第86回アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した『グレート・ビューティー/追憶のローマ』などで知られるパオロ・ソレンティーノ監督の最新作。第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、イタリア国内の公開ではパオロ監督作品の中で最大のヒットを記録したという。

 内容に関しては、“パルテノペ”という、あまり人名には使われない名称をつけられたナポリ出身の女性の一代記といえばいいだろうか。物語は、1950年から2023年へと時系列で流れてゆく。ひじょうに独特の考えや行動をする人で、たばこを大いに好み、妙に明晰な頭脳の持ち主でもある。そんな彼女に惹かれる人は年齢を問わず多く、つまり、ある意味“座の花形”だ。そして彼女には兄がいた。ここが映画のキーであるように私は感じた。一見、華やかな人生が続いているようにも思えるが、どこかで満たされないものがある……。

 若きパルテノペを演じるセレステ・ダッラ・ポルタは、これが映画デビューであるという。そして老境に達したパルテノペにはステファニア・サンドレッリ(1961年に映画デビュー)が扮した。ほか英国出身で映画監督としての顔も持つゲイリー・オールドマンも重要な役で登場、このふたりが実に重厚で良い。サンローラン プロダクションが製作を手掛がけているだけに、ファッション面も大きな見どころ。ナポリの風景ももちろんフィーチャーされており、「こんな絵画のような場所にぜひ行ってみたい!」という気持ちを高めてくれる。

映画『パルテノぺ ナポリの宝石』

8月22日(金)より 新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 他全国順次ロードショー

<スタッフ/キャスト>
監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:セレステ・ダッラ・ポルタ、ステファニア・サンドレッリ、ゲイリー・オールドマン、シルヴィオ・オルランド、ルイーザ・ラニエリ、ペッペ・ランツェッタ、イザベラ・フェラーリ
原題:PARTHENOPE|2024|イタリア、フランス|137分|カラー|ドルビーデジタル|シネスコ|字幕翻訳:岡本太郎|R15+
後援:イタリア文化会館
配給:ギャガ
(C)2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathe Films - Piperfilm Srl