ORTOFON(オルトフォン)から、スケルトン・フレームのカートリッジ「MC 90X」(¥880,000、税込)が発表された。3月の発売を予定している。

 オルトフォンのカートリッジといえば、SPUシリーズやConcordeシリーズなどを思い浮かべる人も多いことだろう。これらのカートリッジは一見突飛な形に見えるが、それぞれに必然的な理由があるという。

 SPUシリーズでは頑丈さと針飛びの起きづらさに重点が置かれており、現代の感覚では重いヘッドシェルと3gを超える針圧により、外部振動などの影響を受けづらい安定したトレースを実現している。Concordeシリーズでは、針先側に向けてハウジングを細くすることでカートリッジ先端側の質量を軽くし、レコード再生時の振動系の動作にカートリッジ本体の質量が与える影響を最小限とした。

 2008年に登場した創立90周年モデル「MC A90」のハウジングでは、SLM(Selective Laser Melting)を用いてステンレス粉末をレーザー溶融させ、三次元的な一体成型を実用化した。これにより、複雑な形状のハウジングの加工が可能となり、カートリッジのヘッドシェル取付面から磁気回路とリード線端子を吊り下げ、一切の贅肉を排除したハウジングを世に送り出している。

 新製品のMC 90Xは、そのMC A90に最新のダンパーマテリアルと金属加工のテクノロジーを投入。美しいコバルトブルーをまとい、様々なトーンアームとのマッチングが容易な質量へとリファインされている。

「MC 90X」の主なスペック

●出力電圧(1kHz、5cm/sec.):0.25mV
●チャンネルバランス(1kHz):0.2dB
●チャンネルセパレーション(1kHz):28dB
●周波数特性(20Hz〜20kHz):±1dB
●水平コンプライアンス:11μm/mN
●スタイラスタイプ:Specialpolished Nude Orto fon Replicant 100
●スタイラスチップ半径:r/R5/100μm
●カンチレバー素材:ボロン
●適正針圧:2.3g
●トラッキング角度:23度
●内部インピーダンス:4Ω
●推奨負荷インピーダンス:10Ω以上
●コイル線材:Aucurum
●カートリッジボディ素材:SLMステンレス
●自重:9.5g