サンダンス映画祭でプレミア上映、サウス・バイ・サウスウェスト(SXSW)で観客賞にノミネートされた1作。“サスカッチ”とは、別名ビッグフットと呼ばれる未確認生物のひとつ。日本でいうならカッパとかツチノコに相当するのだろうか。映画の主役となるサスカッチは、オス・サスカッチ、メス・サスカッチ、ジュニア・サスカッチ、アルファオス・サスカッチ。北アメリカの霧深い森の中に住む哺乳類だ。

 ルックスはオランウータンやゴリラよりもさらに人間に近い感じ。だが服は着ておらず、毛深い。映画中、人間の言語は一切登場しない(サスカッチ語というべき雄叫びはある)。だが、表情は極めて豊か、行動もバラエティに富んでいるので、観ていて退屈することはないだろう。逆に「俺も私もサスカッチの要素があるのではないか?」と自問してしまいそうな瞬間もある。自然との闘い、弱肉強食、新たな人生(サスカッチ生)など、自分がサスカッチになったつもりで観るとさらに趣深く楽しめるはずだ。

 監督/脚本/製作/出演を務めたデヴィッドとネイサンのゼルナー兄弟は、2011年の短編映画『Sasquatch Birth Journal 2』でもサスカッチを題材にしていたというから、彼らのサスカッチ愛は相当にディープなものだろう。しかもネイサンはアルファオス・サスカッチ役でもある。製作総指揮は『ミッドサマー』、『ボーはおそれている』などで知られるアリ・アスター。

映画『サスカッチ・サンセット』

5月23日より新宿ピカデリーほか全国公開
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公式サイト
https://sasquatch-movie.com/