト
●備考:Wi-Fi6準拠、Bluetooth5.1対応(SBC、AAC対応)
●騒音レベル:26dB以下

●問合せ先:(株)日本ビジネス開発

RGB3色レーザー光源&4K表示が4製品に共通する最大の特徴(藤原)

── 同じブランド、同じジャンルの製品を、同じ環境、同じコンテンツで視聴することで各製品の個性や特徴を見出す企画『Audio & Audio Visual Anatomy』の第2回です。今回はJMGO(ジェイムゴー)の4K3色レーザープロジェクターN1Sシリーズ4機種で、UHDブルーレイやNHK BSP4Kの録画番組を視聴しました。まずはN1S 4KとN1S Pro 4Kの2機種の印象からお聞かせください。

吉田 両機種のインプレッションの前に、まずJMGOの製品についての印象を申し上げると、どの機種もコンパクトで多機能。用途や環境を問わず、手軽に設置して映像を出力することができるのが大きな特徴です。映像が途切れることのないリアルタイムな自動台形補正、水平/垂直方向に幅広く可動するジンバルスタンド一体型設計などの機能により、素早く正確に綺麗な投写映像を楽しむことができる、革新的な製品群かと思います。

藤原 確かに、設置性の高さはどの機種にも共通する魅力ですね。今日の視聴は画質を優先して、自動補正機能は使わずに、全てマニュアルでセッティングすることを基本にしようとなりましたが、それでも5分とかからず画角やフォーカスをきちんと合わせることができます。ほとんどテレビと同じような手軽さで大画面映像が楽しめますね。内蔵スピーカーの音も意外といっては失礼かもしれませんが、思いのほか明瞭度が高く声が聴きやすい。ミドルクラスモデルのN1S 4KはカジュアルにYouTubeやNetflixなどを楽しみたいというユーザーにも好適です。

吉田 N1S 4Kの明るさは1,100 ISOルーメンとのことで、もちろん全暗の環境で観るには充分な数値なのですが、リビングなどで観る場合、やや明るさが不足していると感じることがあるかもしれません。しかし画面サイズを欲張らず、明るさのゆとりを確保したうえで調整する、あるいはゲインの高いスクリーンを組み合わせるなどすれば、かなり高品位な映像を楽しむことができるのではないでしょうか。

藤原 JMGO製品の画質面での最大の特徴は、RGBレーザー光源の採用です。多くのDLPプロジェクターでは、RGBなどに塗り分けたカラーホイールという円盤状のフィルターを高速で回転させることで、高速でRGB(赤/緑/青)を切り替え、人間の脳内にてフルカラー映像を認識させています。また、透過型あるいは反射型液晶を使った家庭用レーザー光源プロジェクターの多くは、青色レーザー光源を蛍光体にあてて、GやRを得て白色光を獲得、それをプリズムで分割してRGBを投写するシステムを採用していますが、この場合は色純度という点でどうしてもやや不利になります。その点、RGBレーザー光源は蛍光体を使わずにフルカラーが得られるため、色域の広さ、鮮やかさにおいてアドバンテージがあります。

取材はHiVi視聴室で実施した。テスト機をラックにセット、パナソニックの4KレコーダーDMR-ZR1とHDMIケーブルで直結し映像を投写。藤原さんと吉田さんはラックの両脇から視聴した。スクリーンは、視聴室常設の120インチのキクチ製Dressty 4K/G2スクリーン(ゲイン1.25)に100インチ程度の画面サイズで投写した。音声もプロジェクター内蔵のスピーカーで鳴らした

 

視聴したソフト

●NHK BSP4K(4K/60p HDR[HLG])

『大相撲名古屋場所』

●UHDブルーレイ

『宮古島 ~癒しのビーチ~』(4K/60p HDR[HDR10])Chapter2、4

『DUNE/デューン 砂の惑星』(4K/24p HDR[HDR10])Chapter4

『CIVIL WAR』(4K/24p HDR[HDR10])※米国盤 Chapter4、9

 

グレードの違いがそのまま画質差になって表現される(吉田)

── では、N1S 4KとN1S Pro 4Kの画質の印象についてお聞かせください。

藤原 どちらのモデルにも共通しているのは、RGBレーザー光源ならではの明るさと色の鮮やかさ。3板式で色を合わせ込む方式では、ホワイトバランスや周辺のフォーカスの調整など含めてなかなか難しいのですが、単板DLP方式では本体内部でRGBの各画像を合わせ込む必要がないというシンプルな機構上のメリットがあって、実際にスクエアな映像がピタッと表示される気持ちよさがあります。

吉田 同感です。輝度レンジの広さと色域の広さが特徴のRGBレーザー光源+DLPらしい出画でした。

藤原 もうひとつ両機に共通するのは、UHDブルーレイ『宮古島〜癒しのビーチ〜』のように色彩が豊富なコンテンツでのRGBレーザーらしい見栄えの良さ。赤と緑が青と同等に出せるという強みが感じられたのが、グリーンの中に真っ赤なハイビスカスが点々と咲いているようなシーンです。

写真(左)N1S 4K、(右)N1S Pro 4K

N1S 4K
¥194,480税込

●光出力:1,100 ISOルーメン
●ジンバルスタンド可動角度:上下127度
●スピーカー:5W×2
●ミラーリング:Chromecast built-in
●接続端子:HDMI(eARC)1系統
●消費電力:100W以下
●寸法/質量:W187×H191×D165mm/約2.2kg

JMGOの4Kレーザープロジェクターの末弟で、100ページで紹介している2Kレーザーモデル(N1S、N1S nano)とほぼ同じサイズの筐体を採用。4K表示+レーザー光源を搭載していると考えると驚異的な超小型を実現している。シリーズの共通のジンバル型スタンドモデルで、本体を上下127度可動できる。なお、ベース部の構造が兄機3モデルとは異なり、水平方向の360度回転はできないものの、約2.5kgと軽量なので本体自体の向きは簡単に変えられる。光出力は1,100 ISOルーメンなので、できるだけ暗い環境を整えるのが高画質再生の鍵だ

N1S Pro 4K
¥296,780税込

●光出力:2,350 ISOルーメン
●ジンバルスタンド可動角度:左右360度、上下135度
●スピーカー:10W×2
●ミラーリング:Google Cast
●接続端子:HDMI2系統(うち1系統eARC対応)
●消費電力:180W以下
●寸法/質量:W241×H236×D203mm/約4.5kg

JMGOの4Kレーザープロジェクターは、94ページの写真の通り、N1S 4Kとそれ以外の3モデルで大きく外見が異なり、基本構造/システムの違いが反映されている格好だ。詳細は明らかにされていないが、N1S 4Kとそれ以外の3モデルでは、レンズなど光学系の設計が異なるようで、映像のフォーカス感やS/N感などの点で、グレードの違いがあるようだった。N1S Pro 4Kは、JMGO製4Kレーザープロジェクターの高級モデルでありながら、光出力を2,350 ISOルーメンとやや抑えることで手頃な価格を実現させた「高バランス指向」の設計といえそうだ

 

 このように共通する魅力はありましたが、画質面でのグレード差も感じました。N1S Pro 4Kは光学系の設計に物量を投入している分、表現力が高く、差は確かにありました。レンズの差はフォーカスだけでなく、色再現、階調、コントラストの全てに関わってきている印象ですね。

吉田 グレードによるスペックの違いは明らかでした。たとえば明るさ。N1S 4Kが1,100 ISOルーメンなのに対して、N1S Pro 4Kは2倍以上の2,350 ISOルーメンですから2倍以上も違う。比較するとN1S 4Kはやはりもう少し明るさがほしいと感じました。総合的な表現力については、一見あまり違いがないようにも思いましたが、よく観ると違う。

藤原 ええ、やはり細かい部分に目を向けると、相応の違いがありましたね。

吉田 竜宮城の白い漆喰壁の純白感、照り返しの光に赤い屋根瓦の色が混ざっている様子などは、明るさが弱い分、N1S 4Kだと再現がやや甘く単調。N1S Pro 4Kでは距離感や立体感が増し、宮古島本島を臨む雄大な構図、湿気を含んだ積乱雲の力強さなどが現実感をもって再現されていました。加えて細密感。花が風に揺れているシーンなど、N1S Pro 4Kはフォーカス感がよく出ていました。

── NHK BSP4K放送『大相撲中継』はパナソニックDMR-ZR1で録画したもので、視聴した中では唯一のHLGコンテンツです。今回の4機種はスペック上では特にHLG対応が明記されているわけではないのですが、問題なく再生されました。画質設定は『宮古島』と同じく『標準』モード、「モーション補正」は『オフ』に設定。それぞれ全暗の状態とドアを少し開けて光を入れて部屋をやや明るくした状態でも視聴しました。

吉田 『大相撲』も『宮古島』で感じた違いに近い印象でした。光源の出力と光学系の格差による表現力の違いがやはり大きい。N1S 4Kは力士たちの肌の色がやや単調なんですよ。力士の肌色は、実はとても難しい色なので、これはN1S Pro 4Kでも厳しかった。ただ、視聴室のドアを少し開けて、画面の明るさとコントラストが低下するような環境で観てもN1S Pro 4Kは質感そのものはよく保たれていて、やはり光の余裕が感じられました。

藤原 同じサイズ、同じ環境での視聴ですから、比較すればパワーの差は明確に感じられますね。名古屋場所のIGアリーナ全体をとらえたシーンを観ると、色再現が豊かなN1S Pro 4Kの方が観客の服の色合いや会場の奥行感がよく表現されていると感じました。

── UHDブルーレイは、映画『DUNE/デューン 砂の惑星』と『シビル・ウォー アメリカ最後の日』米国盤を観ました。

吉田 両機種とも映画モードの完成度は高いですね。特にN1S 4Kで観る『DUNE/デューン 砂の惑星』は好印象でした。映画としての緊迫感のある演出がよく伝わるし、暗いシーンですがコントラストの不足感もありません。本気で練り上げられたモードだと思います。

藤原 そうですね。コントラストは両機とも1,600:1ということで、黒の沈みやローライトのディテイル描写が非常によく出ているとまでは言えませんけれど、階調が滑らかで、色のクセっぽさがないので、どちらも安心して観ることができました。『シビル・ウォー〜』のチャプター9の明るいシーンも観ましたが、グリーンの色階調の滑らかさなどは、やはりN1S Pro 4Kのほうが優れていました。

吉田 N1S Pro 4Kで観たこのシーンの肌色再現はとても良かったと思います。白人や黒人、アジア系、ラテンアメリカ系など様々な人種の肌色が出てきますが、髪の質感なども含めてしっかり描き分けていました。また、フォーカス感の良さに由来する部分的なコントラスト表現も良いですね。赤メガネ男が無造作に構えるアサルトライフルの冷たい光沢感などが恐怖感を煽りましたね。

藤原 同一条件で厳密に画質を比べると、当然ながら、どうしても上位モデルであるN1S Pro 4Kのほうが有利でしたが、俯瞰してそれぞれの画質を評価するとN1S 4Kも充分な明るさを担保しているし、何よりこのコンパクトさは魅力です。このサイズでこれだけの4K映像が観られることに、プロジェクターの進化をしみじみと感じた次第です。

JMGOの4Kレーザープロジェクターは投写画面を製品自らが認識、斜め投写による台形表示を自動的に補正する賢く利便性に優れた機能を搭載している。ただし、自動補正機能を使うと、映像表示解像度をフルには使い切れないことになるため、今回の取材ではあえて手動設定で表示した。本体設定の「プロジェクター設定」→「台形補正」→「シームレス台形補正」を『オフ』にしたうえで、「手動台形補正」にて画面を上下左右を最大に広げた。この状態で本体を物理的に微調整して、画面の水平/垂直が正しくなるようにセットした(画面上)。フォーカスも自動設定を『オフ』にして、手動で行なった(画面下)。文字にすると少々ややこしいように思えるが、作業としては一般的なプロジェクターの設置と同じであり、本体が小型であることも手伝って容易い。今回の取材ではケーブル接続も含めて5分程度で完了している

 

 

明るくなっても画質のバランスが崩れないN1S Ultra 4Kは見事(藤原)

── 続いて上位の2モデル、N1S Ultra 4KとN1S Ultimate 4Kを視聴しました。外観上はどちらもN1S Pro 4Kとほぼ同じサイズで、同じ筐体に見えます。

吉田 まずN1S Ultra 4Kを観て、画像密度がさらに向上し緻密な映像が実現されていると感じ、オッと思いました。『宮古島』の夜明けのシーンでは、薄暗い中での遠近感がよく出ているし、そして水気を多く含む夏の雲が、山の峰々のように遠く浮き上がって見えるようになった。私がイメージする通りの『宮古島』の大景観らしさが横溢した絵柄になっていたんです。『大相撲』でも、部屋を少し明るくした環境でも映像の格調が失われないのが立派。

藤原 明るさに余裕ができた分だけN1S Pro 4Kより、さらに画質的にグレードアップした印象でした。吉田さんのご指摘通り、明るくなっても画質のバランスが崩れないのは特筆すべき点でしょう。100インチの液晶テレビを観ている感じに近い感覚です。

写真(左)N1S Ultra 4K、(右)N1S Ultimate 4K

N1S Ultra 4K
¥342,980税込

●光出力:2,800 ISOルーメン
●消費電力:180W以下
●ジンバルスタンド可動角度:左右360度、上下135度
●スピーカー:10W×2
●ミラーリング:Google Cast
●接続端子:HDMI2系統(うち1系統eARC対応)
●寸法/質量:W241×H236×D203mm/約4.5kg

N1S Ultra 4Kは、N1S Pro 4Kの光出力(2,350 ISOルーメン)を、約20%高めた2,800 ISOルーメンとして、より明るく鮮やかな映像を実現。20%の高輝度化は明るい環境での映像表現能力を大きく向上させるのは間違いないが、全暗環境でも映像の基礎体力が非常に増強された印象となった。暗部の表現力を保ったまま、高輝度部分を巧み描き出すことで、HDRコンテンツの表現力が拡大。緻密や色のヌケなどの点でもN1S Pro 4Kとはひと味違う魅力的な画質を獲得。「音質も含めて、価格と性能が巧みにバランスした優秀機」(藤原さん)と好印象だった

N1S Ultimate 4K
¥397,980税込

●光出力:3,300 ISOルーメン
●消費電力:240W以下
●ジンバルスタンド可動角度:左右360度、上下135度
●スピーカー:10W×2
●ミラーリング:Google Cast
●接続端子:HDMI2系統(うち1系統eARC対応)
●寸法/質量:W241×H236×D203mm/約4.5kg

JMGOの4Kレーザープロジェクターの最高峰モデル。コンパクトサイズながら、4K表示と3,300 ISOルーメンという明るさを備え、最高画質を狙う。その明るさ性能が遺憾なく発揮されたのは、高輝度情報が豊富に盛り込まれたビデオ系コンテンツ『大相撲中継』と『宮古島』。一方、HDR映像ながら低輝度情報を中心に作り込まれた映画作品の暗い場面では、N1S Ultra 4Kと非常によく似た映像のタッチであったものの、デイライトなどの明るいシーンでは「光のパワーを活かした最高峰機にふさわしい高輝度&緻密映像」(吉田さん)の見事な表現を見せた

 

吉田 色再現については『宮古島』の透明感のあるエメラルドグリーンの海に感心しました。『宮古島』というUHDブルーレイは、同じ海でも色調や純度が細かく描き分けられている作品なのですが、N1S Ultra 4Kで観ると、博物画のような精密感が出てきました。

藤原 N1S Ultimate 4KはN1S Ultra 4Kのクォリティをベースに、さらに明るくなった印象でした。白灯台の表面の微妙なテクスチャーなどが、白ピークのギリギリのところでしっかり浮かび上がっている。明るくなった分、HDRの高輝度方向のマッピング処理にゆとりがあるのでしょう。反面、明るくなるとグリーン成分が総じて強くなる傾向があります。海のエメラルドグリーンを観ると、緑っぽさがやや強調されていました。

吉田 うーん、グリーンについては薄緑から茶色に至るグラデーションがうまく描けていると私は感じましたけれど。『宮古島』では鮮やかな緑の中に含まれるわずかな枯芝が細かく再現されているし、『シビル・ウォー〜』ではいかにもアメリカらしい発色の芝生が再現されていた。特にN1S Ultimate 4Kはその印象が強かったですね。

藤原 なるほど。テレビでは総じて鮮やかな色を強調しがちで、枯芝のようなものは見えづらい傾向があります。広色域で色付けにも作為がない、あるがままに色を出す素直さを両機に感じました。それから『大相撲』の力士の肌再現も自然になりましたね。

吉田 そうですね。どちらのモデルでも力士たちの肌が、強烈なライトを浴びて反射している感じ、汗をかいている感じがよく表れていた。暗部の濁りも気になりませんでした。

藤原 『DUNE/デューン 砂の惑星』の暗いシーンを観る限りでは、N1S Pro 4Kとこの2機種にそれほど大きな違いは感じられませんでした。顔の輪郭の立体感やシャドウ部のグラデーションの階調感に、表現力の差がわずかに見られた程度です。ただ、『シビル・ウォー〜』の明るいシーンでは光の強さがこの2機種ではより強調されていて、とりわけN1S Ultimate 4Kではその印象が強かったですね。

吉田 N1S Ultra 4Kでは、『DUNE/デューン 砂の惑星』のほとんど無彩色に近いグレイの絵柄において、質感や濃淡の表現がしっかりグレードアップしたことを感じました。奥行感の表現も豊かです。N1S Ultimate 4Kになるとこういった傾向がさらに極まったように感じました。両機の光学系の仕様はそれほど違わないと想像しますが、実際の映像には確かにグレードの差が感じられました。それは『シビル・ウォー〜』でも同様。遠近感が豊かになったぶん、情報の密度が高まり、緊張感も高まる。特にN1S Ultimate 4Kは、それが高いレベルで達成されていると思います。

画質モードは基本的に4モデルとも同じ発想で作られているようだった。ビデオ系コンテンツの『大相撲中継』と『宮古島』は「標準」モードで、映画作品『デューン〜』と『シビル・ウォー』は「映画」モードを用いている。なお、ビデオ系コンテンツは全暗環境のほか、照明を少し点け、視聴室ドアを開けて、外光が入るリビングを模した環境でも視聴している

 

同一環境での視聴で4機種の個性が明確に感じられて感動した(吉田)

── 最後に4機種全体の総括をお願いします。

藤原 視聴前は明るさ以外のスペックが非常によく似ていることもあって、実際の画質にどれほどの違いがあるのか、正直疑問があったのですが、横並びで比べると想像以上の違いがありました。

吉田 同感です。似たようなスペックで、N1S 4K以外の3機種は、ほぼ同じ外観ですから、違いは果たしてあるのか。そんな思いを持って視聴に臨みましたが、そんな懸念は杞憂でしたね。しっかりと画質面の差別化、キャラクターの違いがありました。

藤原 キャラクターの違いは非常に興味深いものでしたが、個人的には、暗い部屋で観るならN1S Ultra 4K、リビングなど明るい環境で使いたいならN1S Ultimate 4Kの高輝度を活かすのが好ましいと思いました。

吉田 私はN1S Pro 4KかN1S Ultra 4Kをおすすめしたいですね。好事家にとっても使いこなしがいがあると思います。今日は画質を中心にコメントしましたが、4機種全てが、プロジェクター内蔵の音響システムからイメージする品位を超えて良い音だったと思います。

藤原 こぢんまりとしているといえばそうなんですが、声は聴きやすく、クリアー。もちろん単体オーディオシステムやサラウンド再生システムとはレベルは異なりますが、テレビのスピーカーと同じような感覚で、十分に使える音だと思いました。

吉田 価格など総体的に考えれば、N1S 4Kもかなり導入しやすく魅力的。今日は100インチで観ましたが、画面サイズを80インチ程度に抑えれば凝縮感のある色再現が期待できるでしょう。

藤原 画質だけを考えれば、どうしても価格が高い上級モデルが良好という評価になりますが、N1S 4Kのコンパクトさは実に魅力的。さっと出してきて使う気にさせてくれるサイズですね。それでいて映像もクセがなく、しっかり没入させてくれる。このサイズにして4Kレーザーという、これまでHiViが取り上げてきた一般的な高画質プロジェクターとは異なる趣を持つ製品ですね。

吉田 画質、音質、サイズ、そして価格。それらの要素がよくバランスした、巧みな4Kレーザープロジェクターのベーシックモデルといってもいいでしょう。明るさが足りないのなら画面サイズを抑えて、反射ゲインが高めのスクリーンを選べばよいのですから。いずれにしても4機種それぞれの個性が感じられ、今回はたいへん感動しました。

 

取材を終えて

4機種の個性の違いは明確。総合力ではNS1 Ultra 4Kがベスト ── 藤原陽祐

人気急上昇中のJMGOプロジェクターの4Kラインナップを一気に視聴するという貴重な体験。実際にその映像を観比べていくと、各機種の棲み分けは極めて明確で、それぞれ強い個性を感じさせた。可愛らしい本体で4K映像が楽しめるN1S 4Kも魅力的だが、やはり画質は上級機並とはいかない。総合的な表現力では、明るさと色再現を高次元でバランスさせたNS1 Ultra 4Kがベスト。上級機に迫る画質で、しかも割安なNS1 Pro 4Kも捨てがたい。

レーザー光源の安定した色成分をさらに整える映画画質が好印象 ── 吉田伊織

4モデルともあか抜けた外観が目を引く。仰角調整機構が軽快にして投光器風の精密感を体現しているのだ。また強力なレーザー光源は発熱が少ないのでこういう小サイズ筐体に収めやすい。もうひとつ、投映レンズはズームレンズではなく固定焦点であり、これはコストを抑えつつ切れ味のいい画質に繋がる。そして、レーザー光源の安定した色成分をさらに整えるシネマ系の画質モードは意外な高品位に導いてくれた。

 

>本記事の掲載は『HiVi 2025年秋号』

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