塚本晋也監督による、ミニシアターの魅力を伝える動画「街の小さな映画館」企画の第27回として、岩手県宮古市のみやこシネマリーンの動画が公開された。

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 「街の小さな映画館」は、2015年の『野火』初公開時に全国劇場行脚を行い、個性あふれるミニシアターの魅力に触れた塚本監督が、お世話になっている映画館を1館ずつ訪れ、ミニシアターの魅力を伝える動画を撮影する企画だ。コロナ禍をきっかけに「未曾有の事態の中格闘していらっしゃるミニシアター」に「エールを送らせていただきたい」との思いから始まった。劇場とのアポ取りから撮影・編集・YouTubeへのアップまで塚本監督自身が単独で行い、ロゴとイラストも描きおろしている。

 みやこシネマリーンは1997年に日本で唯一の生活協同組合が運営する映画館として開館、三陸沿岸部唯一の映画館だったが、東日本大震災の影響などを受け、2016年に閉館した。ホール自体は残っており、現在は週末を中心とした定期上映会を行っている。

 かつて支配人をつとめていた櫛桁一則氏は被災地の避難所や仮設住宅への巡回上映活動で、第70回毎日映画コンクール特別賞を受賞。現在、上映会は1200回を越えているそうだ。

 公開された動画では、常設館当時のままのシアター、小窓が設けられたロビー、映写室などを辿っている。インタビューではかつての支配人でみやこ映画生協の常務理事である櫛桁一則氏が岩手県沿岸部唯一の映画館として担ってきた役割、新しい上映の「場」や、ライフワークである被災地での上映会について、今後の夢などを語ってくれる。

【塚本監督からみやこシネマリーンへのコメント】

この映画館は、今は少し活動を緩めることになりましたが、みやこ映画生協の櫛桁さんは、沿岸地域の被災地での上映会を執念とも言える情熱で行い、また仲間の皆さんと新しい劇場を作り、多くの人々に映画を届けることに力を注いでいます。その功績が毎日映画コンクールで認められ受賞されたとき、『野火』でその場にいた僕とも喜びを分かち合いました。

「街の小さな映画館」第27回 みやこシネマリーン(DORAホール)
●住所:岩手県宮古市小山田2-2-1 マリンコープDORA 2F
●座席数:ホール1・85席、ホール2・62席