耳を塞がない軽快なスタイルで、優れた音質を実現。いつでもどこでも使いたくなる。SOUNDPEATSの最新イヤーカフ型イヤホン「SOUNDPEATS Clip1」レビュー

　現在、ワイヤレスイヤホンでは耳を塞がないオープンイヤー型が人気を集めている。耳を塞がないので、イヤホンを着けたままでも周囲の音が聞こえるし、そのまま会話も可能、車が接近した時などの危険も察知でき、回避しやすい。屋内・屋外を問わず、いつでも音楽を聴いていたいという人には最適なイヤホンだ。

　そんなオープンイヤー型イヤホンの注目モデルが「SOUNDPEATS Clip1」だ。耳を挟む形で装着するイヤーカフ型で、メガネやマスクを装着していても干渉がなく、軽快に使うことができる。手頃な価格ながらもLDACに対応し、最大96kHz/24bitのハイレゾ送信が可能で、好みの楽曲を高音質で楽しめる。

　そのほか、左右を気にせず装着できる左右自動判別やIPX5相当の防水設計、落下検知で万一の脱落を知らせてくれるなど、日常遣いに便利な機能も充実している。もちろん、イヤホン単体で8時間、充電ケース併用で最大40時間の音楽再生ができるロングバッテリー仕様。さらに約10分で最大2時間の音楽再生ができる急速充電など、ワイヤレスイヤホンに必要な機能は網羅している。価格も手頃で、通勤や通学などで毎日使うという人でもセレクトしやすいモデルだ。

　ここでは、注目の「SOUNDPEATS Clip1」について、その魅力と音質、装着性について紹介していこう。

軽快な装着感。圧迫感が少ないのにぴったりフィットする

　「SOUNDPEATS Clip1」は、オープンイヤー型では定番とも言えるイヤーカフタイプの製品。イヤーカフタイプのモデルは今では数多くのメーカーから登場しているし、デザインも似ているので、よくよく見ないとメーカーの判別が難しいほどだ。しかし、「SOUNDPEATS Clip1」は独自の構造やデザインにより、他とは異なるいくつもの特長がある。

　基本的な形状は、ドライバーを収めた球体状の部分と、耳を挟むための長円形のクリップ部分からなり、それを細身のチューブでつないだ形になっている。このチューブは肌に優しい液体シリコンと直径わずか0.6mmの超薄型ニッケルチタン合金を採用した「N-Flax Arch」構造を採用しており、安定した装着感を実現している。しかも片側で約5gという軽量設計だ。

　このチューブのおかげで、人によって微妙に違う耳の形にも柔軟にフィットするようになる。球体状のドライバー部は耳の穴の手前にあるくぼみにすっぽりと収まり、長円形のクリップが優しく裏側から耳をホールドする。このため、耳をきつく挟んでいるような違和感がなく、耳の形状にピタリとはまって、ズレてしまいそうという不安もない。軽快で、しかも長時間使っても疲れにくいよくできたデザインだ。

快適に使える充実した便利機能

　現在のイヤーカフタイプのイヤホンならば、バッテリーの長寿命や急速充電、防水設計などは必須機能と言える。「SOUNDPEATS Clip1」は前述の通りそうした点でも優れた実力を備えているが、さらに快適に使うための便利機能が充実している。左右自動識別テクノロジー「AutoSence」はイヤホンの左右を気にせず装着できるなど、使い勝手に優れるし、装着検出・落下検知（※）は耳から外せば音楽再生が停止、万一イヤホンが落ちたときも通知してくれるので、屋外での移動中に使う場合に安心感がある。スマホとPCを同時に接続して切り替え操作をせずに使えるマルチポイント接続にも対応している（マルチポイント接続時、LDACは使用できないので注意）。

※「落下検知」については、今後ファームウェアのバージョンアップで対応予定。時期未定

　また、「SOUNDPEATS Clip1」での通話時にクリアな声で会話できる風切り音低減テクノロジー「AeroVoice」、周囲の人への音漏れを防止する音漏れ防止設計「SoundFocus」なども備えている。日常的に使う上でありがたい機能が充実しているのだ。手頃な価格と合わせて日常的に使いたくなるモデルと言えるだろう。

オープンイヤー型ながらも、密閉型イヤホンに迫る高音質

　オープンイヤー型は使い勝手は優れるが、肝心の音質が物足りないと感じる人は少なくないだろう。カナル型などのように、まるで耳栓をするような感じで耳穴を塞ぐタイプの密閉型イヤホンは、ドライバーからの音が外に漏れることなく耳へ届く。このため、情報量も豊かになるし、特に低音のようなエネルギーの大きな音域もロスなく届けることができる。一方、オープンイヤー型は耳を塞がないので、どうしても音が外に拡散してしまい、そのせいで主に低音のエネルギーが抜けた軽い音になりがち。

　しかし、「SOUNDPEATS Clip1」はオープンイヤー型で失われがちな主に低音の迫力をいつでも最適に保つ「DynamicEQ Proアルゴリズム」を採用。低音の迫力や高音の情報量をしっかりと感じられる音を実現している。

　そして、オープンイヤー型イヤホンではまだ数が少ない、高音質コーデック「LDAC」にも対応。最大96kHz/24bitのハイレゾ音声の伝送が行なえ、情報量豊かな音を楽しませてくれる。

　こうした機能だけでなく、肝心のドライバーにもこだわっている。直径12mmの大口径ドライバーを採用し、振動板にはチタンPVDコートを施し、駆動系はデュアルマグネットとして低歪みでしかもパワフルなサウンドを実現している。オーディオ好きな人ならばご存じの通り、電気的な補正機能だけでなく、肝心なドライバーからしっかりと設計しているのだ。

　このため、LDACに対応していないiPhoneでのAACコーデック接続時でも基本的な音の良さがよくわかる。LDACとの情報量の違いなどは確かにあるが、低音のエネルギーや高音域のクリアさやきめ細かな音までしっかりと聴き取れるのだ。このほか、スマホ用アプリ「PeatsAudio」を使えば、EQカスタマイズによる音質調整が可能。スピーカーで聴くような音の広がりや、映画館のようなサラウンド感が楽しめる「Dolby Audio」にも対応している。

　実際に「SOUNDPEATS Clip1」を聴いたので、その印象にも触れていこう。オーディオ機器の試聴で使うクラシックやポップス曲などを聴いてみると、一般的なオープンイヤー型のイヤホンでは低音が抜けて軽やかな感じになってしまいがちだが、こちらはしっかりと低音が出る。やはりしっかりと低音が出ると満足度が違う。周囲の音の影響があるためあまりうるさい場所では分かりにくいが、高音域の響きといった繊細な表現もなかなかしっかりしている。情報量の豊かなLDACコーデックで聴いているということもあるが、その豊かな音をしっかりと再現できる出来のよいドライバーや音響設計がなければ、これだけの立派な音にはならないはずだ。

　最近人気の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編　第一章　猗窩座再来』の主題歌であるLiSAの「残酷な夜に輝け」を聴くと、ボーカルの力強さをしっかりと感じることができ、高く伸びた声もきれいに再現してくれる。そして、トーンを落として切々と歌い上げるときのムードや表情も豊かに感じる。伴奏も、勇壮なメロディーから今後のさらなる激闘を予感させるシリアスなムードといったさまざまな曲調の変化をしっかりと楽しめる。基本的な音のバランスとしては、ボーカルを中心にくっきりとした表現だが、きめ細かな情報もしっかりと出るし、オープンイヤー型特有の音が耳の外まで広がるような印象もあって、広がりや包囲感が豊かだ。音場が広いのに、音が薄まってしまうようなことがないのは、情報量がしっかりとしているためだろう。

　厳密にカナル型のイヤホンと比べれば、絶対的な音質の差は多少感じるが、オープンイヤー型のイヤホンでこれだけの音質を再現できるのは立派だ。屋外で使うのも便利だが、仕事中でも他の人から声をかけられても問題ないし、不意の来客にも対応できるなど、屋内で存分に音楽を楽しむのも良いと感じた。

オープンイヤー型でも満足度の高い音楽再生が楽しめる。音にこだわる人こそ「SOUNDPEATS Clip1」に注目してほしい

　オープンイヤー型のイヤホンで音質も重視すると、高級モデルが必要になると思われるかもしれないが、「SOUNDPEATS Clip1」ならば、身近な価格でありながら満足度の高い音質を楽しめた。これが一番の魅力ではないかと思う。もちろん、屋内・屋外を問わず気軽に使えるための便利機能など、使い勝手の点でも優秀だ。特に音質も重視したいという人はぜひとも、「SOUNDPEATS Clip1」に注目してほしい。

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