スマホ、ヘッドホンなどを販売しているイギリス・ロンドン発のコンシューマー・テクノロジー・ブランドNothing(ナッシング)は、去る20日にプレスやビジネスパートナー向けのイベント「NOTHINGSUMMER UPDATE」を開催、新製品2モデルを発表した。どちらも8月28日の発売を予定している。
●ヘッドホン:Headphone(1) ¥39,800 (税込)
●スマートホン:Phone(3) ¥124,800(税込、256GB)、¥139,800(税込、512GB)
「Headphone(1)」「Phone(3)」ともホワイトとブラックの2色展開
Nothingは2020年に誕生した、新しいブランドだ。優れたデザイン性とスペックの高さで注目を集め、日本市場でも存在感を増している。今回の発表会で同社代表の黒住吉郎氏は、「現在は、進歩の象徴のテクノロジーが疑問を持たれる難しい時代です。ヘッドホンやスマホなどのデザインはどれも似ていて、つまらないものになっています。Nothingは、10m離れたところからでもわかるデザインを実現し、テクノロジーで再びわくわくするものを目指していきます」と述べていた。
その一例が同ブランド初のヘッドホン製品となるHeadphone(1)で、人気のシースルーデザインとアルミ素材を採用、建築的な精密さを備えるプレミアムなフォルムを実現している。さらに物理ボタンを搭載し、直感的な操作も可能にした。
40mmのニッケル振動板ドライバーを搭載している
音質面では40mmニッケル振動板を使ったドライバーを搭載し、忠実な原音再生を目指している。その音作りは、同じくイギリスのKEFとの協業によるものという。StereoSound ONLINE読者諸氏ならご存知だろうが、KEFは60年を超す歴史を持ったオーディオブランドで、パッシブ/アクティブスピーカーやヘッドホンなど様々な製品をラインナップしている。今回はそれらの知見をHeadphone(1)の開発にも投入、半年以上の時間をかけて音を仕上げていったそうだ。
近年のヘッドホンには不可欠なアクティブノイズキャンセリング機能も搭載。搭載されたマイクで600msごとに外部の音を拾い、最適なキャンセリングを実現しているという。もちろん外音取り込み機能も備えている。
ノイズキャンセリングと外音取り込みモードの切り換えなどの操作は先述した物理ボタンで行う。Headphone(1)にはローラー、パドル、ボタンの3つが搭載され、ボリュウム操作や曲の早送り/戻し、AIアシスタントの起動などが可能とのことだ。
右ヘッドホンには3種類の物理スイッチを搭載する
ヘッドトラッキング機能とスペシャライザーを組み合わせ、空間オーディオ再生にも対応した。入力されたステレオ音源を没入感のあるサウンドに変換し、聴く人の動きに合わせて360°の音場を作るもので、映画館のような体験が可能になるそうだ。
BluetoothコーデックはSBCとAAC、さらにハイレゾ伝送が可能なLDACにも対応している。有線接続はUSB Type-Cによるロスレス再生、3.5mmアナログ接続にも対応し、有線・無線のどちらでも、製作者が意図したクォリティでの再生を実現してくれる。
もうひとつのPhone(3)は、人気のデザインをさらに進化させ、選りすぐりの素材を投入。光を使った新しいGlyphマトリックス(480個のマイクロLEDを使ったディスプレイ)や大胆な幾何学的デザインを実現している。
最新のSnapdragon 8s Gen 4も搭載され、優れた画像処理、高速なAI処理と高いゲーム性能など、全体の効率性が前モデルから大きく向上している。6.67インチAMOLEDディスプレイ、IP68の防水・防塵性能など、高いパフォーマンスと抜群の耐久性を両立したそうだ。
発表会場でHeadphone(1)の音を確認できた。Phone(3)との組み合わせでイーグルス「ホテル・カリフォルニア」を聴くと、すっきりした伸びやかなサウンドが再生された。KEFのイヤホンともニュアンスが異なる、どちらかというと若々しい音作りで、快活なサウンドとして楽しめるだろう。
ノイズキャンセリング効果もほどよい効き具合で、周りで喋っている人の声などがうまく抑えられている。外音取り込みに切り替えても音の印象が大きく変化しないのも好印象だった。